第8話 安寧

 

 「レインボードラゴン・”夢美”は、要するに新時代の汎用家電なのだったが、目指すのは時代の革命児としてのきわめて特殊で枢要なニッチェ、”王様キング”の地位だった。

 「歴史は夜作られる」とも言うように、人生の3分の一を占める眠りや夢、あるいは休養、そうした精神や肉体の影の次元、OFFの時間のマネジメント、生産的、創造的な活用、そういう発想がこれまでの人類社会には欠けてはいなかったろうか?眠りにも夢にも副次的な関心しか持たず、精神世界やスピリチュアルな部分への目配り、それがなおざりで、無頓着すぎなかったろうか?従来の社会のいろいろな弊害や問題には、おそらくは「メンタル面でのより深い人間復興」?がいまだしであること、宗教的な救済ですら無政府状態で中途半端なままであることはもとより、「こころ」という最も人間を人間たらしめているものへのより具体的で積極的で科学的なアプローチが社会的な中心課題として前面に出てくるという、そういう余裕すらなかったのかもしれないが、そこがタブー視されるような、経済や肉体中心の風潮があったのではないか…大雑把に言うと、”夢美”が引っ提げて現れたのはそういう”精神世界のルネッサンス”的な思想なのだ。…」(イプシロン・アスク「次世代の神~レインボードラゴンの大いなる飛翔~」より…「LIFE」誌への寄稿の抜粋)



<続く>

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