この条件でしたら私ですね!

あめがやまない

この条件でしたら私ですね

(結婚相談所にて)


佐藤

「えーっと、結婚相談所はここでいいのかな?すみませーん!」



内山

「はい!」



佐藤

「あ、あのー今日予約を入れていた佐藤というものなのですが…。」



内山

「あぁ!佐藤様ですね。ようこそ、結婚相談所へ。

そちらのお席におかけください。」



佐藤

「あ、ありがとうございます。」



内山

「まぁまぁそんなに固くならず。気楽にしましょう。

本日担当します、内山です。よろしくお願い致します。」



佐藤

「はい。よろしくお願い致します。」



内山

「さっそくなんですけど。

佐藤様、ご年齢をうかがってもよろしいですか?」



佐藤

「28です。なかなか出会いが少なくて…。」



内山

「なるほど。私に任せてください。

きっと佐藤様にぴったりのお相手とめぐり合わせてみせましょう。」



佐藤

「頼もしいですね。よろしくお願いします!」



内山

「では、佐藤様はどういったお相手を考えてますか?」



佐藤

「そうですね…。性格は優しくて、年齢は20代後半から30代前半でしたら大丈夫です。あとは、趣味とかが合えばいいなーって。」



内山

「性格は優しく、年齢も自分と近め。

佐藤様のご趣味はなんですか?」



佐藤

「あ、えーっと。写真撮ったり、サイクリングしたりですかね。

外の景色を見るのが好きで、こういった趣味を共有出来たらなと。」



内山

「なるほど。素敵なご趣味ですね。」



佐藤

「そうですかね。あはは。ありがとうございます。」



内山

「私も写真撮ったりしますよ。

なので散歩とかは嫌いじゃないですね。」



佐藤

「あ、そうなんですね!外はやっぱりいいですよね。分かります。」



内山

「あ、ちなみに、ご職業は?」



佐藤

「プログラマーをしてます。」



内山

「年収の方をうかがっても?」



佐藤

「500万くらいですね。

僕が養おうと思ってるので、お相手の収入は特に考えなくて大丈夫です。」



内山

「素敵な方なんですね。」



佐藤

「そんな…僕にできるのはこれくらいしかないので。」



内山

「分かりました。ある程度、情報が固まってきたので

検索かけてみましょうか。

あ、ちなみに顔写真はある場合と、ない場合がありますのでご了承ください。」



佐藤

「あぁ、それなら大丈夫です。はぁ…緊張するな。」



内山

「大丈夫ですよ~

検索で運命の相手が決まるわけじゃあるまいし

こんなもんですよ?」



佐藤

「すみません。慣れてなくて。」



内山

「…お、一件ヒットしました!」



佐藤

「え!?一件だけですか!?」



内山

「こんなもんですから。お気になさらず。」



佐藤

「そ、そうですか…。」



内山

「この方は…内山あかねさん。年齢が26、性格は朗らか、趣味がサイクリング、外の景色が好き。結構条件にぴったりじゃないですか?」



佐藤

「おぉ!すごいですね!こんなにもぴったりな方が!

その方とお会いしてみたいです!」



内山

「そうでしたか!では、どうしますか!

佐藤さん!!どこで待ち合わせします!?」



佐藤

「え、あぁ、えーっと。

どうしたんですか?そんな前のめりに…。」



内山

「な、なんでもないですよ!!

それより佐藤さんは何がお好きですか!?

洋食!?和食!?中華!?」



佐藤

「う、内山さん?」



内山

「ここの結婚相談所に来るということは…ここら辺の近くってことですよね!?

てことは、時間もかからない…どこに住まれてるんです!?」



佐藤

「内山さん、ちょっと待ってください。」



内山

「え?なんですか?」



佐藤

「パソコンみせてくださいよ!」



内山

「あ、あぁ!ちょっと!勝手に触らないで!」



佐藤

「…。」



内山

「…。」



佐藤

「内山あかねさんって、あなたのことじゃないですか…。」



内山

「…はい。」



佐藤

「なんで、自分をここの会員として登録してるんですか?」



内山

「え、いや…。」



佐藤

「結婚相談所ってこんなもんなんですか?」



内山

「そうですよ!こんなもんですよ!

初めてのご利用でしょうから、佐藤様はまだよくわかってないんですよ!

弊社の社員だって複数のアカウントを持ってます!」



佐藤

「そんなことありますか!?

職員が自ら登録してるだなんて!」



内山

「私だって…女の子なんですよ…?」



佐藤

「あ、え、いや…そうなんですけど、けどですよ!けど!

これとはまた別のことでしょう!?」



内山

「別のことじゃありません!私だって真剣なんです!」



佐藤

「真剣なのは分かりましたから…。

ちょっと条件を変えてみます。」



内山

「は、はい。」



佐藤

「ええと、年齢は同じままで大丈夫です。

身長は160程度、髪型はショートが似合う人がいいかもしれません。」



内山

「分かりました。少々お待ちください。」



佐藤

「よろしくお願いしますよ。はぁ…。」



内山

「…あ!一件ヒットしました!」



佐藤

「また一件ですか。」



内山

「はい!身長は162。髪型は・・・。よいしょ。」


(内山は自分で髪を切る)



佐藤

「ちょちょちょちょ!内山さん!?何してるんですか!?」



内山

「え?髪の毛を切ってるんですよ?ちょっと長いかなーって思って。」



佐藤

「いやいや今じゃないでしょ!なんで今!」



内山

「よし。これでいい感じのショートですね。」



佐藤

「ちょっとパソコンみせてください!」



内山

「あぁ!だから勝手に使わないでくださいって!」



佐藤

「ほれみたことか!やっぱり内山あかねさんだ!

さっきからなんなんですか!」



内山

「だ…だって。」



佐藤

「だってじゃないですよ!こっちはお金も払って真剣なんですよ!

からかわないでください!」



内山

「からかってないですよ!私は佐藤様のために!」



佐藤

「じゃあ、ちゃんとしてくださいよ!」



内山

「はい…。」



佐藤

「じゃあ、そうですね…。

これまでの条件に加えて、胸の大きな女性でお願いします。」



内山

「え、えぇ!?胸ですか!?」



佐藤

「胸の大きな人がいいっていう方もくるでしょう?」



内山

「ま、まぁ、そういう方もいますけど…ちなみに、どのくらいですか?」



佐藤

「そうですね…Gくらいでお願いします。」



内山

「ABCDEF、G!?」



内山

「G!?って言いましたか!?Gって!?」



佐藤

「何をそんなに驚いてるんですか。」



内山

「い、いえ、驚いてなんかないです!」



佐藤

「この条件でお願いします。」



内山

「ちょ、ちょっと待ってくださいね。」



佐藤

「いくらでも待ちますよ。」



内山

「…あの。」



佐藤

「はい?」



内山

「ちょっと、マッサージに行ってきてもいいですか?」



佐藤

「え?なんで今行くんですか!?仕事中ですよね?」



内山

「だって今、いくらでも待ちますって仰ったじゃないですか!」



佐藤

「限度ってものがあるでしょう!無理に決まってるじゃないですか!」



内山

「いいじゃないですか!!ちょっと豊胸マッサージをしにいくだけですよ!」



佐藤

「何を考えてるんですか!?そんなことしたって」



内山

「意味がないって言いたいんですか!?そのくせさっきから

乙女の心を捻じ曲げるような条件ばっかり言って!

最低ですよあなた!だから出会いもないんですよ!」



佐藤

「だからここに来てるんですよ!」



内山

「あ…。」



佐藤

「出会いがないから、あなたを頼ってるのに…。自分のことばかり。」



内山

「す、すみません。取り乱してしまいました。」



佐藤

「分かってくれればいいんです…。僕も言いすぎました。」



内山

「…でしたら。」



佐藤

「なんですか?」



内山

「私の胸を…触って下さい…。」



佐藤

「は!?」



内山

「佐藤様が私の胸を触って、それでGカップであると感じてくださればそれでいいんですよね!?ね!?」



佐藤

「そ、そんなことできるわけないでしょう!!」



内山

「さぁ!私の胸を!判定してください!!ほら!」



佐藤

「内山さん!!」



内山

「…はい。」



佐藤

「自分の体を…そんなに安く扱わないでください。」



内山

「…。」



佐藤

「もっと自分を大切にするべきです。軽々しく自分を売っちゃいけません。

結婚相談所の職員なら分かりますよね…?」



内山

「佐藤さん…。」



佐藤

「内山さんに何があったのかは知りませんが、それだけ相手のことを考えて行動できるんですから、きっと素敵な方と出会えると思いますよ。」



内山

「…佐藤さん。申し訳ございませんでした。ありがとうございます。」



佐藤

「なので、今日は僕の手助けをしてください。お願いします。」



内山

「分かりました。佐藤様のため。本日は頑張らせていただきます。」



佐藤

「はい。お願いしますよ!」



内山

「それでは、もう一度条件を整理していきましょう。」



佐藤

「基本的には、最初の条件で大丈夫です。

もう胸とか身長とかそういうのはなしで。」



内山

「分かりました。ではその条件で検索かけてみます。」



佐藤

「お願いします。」



内山

「…お、20件ほどヒットしましたよ。」



佐藤

「めっちゃヒットしてるじゃないですか。」



内山

「それでは、一人ずつ確認していきましょう。」



佐藤

「そうですね。」



(悩む二人)



内山

「どなたか…気になる方はいらっしゃいましたか?」



佐藤

「そうですね…この、外海あおい(そとうみあおい)さんって方が気になります。」



内山

「顔写真がありませんが…大丈夫ですか?」



佐藤

「はい、内面が素敵な方がいいので。プロフィールで伝わってくるんです。」



内山

「そうでしたか。それでは、外海様へ連絡をしてもよろしかったですか?」



佐藤

「あ、仲介役的なことをしてくださるんですか?」



内山

「はい。待ち合わせなど、お二人がお会いするまでは、こちらが管理させていただいてるので、ご安心ください。

待ち合わせ場所、日時などはこちらから連絡をいれますので。」



佐藤

「あぁ、そうしてくれると助かります。ありがとうございます。」



内山

「それではまた、決まり次第連絡を入れますね。」



佐藤

「分かりました!今日はありがとうございました!」



内山

「いえ、ご利用いただきありがとうございました。」



佐藤

(こうして、ついに外海さんと出会う日がやってきた。)


「やばい…めちゃくちゃ緊張する。どんな方なんだろう…。

そろそろ時間だよな…。大丈夫。いつも通りいつも通り。」



内山

「あの…佐藤さんですか?」



佐藤

「あ!はい!僕がさとうで…。」



内山

「そ、外海です…。」



佐藤

「…え?え?

内山さんですよね!?なんで!?」



内山

「あ、名前覚えててくださったんですね。嬉しいです。」



佐藤

「いやいやいや!なんで内山さんが来てるんですか!あなた仲介役でしょ!?」



内山

「だって…。」



佐藤

「だってなんですか!?」



(照れ恥ずかしそうに)


内山

「…佐藤さんが、選んだんですよ?」



佐藤

「え?僕が選んだのは外海さんですよ。」



内山

「外海は…私の、裏アカウントです。」



佐藤

「は!?裏アカウント!?…あぁ!」



内山

「分かりました?」



佐藤

「内山の反対が外と海で外海ってことですか。」



内山

「…はい。」



佐藤:

「ちょっと待ってくださいよ!え?こんなのありですか!?」



内山

「私だって!自分が選ばれるだなんて思ってないんですから!」



佐藤

「…まぁ、そうですよね。

頑張れば僕も気づけてたかもしれないのに。

申し訳ないです。」



内山

「…すみません。」



佐藤

「謝らないでください。」



内山

「職員なのに、会員として登録するからこんなことに。」



佐藤

「ちょっと失礼しますね。」



(内山の胸を触る)



内山

「へ!?ちょっと!どこ触ってるんですか!?」



佐藤

「…これはGカップですね。」



内山

「へ?」



佐藤

「そう感じただけです。

お店予約してるんで、そこでゆっくり話しましょう。」



内山

「私、Gカップじゃ…。」



佐藤

「僕が結婚相談所に行ったとき、あなたが言ったんですからね。

セクハラとか言わないでくださいよ。」



内山

「佐藤さん…。そういうこと出来るんですね」



佐藤

「え、あ…。い、勢いですよ!すみませんね!」



内山

「じゃあ…セクハラかどうかはデート次第ですね!」



佐藤

「あ、え、が、頑張ります!い、行きましょうか!」



内山

「はい!」

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