SS・『虹』

夢美瑠瑠

第1話 野望




 世界一の大富豪で、「アスラ」社の経営者の、イプシロン・アスク氏は、ある日に自分が「虹」の上を歩いて渡っている夢を見た。

 ディズニーの映画か何かの一場面のような、ヒロ・ヤマガタ氏の絵の中に入り込んだような、非常にファンタジックでいい気分の夢だった。

「あーあ。「虹を渡る夢」か…おれらしいな」

 やがて、文字通り”夢心地”で覚醒した彼の脳裏に、蠟燭に灯りがともるように、ふっと一つのアイディアがひらめいた。

 「そうだなあ…自分の思い通りの「夢」を、思い描いたシナリオ通りにみられるような?そういうことは可能だろうか?現代の脳科学とかの最先端のテクノロジーの応用で?」

 野心的な企業家で、エンタープライズの精神の化身のごとき、思い立ったアイディアを実行することにかけては空前絶後の、殆ど神か悪魔かエイリアンのような桁外れの能力を持つといわれるアスク氏は、すぐさま様々なアイデアを帰納、演繹しはじめた。

 

<続く>




 



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