第32話 黒猫への進化 ○

 さて、午前中は以前お世話になった人達へお礼の品を渡し、孤児院で寄付をするという自己満足に浸った僕は一度仮眠を取った後、夕暮れ時に起き出し今は街へ出る準備をしている。街を覆う石壁に上れるのはすでに実証済みである。後は暗くなって僕の姿が隠れるのを待つばかりだ。


 程なくして、日が沈み辺りが暗くなったところを見計らって僕は石壁を駆け上った。


(さて、今日はどこにいこうかな)


 東の方はあまり強い魔物がいないのでパスだな。西も地下迷宮ダンジョンの入り口があって人が多そうだからパス。となると北か南だけど……南は前回行ってみたから今日は北にしてみようっと。王都の北の方にはウェーベルの街があるが、そこから一気に王都に来たためもう少し詳しく調べてみようと思ったのだ。


 2日ほどウェーベルへ向かう街道を歩いて、途中から東に広がる森へと入ってみた。さすがに夜だけあって、魔物達の数が多く僕をただの猫だと思って襲いかかってくるヘビやら狼やらの魔物を倒しつつ、奥へと進んでいく。


 適当に入った森ではあったが、中心部に向かうにつれ段々と魔物のランクが上がっていった。これは当たりかな? 今倒したのはCランクのアングリーボアだ。こいつの肉は結構おいしいらしいから、今度オッチョさんの店に持っていってみよう。オーク亭でオーク以外の肉を出しているのかわからないけど。


 それにしても、この調子だと中心部にはもっと強い魔物がいるかもしれない。地下迷宮ダンジョンより手軽にレベル上げが出来るところを見つけることができてよかった。ちょっと距離があるけど地下迷宮ダンジョンへの出入りの面倒さを考えると、ここの方が気軽に来れそうだ。


 王都に入ったときは30だったレベルもオークの集落を潰したことで、36まで上がっている。ここで2~3日レベル上げをすれば進化まで持って行けるかもしれない。


 ちょっと王都を留守にするけど、僕は次の進化までここでレベル上げをすることにした。





「にゃ~」


 王都北東の森に入ってから2日、『にゃー』と言う名のストーンバレットでC⁺ランクのイビルベアーの頭を撃ち抜いたところで、レベルが40へと上がった。


種族 キラーキャット(変異種)

名前 なし

ランク D

レベル  40 進化可 

体力    298/341

魔力    301/539

攻撃力   379

防御力   375

魔法攻撃力 524

魔法防御力 520

敏捷    361


スキル

特殊進化

言語理解

詠唱破棄

暗視

アイテムボックス Lv22

鑑定 Lv22

思考加速 Lv23

生命探知 Lv23

魔力探知 Lv23

敵意察知 Lv21

危機察知 Lv19

体力自動回復 Lv20

魔力自動回復 Lv23

光魔法 Lv20

水魔法 Lv24

風魔法 Lv13

土魔法 Lv13

雷魔法 Lv16

時空魔法 Lv10

重力魔法 Lv10

猛毒生成 Lv19

麻痺毒生成 Lv15

睡眠毒生成 Lv15

混乱毒生成 Lv15

痛覚耐性 Lv16

猛毒耐性 Lv19

麻痺耐性 Lv15

睡眠耐性 Lv15

混乱耐性 Lv15

幻惑耐性 Lv12

水耐性 Lv14

風耐性 Lv14

土耐性 Lv14

雷耐性 Lv14

瘴気 Lv14

硬化 Lv13

雷纏 Lv16


称号

転生者 

スキルコレクター

進化者

大物食いジャイアントキリング

暗殺者

同族殺し


 おお、予想通り40で進化が可能になっていたみたいだ。よし、早速王都のぼろ屋へと戻って進化するとしよう。


 帰りは行きよりも急いだので、王都まで1日で着いた。都合よく日が沈んだ後だったので、スラム街側の壁から王都の中へと侵入する。


 すぐにぼろ屋の天井裏に入って進化の準備を始めた。


 さて、今回の進化先は……


□進化先を選んでください

・ハンターキャット

・ビッグキャット

・アサシンキャット


 移動途中にも確認しておいたが、今回の進化先は3つだ。


 一つ目のハンターキャットは、今のキラーキャットより攻撃力と敏捷が上がりより物理戦闘が強くなる。

 二つ目のビッグキャットは体力と防御力が格段に上がり、耐久型になるようだ。

 三つ目のアサシンキャットは、敏捷が大きく上がるのと、隠蔽系のスキルを覚えるっぽい。

 元より魔法寄りの進化をしているのでハンターキャットは選択肢から外れる。同様にビックキャットも僕の戦闘スタイルには合わないだろう。何より大きくなるのはちょっと……


 ということで僕の進化先はアサシンキャットに決めていた。隠蔽系のスキルもほしかったしね。


(よし、早速進化だ!)


 僕はアサシンキャットを選択し進化を開始した。ぼろ屋の天井裏が光に包まれて……




 進化を終えた僕はまずは自分の姿を確認する。毛の色は真っ黒で縞模様はなくなっていた。大きさはキラーキャットとほとんど変わっておらず、見た目は黒くなっただけでかわいいままだ。よしよし、これならこのまま王都の中で暮らせそうだ。


 自分の姿に満足した僕は、次にステータスを確認する。


種族 アサシンキャット(変異種)

名前 なし

ランク C

レベル  1 

体力    333/333

魔力    318/518

攻撃力   347

防御力   268

魔法攻撃力 507

魔法防御力 503

敏捷    344


スキル

特殊進化

言語理解

詠唱破棄

暗視

アイテムボックス Lv23

鑑定 Lv23

ステータス隠蔽 Lv15 New!

思考加速 Lv24

生命探知 Lv24

魔力探知 Lv24

敵意察知 Lv22

危機察知 Lv20

気配遮断 Lv15 New!

魔力遮断 Lv15 New!

体力自動回復 Lv21

魔力自動回復 Lv24

光魔法 Lv21

水魔法 Lv25

風魔法 Lv14

土魔法 Lv14

雷魔法 Lv17

時空魔法 Lv11

重力魔法 Lv11

猛毒生成 Lv20

麻痺毒生成 Lv16

睡眠毒生成 Lv16

混乱毒生成 Lv16

痛覚耐性 Lv17

猛毒耐性 Lv20

麻痺耐性 Lv16

睡眠耐性 Lv16

混乱耐性 Lv16

幻惑耐性 Lv13

水耐性 Lv15

風耐性 Lv15

土耐性 Lv15

雷耐性 Lv15

瘴気 Lv15

硬化 Lv14

雷纏 Lv17


称号

転生者 

スキルコレクター

進化者

大物食いジャイアントキリング

暗殺者

同族殺し


 ほほう。アサシンキャットはCランクなのか。初期のステータスも相当高い。防御力は少々低めだけど、その他のステータスはサンダービートルのレベルマックスに近い。これならレベル1でもその辺の魔物に後れを取ることはないだろう。


 それから僕の期待通りに気配遮断と魔力遮断のスキルを獲得することができたようだ。おまけにステータス隠蔽のスキルまで手に入った。これで地下迷宮ダンジョンや街に出入りするのが楽になりそうだ。


(よし、次はステータスの隠蔽を試してみよう)


 続いてステータス隠蔽のスキルを試してみたのだが、自由にステータスをいじることができるのが楽しくて、ついつい夢中になってしまった。


(こんなもんかな)


種族 キャットー

名前 なし

ランク F

レベル  1 

体力    50/50

魔力    20/20

攻撃力   40

防御力   35

魔法攻撃力 20

魔法防御力 20

敏捷    40


スキル

暗視


 ふふふ。これで鑑定持ちに出会っても誤魔化すことができるぞ。ステータス隠蔽のスキルレベルは最初から15もあるし、よっぽどのことがない限り誤魔化せるだろう。いつ正体がバレるかもしれないという不安は、これで大分解消されるはずだ。


 気分がよくなった僕は5日ぶりということもあり、いつもより多めにお礼を配って回った。オッチョさんのところはこっそり置いてきたし、孤児院も人に見られないように置いてきた。唯一、果物屋のおばちゃんのところでは姿を見せたのだけど、以前の僕と同一人物……いやいや同一猫物だとバレてしまったようだ。なでた感覚が一緒だし、突然リーンゴを持ってくる猫なんてそうはいないというのが理由らしい。ただ大人になれば毛が生え替わる猫もいるらしく、それほど驚かれはしなかった。


 まあ、正体がバレたわけじゃないからよしとしよう。


 僕がこの世界に転生してからおよそ200日が経過した。生き残るためには強くならないといけないと思い、必死に進化してきた。おかげで相当強くなれたと思う。この姿になってから人の住む街に入ることが出来たし、少しのんびりしてみるのもいいかもしれないね。


 せっかく猫の姿なんだから、しばらくは気ままな猫暮らしを堪能してみるとするかな。

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