第25話 注目度
蒼唯の『ぬいぐるみ』を即購入してくれた沙羅。彼女からお悩み相談を受けた蒼唯。
蒼唯:「つまりです、何か誰かから見られてる気がするってことです?」
沙羅:「そうです。私がというよりはこのベアーくんが見られてる感じなんですよね。ベアーくんが注目されるのは嬉しいけど、私も一緒に見られるとなると恥ずかしいの...」
蒼唯:「それなら、『
沙羅:「そんなモノがあるんてすね。じゃあそれください」
蒼唯:「じゃあすぐに付与しちゃうです」
沙羅はよく蒼唯に探索者関連での悩み事を相談してくる。しかし蒼唯は自慢ではないが、探索者周りの知識がほぼ皆無に等しい。そのため蒼唯の造った商品でのごり押し解決の提案しか出来ないのであった。
沙羅:「ベアーくんの時もそうでしたが、普通にショップとかで買うよりも蒼唯さんの商品ってとっても安いですよね?」
蒼唯:「まあ素材が安く手に入ってると言うのはあるですね。自分で素材を強化できるから高い素材を買わなくて済むです。
あとは、ポーションとか私が造ってても楽しくない商品は安売りしないですから、そこで帳尻を会わせてるです」
ダンジョンには、どんなに金を積んでも手に入らない装備やアイテムが多く存在している。それこそ蒼唯が製作した一点モノはそういうカテゴリーに入る。しかし蒼唯的にはそんなことは知るよしもないし、知ったとしても気にしないことだろう。
ポーション等の消耗品を除いた蒼唯の商品の値段は、素材代+αである。普通は性能が高ければ値段も高くなるが、商品の性能が良いか悪いかを客観的に判断できない蒼唯なので、素材代と少しばかりの技術料しか貰わないので、性能に比べて価格が安すぎる商品がかなりある。
性能や効果が上振れた商品を転売するだけで一財産が築けるほどだ。
沙羅:「じゃあベアーくんも素材は安いんてすか?凄い強い子なんだですけど?」
蒼唯:「『ぬいぐるみ』は試作品だったですからかなり安めにしてたです。『ぬいぐるみ』に使った素材は実は凄く高い素材ばっかですよ?」
沙羅:「そ、そうなんてすね。やっぱり運が良かったのか」
また気に入った客へのサービス精神は旺盛な蒼唯のため、高位の探索者からすればタダ同然で高性能なアイテムを手に入れれる場合も多く、それを気にしている者たちは、お土産と称して素材をプレゼントしたり、素材払いをする際、多めに渡し余った素材をあげるなど配慮をしている。
そして安く手に入った素材を使い、蒼唯がぶっ壊れ商品を客に還元するという好循環が生まれるのだ。
蒼唯:「でもです。やっぱり『ぬいぐるみ』は注目されてるです?」
沙羅:「当たり前です! こんなに可愛いくて強いベアーくんが注目されないわけないてすよ! 前なんてどこで買ったのって知らない人に声かけられちゃいました」
蒼唯:「教えたです?」
沙羅:「ううん、びっくりして逃げちゃいました」
蒼唯:「沙羅らしいです。出来れば変に広めて欲しくないですから助かったです。『ぬいぐるみ』用に買い揃えた素材も自分用の『ぬいぐるみ』で使いきったですし」
沙羅:「分かりました」
『ぬいぐるみ』造りは楽しいが、1つ製作するのにそれなりに労力を割くため、変に注目され大量受注など来た場合、1つ1つのクオリティが落ち『ぬいぐるみ』の可愛さが損なわれる事態に成りかねない。
造ること、そして沙羅のように商品の良さを感じでくれる人に巡り会うこと。蒼唯の趣味活はこれで完結しているため、これ以上規模を大きくする気はない蒼唯なのであった。
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