第14話 ワイバーン狩り ○

 進化するたびにお世話になっているワーム先生。今日も今日とてせっせと雑草を食べている。ここのワーム達はどれだけ狩ってもいなくなる気配がない。どういう仕組みかはよくわからないけど、僕にとってはありがたい限りだ。


 さて、今回は魔法特化型のようなので、魔法で倒させてもらおう。僕は覚え立ての"風魔法"と"土魔法"を使ってワーム達を倒していく。どちらもLv5なので第5階位の"エアカッター"と"ストーンニードル"だけだ。


 エアカッターは目に見えない空気の刃を飛ばす魔法である。ウォーターエッジと似ているが、空気の刃は目に見えない。切れ味はウォーターエッジに劣るが、目に見えないというのはそれだけで大きなアドバンテージとなるのは間違いない。状況に応じて上手く使い分けていこう。


 ストーンニードルは、全長20cmほどの尖った石を飛ばす魔法だ。ニードルと名前がついているが、氷柱といった方がイメージしやすいだろう。この手の魔法は一つ一つの威力は低いが、一度にたくさん展開できるのが魅力だ。発動が速いので隙も少ない。芋虫たちを殲滅するにはぴったりの魔法だ。


 しかし、第5階位の魔法とはいえ最初からLv5だったのはありがたい。グリーンワームやアシッドワームあたりなら一撃で倒しきることができている。休憩も含めて5時間ほどで100匹ほど倒すことができた。前回は20匹ほどで25だったのに対して、今回は100匹倒してようやく同じ25まで上がった。ランクが高くなるとレベル自体が上がりづらくなるみたいだ。それでも殲滅速度が上がっているから、時間的には短くなってるんだけどね。


 Lv25からは森の北側でのレベル上げになる。一度拠点に戻った僕は早々に眠ることにした。





 翌朝目覚めてからすぐに森の北側へと向かう。狙いはCランクの魔物だ。生命探知と魔力探知を使いながら、ダークウルフやアングリーボアなどを見つけては、魔法で倒していく。風魔法や土魔法も積極的に使いながら、スキルを上げていくのも忘れない。途中、食事を挟み3日間ほどかけて僕のレベルは40へと上がっていた。


種族 マジックビートル(変異種)

名前 なし

ランク D

レベル 40

体力    178/178

魔力    224/275

攻撃力   166

防御力   165

魔法攻撃力 281

魔法防御力 253

敏捷    202


スキル

特殊進化

言語理解

詠唱破棄

アイテムボックス Lv14

鑑定 Lv13

思考加速 Lv14

生命探知 Lv15

魔力探知 Lv15

敵意察知 Lv13

危機察知 Lv7

体力自動回復 Lv12

魔力自動回復 Lv14

光魔法 Lv14

水魔法 Lv17

風魔法 Lv8

土魔法 Lv8

時空魔法 Lv7

重力魔法 Lv7

猛毒生成 Lv14

麻痺毒生成 Lv10

睡眠毒生成 Lv10

混乱毒生成 Lv10

痛覚耐性 Lv10

猛毒耐性 Lv14

麻痺耐性 Lv10

睡眠耐性 Lv10

混乱耐性 Lv10

瘴気 Lv10

飛翔 Lv8

硬化 Lv8


称号

転生者 

スキルコレクター

進化者

大物食いジャイアントキリング

暗殺者

同族殺し


(そろそろこの辺りでもレベルが上がりづらくなってきたな)


 僕の今までのレベル上げの感じだと、森の北側の平均レベルはCランクの40といったところだ。実際僕はDランクなのだが、この辺りの魔物は余裕を持って倒すことができる。これはおそらく、僕の種族が変異種なのとスキルを引き継ぐことができるからだろう。通常のマジックビートルだとこうはいかないはずだ。何せ、森の魔物達は僕を見ると平気で襲いかかってくるからね。これは僕と同じ種族がいて、そいつらは僕ほど強くないことを意味している。


 レベルというヤツは格上と戦うと直ぐに上がるが、格下相手だと極端に上がりづらくなる。つまりこれ以上レベルを上げたければ、もっと強いヤツと戦わなくてはならないということだ。


(そろそろアイツと戦うときがきたか)


 僕の行動範囲は狭く、まだこの森から出たことがない。従って、レベル40以上の魔物がいる場所なんて一カ所しか知らない。そう、ここよりさらに北にある大きな山だ。あそこなら、レベル40以上の魔物がごろごろいるはず。だが、何にも対策なしに突っ込んでまたレッドドラゴンが現れたらたまったものではない。僕にはまだレッドドラゴンを倒せるほどの実力はないのだ。あの時は運良く逃げることができたが、今度また逃げられる保証など無い。今回は周辺にいるワイバーンを釣って、山から少し離れたところで戦おう。


 僕はワイバーンをどのように釣るかを考えながら、北にある山へ向かうのだった。





 僕の眼前には大きな岩がゴロゴロ転がる巨大な山が鎮座している。以前訪れたときは、直ぐにワイバーンに襲われた。おそらく、この山の周辺に生息しているのだろう。あまりここに長居するとまたレッドドラゴンが現れるかもしれないから、僕は素早く周辺を探索し一匹のワイバーンを見つけるとすぐにウォーターエッジを放って森の方へと誘導した。


 前足を浅く傷つけられたワイバーンは怒り狂ってぼくを追いかけてくる。僕の企み通りだとも知らずに。


 ワイバーンはドラゴン種ではあるが、下位の存在のためかそれほど知能は優れていない。僕の挑発にあっさり引っかかって追いかけてくるのが何よりの証拠だ。しかも、森の中は木々が生い茂っていて飛行するのにはあまり向いていない。ましてやワイバーンのように身体が大きければなおさらだ。


 だが今追いかけてきているワイバーンはまさしく虫けらのような僕に傷をつけられ、余程頭にきているのだろう。僕を見失わないように低空飛行で追いかけてくる。そのせいで大きな木々は避けなければならないし、細い小枝は頭から突っ込んでいる。それが大きな隙を生むとも気づかずに……


 レッドドラゴンが住む山からある適度距離を取ったところで、僕は逃げるのをやめ反撃に出た。丁度、ワイバーンが枝から伸びている葉に頭から突っ込んだ瞬間を狙って、真上からポイズンバレットをお見舞いする。


 2発のポイズンバレットが背中に命中し、地面にたたき落とされるワイバーン。突然の攻撃に混乱しているようだ。続けて翼にストーンニードルを打ちつけて、地面に縫い付けてやった。杭のように刺さっているストーンニードルを引き抜こうともがくワイバーン。最早ただの的に成り下がったワイバーンに、エアカッターを連続で当て続けた。


 しばらくもがいていたワイバーンだったが、多量の出血と毒ですぐに動かなくなった。


(よしよし、この調子でワイバーンを狩っていこう)


 僕の作戦は見事に的中し、この後も釣れたワイバーンを片っ端から魔法で倒していくのだった。

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