ペットショップは動物園ではございません!!

龍筋肉

第1話 とあるハムスターの話


皆さんはペットショップ店員

それはお客様に新たな家族を迎えるお手伝いをする。

そんな誰もがイメージをする花形のお仕事。


そんなペットショップ店員であるこの物語の主人公こと私、【とある】から一言言わせていただきたい。


否!ペットショップは魔窟である!!


ペットショップと言われれば犬、又は猫を取り扱うイメージを持つ事が

多いと思うが、ペットショップには鳥や小動物、爬虫類、魚等を取り扱う店舗も

数多く存在している。


私が勤務している某ペットショップAB店も犬猫以外を取り扱っている店舗だ。

ペットショップといえば、生体をお客様に渡す事がメインだと思われがちだが、実はその作業は一日の作業の1割にも満たない。

主な作業としては餌と水やり、ふん尿が付いた床材の除去、汚れが酷いケージの掃除、魚類であれば水槽の掃除等ももちろん行う。

ペットショップとは清潔を保つ努力は欠かせない。


清潔さはかかせないようにしてるがーーー


「うわぁーこの部屋くっせぇ!」


私の目の前にいる、近所の小学校の体操服を着ている少年が大声でそう言っている。


うん、ぺットショップには頭からキノコでも生えてんじゃね?って思う非常識な人間がよく集まってくる。

動物園と勘違いしてるのか?

いや、動物園ならもっと良いマナーを


そういう事を言うのは例え子供であっても悪影響を与えるためすぐに対処をしなければいけない。


「ねえ、君?張り紙にも書いてあるよね?他のお客さんの迷惑になるからそういう事言うのやめねくんない?(なあ、ガキあんまり調子乗ってるとしばくぞゴラァ※副音声)」


「ご、ごめんなさいぃいいい」

「ったく、最初から謝るならしなければいいのに」


こういった発言は、他のお客様の迷惑になる。

それもそうだろう。

確かに、小動物特有の匂いがするのは間違いない。

しかし、それが好きで見に来ているお客様も大勢いるのだ。

別に、それを思う事は良い。

嫌いなものを好きになれと言ってる訳じゃない。

それを【言葉に出すという行為】自体が、私個人としては【人】としてどうかしていると思うのだ。


だからこそ、私は間違ってるお客に対しては、毅然とした態度で迷惑な客に対して対応するのを常に心がけている。


まあ、子供の大半は注意すればやめるからいい方だ、だが理解の範疇の外にいる人間も一部存在する。それが・・・


「ねえねえ店員さん」


後ろから話しかけてくる30代の女性。


「はい何でしょう?」

「ハムスターに着せる服ってないのかしら?」


頭からキノコどころか全部キノコで出来てんだろって思うほどやばい大人達である。


「いえ、ハムスターに着せる服は置いてありませんよ?」

「はぁ!?犬には着せる服はあるのに何でハムスターは無いって言うのよ!!」


いや、ねえもんはねえよ。

そんなもん普通のペットショップは取り扱ってねぇよ。


「まあ、絶対売ってないとまでは言い切れませんが、そもそも犬だって毛が無い犬に着せてあげるばらまだしも、大半の人間が自分のエゴで着せてるだけですし、ストレスにしかなりませんよ?そもそも、人間に懐かないハムスターに着せるのは物理的に無理じゃ無いですか?」


そう、ハムスターとは相当知能が低い生き物なのだ。

どれだけ餌をやっても


「うちの子供が着せたいって言ってるのに何でそんなこと言うんですか!?それでもペットショップの人なの!?何とかしてくださいよ!!」


不二子不二子と金切り声を上げるお客様、いやもうこれお客様じゃねぇな。

キノコ(爆)だ。


うーん、なんか可哀想だな、この人の頭。


自分がやってる事がどれだけハムスターにストレスを与えようとしているか、そしてその子どもに怪我をさせる行為かを理解していない。

ちょっと考えりゃ分かることだと思うけど、やっぱキノコには難しいよな。



「・・・そもそもハムスターってのは自然界では単独で生活し、同種を見つけると喧嘩して、場合によっては殺してしまうほど知能が無い生物なんですよ。それに対してストレスにしかならない服を無理やり着せるってことは、ハムスターの寿命を縮める可能性がありますし、それだけじゃなく、嫌がった反撃であなたの子供に噛みつき指を噛みちぎるかもしれませんがいいんですね?」


そう、それがわかっていないのだ。

ハムスターとはそもそも群れない生き物なのだ。

その上ハムスターは知能が低いため懐くどころか、【慣れる】事もない。

ハムスターを買っている人ならわかるだろうが、餌を入れるだけで自分の餌が取られると勘違いして威嚇してくる。

そして、指を餌だと思って齧ってくる。

本当にその程度の知識しかないのだ。



「も、もう何なのよもう!!」


私の正論パンチでダメージを負ったのか、負け犬のように去っていったキノコ(爆)


「あー、なんかすっげー疲れた」

本当にやめてほしい。

正直、ああいう奴ら相手にするのは精神的疲労する。

まだ今は午前中、この後閉店まで勤務って考えるとちょっと憂鬱になる。


「とあるさーん、ちょっとミーアキャットの掃除してくれない?」

「あーはい、すぐ行くからちょっと待っててー」


これがペットショップ店員の日常だ。

確かに、やりがいは感じるし、自分に合ってる仕事だとは思う。


けど定期的にぼやかないとやってられないのも

ペットショップ店員だと私は思う。


あ、ちなみに私はハムスターは嫌いだ。









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