第177話 のこのこ大戦争
数多ある能力の中でも、魂を対象とする能力は厄介さが数段上昇すると言われている。何故ならば、そういったモノを防ぐためのスキル等は全て魂由来であるため、耐性や無効スキルを対象にすると言う事が出来てしまうのだ。
例えばまっくよの『
つまり現在『ミラグロ』を侵食中である、魂を宿主とする『のこちゃん』、これの対策もそもそも『のこちゃん』が体内に入らないようにしなければならない。しかし『のこちゃん』は他の茸と同じように胞子を使い増えていく。
そのため、そもそも常人には気が付き難く防ぎ難い。
そういったモノを自動で防ぐのがスキルの便利な所であるのに、魂干渉系の能力はそれを許さないのである。
【正直、私も『のこちゃん』を防ぐ方法が思い付きませんね】
「
【ぬい様に勝つのは更に想像つきませんよ】
「
【マスク? ああ、蒼唯様が前に御造りになっていた何でしたか、花粉対策用のマスクでしょうか?】
「
【花粉症ですね。確かにあれの原理は花粉等のみを弾く結界を装備者に張っている感じですからね。それなら防げるかも知れませんね。常に茸に寄生されるかもと思い生活する姿は想像したくありませんが】
『のこちゃん』を防ぐためには、『のこちゃん』を警戒していなければならない。つまり『のこちゃん』初出陣である今回は、防げなくとも仕方がないと言えるのであった。
―――――――――――――――
『ミラグロ』最奥では、『魔王』の魂を宿す神聖騎士団長であるアーサーと『のこちゃん』に感染した騎士団員たちによる、壮絶な攻防戦が繰り広げられていた。
「『私に近づくな』! 『離れろ』!」
「の、のこ~」
「私の部下たちに…『そんな言葉を話させるな』!」
アーサーが『のこちゃん』に気が付いたのは偶然である。『魔王』の魂を宿していることで、魂を認識出来るようになっていたのかもしれない。
そして『魔王』の権能である『命令権』は、『のこちゃん』や『のこちゃん』を増やすための胞子等の物体にまで作用するため、これまで防ぐことが出来ていた。
しかし部下を辱しめられていると感じ激昂してしまったアーサーは、胞子への命令を怠ってしまう。
「あ、まず…のこ」
『のこちゃん』の胞子攻撃に呑み込まれた、アーサーの魂は完全に乗っ取られてしまう。
『のこちゃん』たちは勝利を確信する。しかし次の瞬間、アーサーの雰囲気が一変する。
「の、のこ―」
【『アーサーの魂にのみ寄生しろ』『身体の操作権を明け渡せ』】
『何かを察知した『のこちゃん』たちが止めようとしたが遅かった。
アーサーが宿していた『魔王』の魂が『命令権』を発動する。
主の魂であるアーサーが乗っ取られ、『のこちゃん』が身体を操作するまでの、ほんの少しの間を『魔王』の魂は見逃さなかったのだ
【…私の身体にいる『のこちゃん』に『代行権』を付与する。『のこちゃん』よ、騎士団員たちに宿る『のこちゃん』に寄生し、『のこちゃんから騎士団員の操作権を乗っ取れ』】
そして直ぐ様、アーサーの魂に宿る『のこちゃん』たちを使い、『のこちゃん』たちの殲滅を目指す。
「の、のこ~」
「の、のこ!?」
いきなり開戦するのこのこ大戦争にどちらの『のこちゃん』も大困惑である。
しかし『魔王』の『命令権』は絶対であるので、否が応でも始まるのであった。
【はぁー、漸く『魔王』とか言う重い役職から抜け出して、魂だけでぬくぬくしてたのになぁ~。まあ茸まみれになるのは勘弁して欲しいけども!】
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