第20話 新たな素材回収法

 柊に製作した『ぬいぐるみ』が即売れしたことや『ぬいぐるみ』の性能について報告したところ、『ぬいぐるみ』に興味津々な様子で色々と聞いてきた。。

特に『ぬいぐるみ』に付与した自己強化『食トレ』を絶賛し、様々なアイテムに流用できる効果だと評した。

 ただ柊の反応とは異なり、蒼唯は『食トレ』についてそこまで汎用性が高いモノではないと考えていた。


柊:「不要な素材でアイテムが強化される。これはかなり画期的なことだぜ」


蒼唯:「別にそこまでじゃないと思うです。強化するなら適宜、私のところに持ってきて強化すれば良い話です。それに『食トレ』はそれなりに容量が大きいですから、それだけ他の効果が付けられないのも難点です」


柊:「確かにな。でも魅力的なのに変わりないぜ。性能も上層や中層ど無双できそうだな」


蒼唯:「そうなんですか...そういえば聞きたいことがあるですけど」


柊:「なんだい?」


蒼唯:「『ぬいぐるみ』だけをダンジョンで探索させるのって違反です?」


柊:「違反...にはならないと思うぜ。召還師が採掘ダンジョンにゴーレムだけを入場させるみたいなことはたまにあるしな」


蒼唯:「そうですか」


柊:「確かに今見せて貰った『ぬいぐるみ』の性能なら『ぬいぐるみ』だけダンジョン探索させて素材を回収みたいなムーブができそうだよな...」


蒼唯:「まあ本当にそれをやるなら、この試作品だと駄目なところが多いですけど」


 もしくは、ダンジョン探索まではさせずとも、本当にペットとして造っても良いかもしれないと蒼唯は思った。


―――――――――――――――


 日本際大規模のダンジョンにおいて『終末帝』が討伐された。これにより75層よりも下層にいけるようになった。より深部に行けばこれまで得られなかった素材、新しいモンスターからのドロップ品等が手に入る。これにより得られる利益は莫大なモノとなる。

 それを成した『流星』の人気は凄まじいモノとなっている。ギルドマスターの星蘭は勿論のこと、レイドに参加したメンバーの知名度は軒並み上がっている。  

 蒼唯の友人である輝夜にあってはこれまでクラスや学年の有名人的な立ち位置であったが、学校中から注目を集め、他校からも輝夜を見に来るそんな有名人となってしまった。


「『ぬいぐるみ』を主と離して運用するなら、動力源は別に...『魔力炉』です?」


 そんな皆の人気者に孤高の蒼唯が近づく筈もない。輝夜としては、よく知らないミーハー連中よりも友人の蒼唯と話したい事があるのだが、周りがそれをさせてくれない。今の注目された状況で話しかけても蒼唯に迷惑だろう。


輝夜:「今日の放課後、蒼唯の家に行ってもいい?」


蒼唯:「別に良いですよ。今は注文もないですし」


 そのため、2人が会話できるタイミングは学校では無くなってしまったのだ。


 放課後、蒼唯の部屋で談笑する2人。話はダンジョンの話となるのだが、今日は珍しく蒼唯から積極的にダンジョンについて質問してきた。


「へー、動く『ぬいぐるみ』か。...ってことはそれを持った女の子がダンジョンに潜ってるかも知れないんだ」

「かもしれんです。見かけたらよろしくしてくれです」

「まあでも『ぬいぐるみ』なら、モンスターと間違えて探索者に攻撃されることは少ないと思うけどね。もし心配なら召還師とかテイマーの人が使ってる識別票とか使ったら?」

「確かにです。それはありかもです」


 その後もお喋りは続く。蒼唯と輝夜、性格も趣味も違い、話も時々噛み合わないがそれでも2人とも楽しそうである。



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