第153話 オリハルコンにはもう飽きた
蒼唯家の食事事情は特殊である。ぬいたちがいなかった頃は、そうでも無かったがぬいがダンジョン攻略で様々な素材を採ってくるようになってから特殊になっていった。
金属だろうが何だろうが気にせず食べるぬいとまっくよ。モンスター料理等は兎も角、無機物は食べられない蒼唯とリリス。食の好みどころか、食性が全く異なるモノたちで食卓を囲んでいるので特殊に成らざるを得ないが。
「今日はリリスと一緒に造ったですよ」
【私が作ったのは、蒼唯様と私が食べるモノだけですけど】
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「今日のぬいたちのメインは『ドラゴンボーン オリハルコンソースを添えて』です」
【骨龍王の高硬度な骨に金属のソースを添えた何か何ですが。】
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ただ最近はその風潮に異議を唱える者もいた。
まっくよは食欲よりも睡眠欲優先である。眠る側というより眠らせるだが。そのため出されたモノに対して文句も言わずにパクパク食べる。それが好物であれば尚更である。
反対にぬいは各地のダンジョンを巡り、素材集めの傍ら、食べ歩きも行うグルメな一面もある。ぬいたちのご飯は、蒼唯が『錬金術』で加工する事が多く、そこら辺の素材よりも遥かに美味しいのだが、色々なモノを食べたい欲求は常にある。つまりは『
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「あんまり不満を言うなです。この前、まっくよが『機巧人形の採掘場』から貰ってきた『幻想金属』がまだまだ残ってるんです」
「
【だからと言って食材として大量消費もどうかと思いますが】
「…でも飽きたなら色々と考えなきゃならんですね」
「ぬい…」
今回は『幻想金属』料理が続いてしまったが故の飽きであるが、『食トレ』を持つぬいたちに取って飽きてきたと言うのは、結構重要なサインであったりする。
ぬいたちの視覚や嗅覚は、『食トレ』によって食べると有益なモノ程美味しく感じるようになっている。同じものをずっと食べ続ければ『食トレ』の効果は薄まっていくので、飽きを始めてしまうのだ。
逆に、飽きという観点だけでみれば、ぬいの『茸師』により日夜進化を続けている茸たちは、飽きが来ることは無いだろう。ただ毎日茸生活は用意する蒼唯やリリスも遠慮したい所である。
「とは言え、ぬいが気に入る素材ですか。茸を除くとパッとは思い浮かばんです」
【そもそも『幻想金属』が伝説の金属ですからね】
「
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「まあ、私も探してみるです。まっくよやリリスも手伝って上げてです」
「
【分かりました】
と言うことで『幻想金属』に変わる新たな食材を求める、ぬいの探索がひっそりと開始されるのであった。
とは言えぬいたちのやる事が劇的に変わる訳でもない。これまでも良い素材を集めるために『食トレ』を利用してきたが、それをより食欲優先にするだけであるのだ。
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今回はぬいが我が儘を言ったが、睡眠関連では、途端に我が儘になるのがまっくよである。
それを自覚しているまっくよは、何だかんだ言ってぬいの食材探しに付き合って上げるのである。
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