ストーリー賞

 ストーリー賞は『世の中いろんなヤツがいる(作者:外套ぜろ)』です。

 作品リンク→https://kakuyomu.jp/works/16817330657589224054


 ○愚弟・評

 ストーリーとはなんぞやと考えました。

 小説におけるストーリーの役割はいくつかありますが、今回はキャラクターの行動も含めて、『キャラのことが好きになる=そのキャラが行動するならそれだけで続きを読んでみたい』と思わされたこちらの作品が今回のストーリー賞に相応しいかと思います。

 キャラクターたちの心の揺れる様を描いた作品や、ディストピア社会で事件が次々に起こる作品など、動きのある作品はたくさんありました。

 しかし、ストーリーを通して一番『キャラクターのことが好きになる』ように書かれていたのがこちらの作品でした。

 初めはキャラクター賞とも悩みましたが、キャラとしての特徴が際立っているわけではないことからストーリー賞となりました。いるだけで愛されるキャラというよりは、動くことで初めて魅力が分かるキャラになっていたかと思います。欠点のようなものでも魅力的に見せることができるのはひとえにストーリーの力です。

 参加作品の中で最も読みやすかったため文章賞に選ぶことも考えましたが、協議の末、今回の選考基準においては読みやすさだけでは足りないとの結論に至りました。

 またストーリーによってキャラへの愛着が湧いて読み進められてしまうがゆえに大きな瑕疵にはなっていませんでしたが、話の構成や設定については改善の余地が見られたかもしれません。特に、作品がどの方向へ向かっていくのかが分からないのは長編を書く際にはネックになるかもしれません。「一週間後までに○○をしないと××になってしまう!」や「○○がしたい!」などの作品全体を前に進ませるパワーがもう少しだけ欲しいところです。


 ○小山・評

 こういうことを言うと失礼に当たるかもしれないが、ストーリーと展開の魅せ方が非常に漫画的で上手い。

 地の文が少ないからこういうことを言っているわけではなく、キャラの登場の仕方や台詞のやり取り、場面ごとの視点カメラの置き方、場面転換のさせ方やナレーションの入れ方などが、漫画のコマ割りとして見ると非常に巧妙に描かれているのだ。

 だからといって小説として面白くないかといえばそんなこともない。ストーリーがしっかりしているからこそ、媒体を選ぶことはない。僕個人としては漫画原作の方が向いているだろうと思っただけの話だ。

 よってストーリー賞がよいだろうと提案することにした。

 軽快なテンポで進む話は読んでいて小気味いい。設定もわかりやすくライトノベル的で好きだ。

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