新学年突入編
第261話 新学年となり
春休みも終わり2年生となった蒼唯。始業式やクラス替え等の行事も終わり、今日から本格的に授業が始まる。
そのためか、春休みを満喫していた学生たちの登校する足は重い。
そんな中、蒼唯もいつも通りに、護衛のまっくよを引き連れて登校している。学業に苦手意識はない蒼唯なためその足取りは他の学生たちよりも軽い。
「何かいつもよりも見られてる気がするです?」
「まくま~?」
ただ、何故なの分からないが、やたらと多い視線に首を傾げながらであったが。
蒼唯とまっくよは、度重なるダンジョン関連の事件のせいで世界の有名人となっているため、プライベートで外出すると、気が付いた者たちによる視線を浴びることも多い。
ただ、蒼唯と同じ学校に通う生徒たちは、そろそろ蒼唯の存在に慣れているので、蒼唯が登校していようが、チラチラと見てしまう者は少なくなってきている。
それなのに今日、視線を多く感じるのは、蒼唯の存在に慣れていない新入生も一緒に登校しているためであった。
しかも今年の新入生には、蒼唯たちを目当てに進学先を決めた者も多い。探索者育成に力を入れている学校は多く、蒼唯たちが通う学校よりも質の高い授業が行われている所は多いが、万が一でも蒼唯と面識が持てるという可能性に比べれば、授業の質など些事に過ぎないと考えた新入生は多いようであった。そんな事情もあるので、蒼唯が視線を多く浴びるのは当然と言えば当然のことである。
とは言えそんな新入生事情を知らず、興味もない蒼唯には疑問が残ったままであった。そんな時、後方から声を掛けられる。
「おはよう蒼唯! まっくよも」
「まくま~!」
「あぁ、輝夜です。おはよ…何か視線が増えた気がするです。輝夜どっか行くです」
「えぇ…朝から何の話?」
声の主は蒼唯の数少ない友人である輝夜であった。彼女も日本有数の探索者ギルド『流星』に高校生ながら所属しており、更にこの1年で若手のホープから幹部級の戦力に成長したこともあり、特に探索者志望の学生から見れば要チェックな先輩と言うことになる。
そんな輝夜が蒼唯に声を掛ければ注目度は高まってしまうので、それを感じ取った蒼唯は輝夜を邪険に扱う。
朝からあんまりな態度を取られ困惑気味な輝夜であったが、態度の理由を説明され納得する。
「あぁ、注目されてるって話か…ってそりゃ注目されるでしょ。昨日の入学式の話、聞いたよ?」
「何の話です? 午後からの入学式に私は参加してねーですよ? 坪さん家で色々とやることがあったです」
「えぇ、じゃあ『全新入生、校長の話爆睡事件』ってまっくよの独断だったんだ!」
「まく~」
「いや、そんなやってやったぜみたいなドヤ顔されても…」
「途中から姿が見えないと思ってたら、そんな事やってたですか。熱心ですね」
入学早々、まっくよの眠りを、一番眠たいタイミングで味わわせることでまっくよが提供する睡眠の良さを布教する。
この1年で睡眠の腕だけでなく、布教も上手くなったまっくよに呆れる輝夜と誉める蒼唯は、その後も注目されながら学校に向かうであった。
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