第8話 呪いの活用

 星蘭から受け取った『地獄龍』装備の加工も終わり、久し振りに自分の趣味活を謳歌できる週末。蒼唯ですら持て余し気味の『地獄龍の逆鱗』の活用について考えていた。

 蒼唯の考えであるが、『呪い』だけではないが、『呪い』の性質というのは『錬金術』にとってとても大切な要素の1つである。この前蒼唯ご星蘭に売った『呪われず』の手袋は、そこまで高価な素材を使っていない。そのため本来『呪われず』と『技術力向上』の2つの効果を付与することは出来ない。それを可能にするのが『呪い』の性質でもある制限である。


「これは防具じゃ無いですし『防御力』は要らないです。他のステータスも極力要らないです...」


 効果を付与するのが足し算だとすれば、元々の効果を無くす、装備に制限を課す。そういった行為は引き算にあたる。そして足し引きの合計が装備品の素材が耐えられる数値にすれば良い、と蒼唯は考えて実行している。

 とはいえ足し算的な行為が『錬金術』の得意分野であるため、引き算的な行為は案外難しいのだ。それを容易に出来るのが『呪い』であり、上手に活用できれば更なる商品を造り出せると蒼唯は思っていた。


「あ、崩れたです。やっぱり『呪い』は引く力が強すぎるです」


 ただ引き算といってもその素材の本質的な性質を引いてしまえばその形を保てず崩壊してしまう。その案配に苦戦するのだった。


 ただ蒼唯の『錬金術』を扱うセンスはかなりのモノである。徐々に『呪い』の活用に慣れ始める。

 となると『呪い』を活用して色々と造ってみたくなる。出来ればちょっと造り応えごある物を。しかし丁度良い物がパッとは浮かばない。


「これ使って...時空鞄は材料が今は少ないからだめです、かといって他のモノでだと...あんま無いです」


 『呪い』を使った商品の新アイディアについて考える蒼唯であった。


―――――――――――――――


 『呪い』と存分に戯れた蒼唯は眠る前にメッセージを確認する。すると柊からメッセージが届いていた。


柊:「昨日、俺っちのギルドに『黄昏』が来てアオっちのこと聞きに来てたけど、何か接触あったかい?」


蒼唯:「特に何もないと思うです」


柊:「そうか、なら良かったぜ」


蒼唯:「ところで『黄昏』ってギルド名です? それとも何かの異名です?」

 

 聞き覚えがあるような無いような名称であるため、聞いてみたところ、柊からの返信が一旦止まった。そして


柊:「流石アオっち。『黄昏』ってのはギルド名であってるぜ」


 何が流石なのか蒼唯には分からなかった。とは言え蒼唯も柊に用事があったので丁度良かった。


蒼唯:「それはそうとです。今日、呪いと戯れてて幾つかアイディアが浮かんだです。ちょっと何点か買いたいですけど在庫の確認して貰っても良いです?」


柊:「呪いと戯れ? ま、まあいいや。用意しとくからリスト送ってくれ」


 よく分からないギルドの確認を終了し、話は趣味活へと移っていくのだった。


 

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