デートの日なのに・・・

Danzig

第1話



心の声:さぁ、今日は久しぶりのデート!

心の声:化粧も、髪も、服もバッチリ、キメて来たし、

心の声:今日こそは、あいつを落として見せるわよ。


電車に乗る女性


心の声:この電車だと、ちょっと早めに着いちゃうわね・・・

心の声:でも、それもいいわね。

心の声:これは、やっぱり定番の

心の声:「待ったかい?」 「ううん、今来たところ」

心の声:なぁーんて♪ ふふふ

心の声:きっと、好感度アップね


込み合う車内


心の声:うーん・・

心の声:それにしても、電車、混んでるわね・・・

心の声:服が皺(しわ)にならなきゃいいけど・・・


女性の頭に痛みが走る


女性:痛っ!



心の声:え? え? 

心の声:何?

心の声:髪が引っ張られて・・・

心の声:もしかして、チカン?

心の声:・・にしては何か変


女性が状況を理解する


女性:あぁ!



心の声:えーーーーー!

心の声:隣の人が、私の髪をボタンに絡(から)めちゃってるじゃない

心の声:何それ最悪!

心の声:まったく、どういう事よ!



女性:あのぉ・・・すみません

女性:絡まっちゃったんですか?



男性が返事をする。


心の声:「そうですね」じゃないでしょ!

心の声:大事な日に何やってくれるのよ!

心の声:あんたがゴソゴソ動いてるから、絡まるんでしょ



女性:いえ・・・いいんですよ。

女性:仕方ないですよね、ふふふ


男性が笑う


心の声:「ははは」じゃないわよ!

心の声:あんたが一緒に笑ってどうすんのよ

心の声:こんなの、いい訳ないじゃないの!

心の声:考えればわかるでしょ!

心の声:あぁ・・・もう折角、綺麗にセットしたのにぃ!



女性:そちらこそ、大丈夫ですか?


男性が返事をする。


心の声:「ええ」じゃないでしょ

心の声:あんたの心配なんかしてないわよ

心の声:のんきな事言ってないで、ささと外(はず)しなさいよ



女性:え?

女性:あ、そ、そうですか・・・



心の声:とりあえず降りるって何よ!

心の声:私は、次の駅まで行かなきゃいけないのよ

心の声:もう、やめてよ

心の声:デートがあるのよ!

心の声:遅れたら絶対、あんたのせいだからね!



駅のホーム

不器用な男が絡まった髪を外そうとしているが

一向に外れる気配がない


女性:あのぉ・・・とれませんか?


心の声:何ぐずぐずしてるのよ、どんくさいわね!

心の声:こっちは時間がないよの!

心の声:あぁぁぁ、それじゃ余計に絡まっちゃうでしょ

心の声:不器用にもほどがあるわよ・・・



心の声:え? 駅員?

心の声:何、ハサミ持ってきてるのよ

心の声:私の髪を切る気なの?

心の声:冗談じゃないわよ!

心の声:セットが台無しになっちゃうでしょ!



心の声:あぁぁ、でも、もう次の電車が来ちゃう・・・

心の声:これに乗れなきゃ、遅刻しちゃうじゃない!


キレる女性


女性:もういいわよ!

女性:私に貸しなさい!


チョキン!

自ら髪を切る女性


女性:まったく、どんくさい男ね

女性:こっちはいい迷惑だわ!

女性:ふんっ!


到着した電車に乗る女性


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

デートの日なのに・・・ Danzig @Danzig999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説