第74話 常世の闇では ○
「まじ緊張するぜ……ほんとに大丈夫なんだろうな?」
ここは
転生者で魔王子と呼ばれるハヤトでさえ、一対一なら敗れかねない相手。この40階層ではさらに格上の魔物も存在するだろう。
死ねば終わりの一回きりの人生。緊張するなという方に無理がある。
「ミストさんがいれば大丈夫でしょう。さあ、さっさとレベルを上げちゃいましょう!」
……。同じ状況なのにこの差はなんだ? サヤカは全く緊張している様子がない。僕のことを信頼してくれているのか? だとしたら嬉しいけど……何か違うような。
うん、ハヤトもちょっと呆れてる。これが女性の強さと言うものなのか?
何はともあれ、せっかく目的地まで来たのだから、しっかりと目的は果たそうか。どうせこの階層の魔物は全て格上だ。ガンガン狩ってまずは80まで上げちゃおう。
〈それじゃあ、行こうか。一応、僕が先制攻撃を仕掛けるけど、2人とも積極的に戦闘に参加してね。特にトドメは重要だから、いけると思ったら迷わずいっちゃってね〉
極力戦闘を避けてきたとはいえ、迷宮型の
どうもこの上がり方はハヤト達から見ても異常に速いそうだ。ひょっとしたらこれも苔から始めた特典なのかも知れないな。
ちなみにレベルが上がった僕のステータスはこんな感じになっている。
種族 ホーリードラゴン(変異種)
名前 ミスト
ランク S
レベル 55
体力 652/652(1305)
魔力 706/770(1540)
攻撃力 616(1232)
防御力 606(1212)
魔法攻撃力 881(1763)
魔法防御力 876(1753)
敏捷 755(1510)
スキル
特殊進化
言語理解
詠唱破棄
暗視
念話
矮小化
アイテムボックス Lv30
鑑定 Lv30
ステータス隠蔽 Lv26
思考加速 Lv30
生命探知 Lv30
魔力探知 Lv30
敵意察知 Lv30
危機察知 Lv30
気配遮断 Lv26
魔力遮断 Lv26
体力自動回復 Lv28
魔力自動回復 Lv30
幻惑 Lv28
魔眼(麻痺) Lv24
ブレス(聖)Lv21
光魔法 Lv30
水魔法 Lv30
風魔法 Lv27
土魔法 Lv27
雷魔法 Lv30
聖魔法 Lv21
結界魔法 Lv21
時空魔法 Lv20
重力魔法 Lv20
猛毒生成 Lv30
麻痺毒生成 Lv26
睡眠毒生成 Lv26
混乱毒生成 Lv26
痛覚耐性 Lv26
猛毒耐性 Lv27
麻痺耐性 Lv23
睡眠耐性 Lv23
混乱耐性 Lv23
幻惑耐性 Lv23
聖耐性 Lv21
闇耐性 Lv21
水耐性 Lv30
風耐性 Lv27
土耐性 Lv27
雷耐性 Lv30
瘴気 Lv23
飛翔 Lv17
硬化 Lv20
雷纏 Lv28
称号
転生者
スキルコレクター
進化者
暗殺者
同族殺し
加護主
今は"矮小化"のスキルの影響で半減しているが、元々のステータスは全て4桁になり、スキルも30に到達したものがいくつか出てきた。31がないところを見ると、どうやらスキルのレベルは30が最高のようだな。
まだまだズメイには及ばないが、この辺りの魔物相手なら何十体いても問題ないだろう。現に今ハヤトとサヤカの目の前に現れた魔物のステータスはと言うと……
種族 スケルトンキング
名前 なし
ランク A
レベル 81
体力 495/495
魔力 185/185
攻撃力 522
防御力 354
魔法攻撃力 184
魔法防御力 301
敏捷 376
スキル
剣術 Lv17
生命探知 Lv13
闇耐性 Lv15
刺突耐性 Lv16
毒耐性 LV16
魅了耐性 Lv16
麻痺耐性 Lv16
睡眠耐性 Lv16
恐怖耐性 Lv16
スケルトンだけあって状態異常への耐性は高いが、火や光、打撃での攻撃に弱い。だが、ステータスで言えばハヤトやサヤカとほぼ互角であり、一体だけならまだしも同じレベルの敵が複数現れれば2人だけでは対処し切れないだろう。
このレベル帯の魔物が都合良く一体ずつ現れるような狩場などない。だからこそ、ハヤトもサヤカもレベル上げには慎重になっているようだった。
「よし、一体だけなら2人で何とかなりそうだ。新手が現れたら足止めを頼む」
ハヤトの申し出に頷いて答える。
それを見て安心したのか、ハヤトはスケルトンキングへと向かって行った。
「せい!」
ハヤトが放った初撃の振り下ろしは、スケルトンキングが掲げたシミターによって防がれた。ハヤトはその反動をうまく利用し、後ろ回し蹴りへと繋げる。
流れるような連続技だが、その蹴りもスケルトンキングが手にした盾に防がれた。敵ながら中々の反応速度だ。
ハヤトの後ろ回し蹴りを盾で防いだスケルトンキングは、そのまま盾で押し返す。一方、ハヤトは無理に耐えようとせず、その力を利用して後方宙返りで距離をとる。
空中で無防備となったハヤトを追撃しようとしたスケルトンキングの前に、サヤカの結界が立ちはだかった。スケルトンキングの一撃では、サヤカの結界は破壊できなかったようだ。その隙にハヤトは体勢を立て直す。
(ほう、中々の連携だね)
2対1というハンデもあるが、今のところ格上相手に危なげなく戦えている。敵が複数現れない限り、手助けの必要はないかも知れないね。
ちなみにホーリードラゴンになった僕も結界魔法が使えるようになった。この結界魔法は、基本的に平面で創り出した結界を空間に固定する魔法のようだ。
従って、複雑な形である身体の表面を結界で覆ったり、ましてや身体の動きに合わせて結界も動くようにするのは非常に困難だと思われる。
また、結界は創り出してしばらくは魔力による維持が必要な上、同時に2カ所しか張ることができない。もっとも時間が経てば周囲の魔力と馴染み、維持に魔力が必要なくなるので、そうなれば別の結界を張ることができるようになるのだが。ちなみに結界が周囲の魔力になじむにはだいたい丸1日はかかる。
つまり、魔力さえあれば街を覆う結界なんかも創れるが、魔力を馴染ませるのに丸一日維持しなければならないし、その間は結界魔法が残りの1枚しかを使えなくなるということだ。どのくらいの魔力が必要になるかはわからないけど……
さて、一旦仕切り直しとなったスケルトンキングとの戦闘は、長期戦を嫌ったハヤトが先に動き出して再開した。
ハヤトが一足飛びにスケルトンキングへと迫るのとほぼ同時に、スケルトンキングがサヤカの結界を破壊する。思ったよりも結界が破壊されるのが速かったが、ハヤトにとっては予想の範囲内だったのか、慌てず次の行動へと移る。
「
ハヤトはサヤカが稼いでくれた時間で詠唱を済ませており、槍で突くと見せかけて、雷魔法第2階位の"インドラジャジメント"を放った。耐性こそ無いが、スケルトンキングに雷魔法は効きづらい。それでも第2階位の魔法となれば、それなりのダメージを与え、僅かな硬直時間を作り出すことくらいはできる。
ハヤトの槍を防ごうと、盾を構えようとしていたスケルトンキングの動きが一瞬止まった。ハヤトがその隙を見逃すわけがない。絶妙なタイミングで突かれたハヤトの槍は、スケルトンキングの頭蓋骨の真ん中を貫いた。
「よし!」
ハヤトが綺麗に着地を決めた後、拳を握りしめてガッツポーズをとる姿を見て、サヤカも胸を撫で下ろしている。格上相手に僕のサポートなしで倒し切ったのは賞賛に値する。だけど、ここは高難易度
〈次が来ますよ〉
僕の念話にハッと構えるハヤトとサヤカ。その視線の先には、スケルトンキングが三体。
〈さすがに三体はきついと思いますので、一体ずつ倒しましょう〉
その言葉とともに、僕は重力魔法第4階位"ヘビィ"を唱える。途端に三体のスケルトンキングがその場に跪いた。
「えっ!? まさか重力魔法!?」
僕の魔法を見て何やらサヤカが驚いているようだが、今はそれに構っている暇はない。僕は重力魔法で動けなくなっている三体のうちの一体の効果を切った。
突如動けるようになったスケルトンキングは、怒りの形相を浮かべ(実際は表情なんてないから、僕が勝手にそう思っただけ)1番近くにいたハヤトへと襲いかかった。
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