錬金術師のハンドメイド~フリマやってるだけなのに伝説的な扱いされてました~
和ふー
第1話 プロローグ
ダンジョンが存在する世界で初めてダンジョンに足を踏み入れた者が最初に授かるモノ、それがジョブである。ジョブは戦闘職と生産職に大別され、ダンジョン探索が盛んに行われ、ダンジョンのドロップ品で生産職が造り出す品々を上回るアイテムが手に入るこの時代には、生産職より戦闘職の方が優遇される。
蒼唯の運が良かった点は、ダンジョン素材やアイテムを個人間で売買するサイト『ダンジョンショップ』があったことであった。それがなければ一般人の蒼唯がダンジョン素材を入手したり造った商品を売ったりは出来なかっただろう。
蒼唯は簡単な商品以外は、客からメッセージで依頼を受けて造る受注生産的なスタイルをしている。そのため『ダンジョンショップ』内でもあまり認知されていなかったりする。それでも少ないながら固定客がおり、そんな人たちが蒼唯にメッセージを送ってくる。
星蘭:「アオ~、明日までにポーション50個用意できない? 何かうちの馬鹿どもが在庫管理ミスってて足りないの」
蒼唯:「星蘭さん...またです? 私、基本的に可愛い小物系の販売が主なんです。ポーションは専門外です」
星蘭:「そ、そんな事言わないでよ。アオの造ったポーションが一番効くんだから」
蒼唯:「煽てても...はぁー、分かりました造っておくです。
星蘭:「アオ~ありがとう! 愛してる!!」
蒼唯:「今度、新商品のテスト付き合ってくださいです」
星蘭:「任せて! うちのメンバーにもやらせるから!」
「...まったく。星蘭さんはたまにむちゃくちゃ言ってくるから困るです。てかそもそも50個って星蘭さんのギルドってそんなに大所帯なんです?」
星蘭は蒼唯が『ダンジョンショップ』を始めたばかりの頃から良くしてくれる最古参の客である。今回のように無茶な頼みをしてくる事もあるが、蒼唯の商品を気に入って使ってくれてるため、蒼唯もついついその無茶を聞いてしまう。
「さてと、明日までに50個です...明日は休みで良かったです」
蒼唯はポーションの製作に取り掛かるのだった。
―――――――――――――――
メッセージを送り終えた
無茶な頼みであることは星蘭も重々承知であり、優しい蒼唯でも断られる可能性は高かった。
「星蘭さま、『蒼の錬金術師』からのお返事は?」
「オッケーだって。よかったー。明日は『
「急遽、緊急依頼が重なりましたので仕方がないです。それにしても今日の明日で最高位ポーション50個を造り出せるとは流石『蒼の錬金術師』ですね。うちの専属の錬金術師では数本造るので精一杯ですよ」
「だよね。それにアオのポーションの方が性能良いし! アオには是非ともうちのギルドに入って欲しいんだけどね。本人がなー」
星蘭が何度勧誘しようと蒼唯は首を縦には振らない。蒼唯にとってハンドメイドは趣味の範疇なのだ。
「うちの勧誘を断るということは他のギルドと関わっているのでしょうか?」
「ほか~? そんな感じじゃないけどね。明日のレイドが終わったらまた聞いてみよ!」
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