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俺は、夢を見ていた。思い出そうとしても、霧がかかって、よく思い出せない。ただ一つわかるのは、それが良くないものだということだった。
深い眠りについていた俺を起こすかのように、朝日が差し込んできた。目をこすりながら、重い体をなんとか起こした。
「ねみぃ〜」
二度寝しようにも、時間が時間であったため、仕方なく起きることにした。
熾堂団地は、七星町にあり学生がよく利用するアパートである。俺は、ここで一人暮らしをしていた。
「時哉、いるか?」
玄関の外から声が聞こえてきた。春馬だ。杜郭治春馬は、俺の家の隣に住んでいて、こうしてよく一緒に登校している。
「今行くから、ちょっと待ってろ」
俺は、身支度を済ませて玄関の扉を開く。次の瞬間、あたりは光に包まれ、気づけば篠崎学校がすぐ目の前にあった。
「お〜い!何やってんだよ」
玄関の前にいる春馬が、こちらに向かって手を振っていた。俺は、急いで下駄箱へと向かい、靴を履き替える。すると、俺は何かに吸い寄せられた気がして、手でそれを掴もうとした。気づけば俺は、教室の椅子に座っていた。
「風...並風!聞いてるのか!」
先生が、大声でそう言った。黒板には、『合宿に行くなら山?それとも海?』と書かれていた。どうやら今は、夏の合宿会場をどこにするか話し合っているらしい。俺は、驚きながらとりあえず答えることにした。
機山か、此岸海...俺はやっぱり...。
「海っすかね」
「は?それはねぇだろ」
食い気味に、春馬がそう言ってきた。突然のことで、びっくりはしたが今怒っている現象に比べればマシな方だった。
「先生、山です。山にしましょう」
俺は、山も嫌いではなかったのでよかったのだが、それにしても推しが強いと、思ってしまった。その後、持ち物などを確認していたのだが、一瞬光が目に当たり、俺は咄嗟に目を瞑った。光が収まったので、ゆっくりと目を開ける。そこは、あたり一面が真っ暗で、足元が辛うじて見えるくらいだった。次の瞬間、俺は何者かに押されて、そして...。
「もう限界のようだ。この世界も、直に壊れてしまう...」
謎の男の隣には、墜落注意の看板が建てられていた。
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