第62話 不落要塞
蒼唯が、こはく用のアイテムを造っていると、何処から聞き付けたのか柊からメッセージが届く。
柊:「聞いたぜ。『従魔競技会』に向けてアイテム製作してるんだろ?」
蒼唯:の「坪さんから聞いたです? そうなんです。こはく用に幾つか造ってるです」
柊:「それは中々愉快なことしてるね」
蒼唯:「そうです?」
蒼唯のアイテムを使えば、他の従魔と同等以上に戦えるだろう。競技内容にマッチしたモノを蒼唯がカスタマイズするなら圧倒することだろう。
従魔犇めく競技会を普通の犬が圧倒する絵面は、愉快なモノになるだろう。若しくは主催者の顔を見る方が愉快かもしれない。
『従魔競技会』の裏の部分を知らない蒼唯にはピント来ていないが。
柊:「競技会の内容とかはファイルで送っといたから後で確認よろしくだぜ」
蒼唯:「ありがとうです」
柊:「それにしても『不落要塞』の坪さんがいつの間にか『散歩剣豪』とか呼ばれ始めてたと思ったら、今度は『従魔競技会』か」
蒼唯:「『散歩剣豪』は聞いたことあるですね。『不落要塞』です?」
犬の散歩感覚でダンジョン探索してるように見えることから『散歩剣豪』。蔑称のようにも聞こえるが、呼ばれてる本人は気に入っていた。しかし『不落要塞』は聞いたことが無かった。
柊:「常人離れしたスタミナと受け流すことに長けた剣術でどんなボス相手にもタンク役が出来て、負けない戦闘を得意としてた。あの人がレイドに参加すると負傷者や死者の数が激減するって昔から評判なんだ」
蒼唯:「へーです。坪さんってレイドとか行ってたですね」
柊:「こはく連れて行くようになってから参加しなくなったからな。知らなくて当然だぜ。レイドは範囲攻撃で下手な後衛職は全滅する魔境だからな」
そんな昔話を柊から聞き終えた蒼唯は、アイテム製作に戻った。先ほどの話で何となくの方向性が見えたからだ。
「『不落要塞』と『忠犬』ですか。ピンっときたです!」
『従魔競技会』の種目はそれなりにあるが『レース』『お宝さがし』『バトルトーナメント』がこはくの出場する競技である。
その中で一番こはくにとって厳しいのは『バトルトーナメント』なのでそれを中心に、アイテムを造っていく。
「とはいえバトル素人ですから、勝てるかわからんですけど負けないってのは大切ですね」
本来支援職のこはくが『バトルトーナメント』にまで出場するのは異常なのだ。従魔の中でも三競技の出場は多い方である。本人がやる気なのが悪い。流石に坪も蒼唯のサポートがなければ参加させるつもりは無かったのだが、蒼唯の万全なサポートがあるので自主性を尊重する構えだ。
その坪の意向を汲んで蒼唯が造るアイテムも安全面強化の方向性となる。
「『お宝さがし』は『
着々と準備は進んでいくのだった。
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