ボッチなたぬきとぽんこつテロ娘~暴走する美少女テロリストとちょっとずるい少女のドタバタほのぼの闘争劇
伊野部すぺく
第1話 闘争の日々が始まりました
ここは
クラスメイトのひそひそ声が聞こえる。
「ねえ……
「……うーん、でもお父さんの疑惑が色々と報道されているし、そういう時ってかえって気を
「まあねー。それに、前から一人がすきそうというか、他の人と距離感があったからねー」
田主は心の中で思った。
(ふぁあ……政治家の娘なんてやっていると、まあこういうこともありますよね。でも、一人でいても別に苦にならない性格だから、ぼっち生活を楽しんでいくのにも問題はないというわけです)
彼女は意外にも
だが、田主輝奈子はまだ知らない。今日を境に彼女の日常は大きく
そう、今日この日から薄氷を踏むような緊張感に満ちた闘争の日々が始まるのだ――
担任の
「みなさーん席についてくださーい。転校生を紹介しまーす」
転校生が漆黒のロングヘアをさらさらと
「うわあ、すっげえ美人……」
男子生徒たちが思わず
転校生はまるで妖刀のように美しかった。シャープで端整な顔に透き通るような白い肌。そして、彼女の切れ長の目は常人にはない異様な光を放ち周囲の人間をたちまち魅了する。
彼女の両目に宿る光――それは信念のためには自らの死をもいとわない狂気、そして秩序に対する激烈な反逆の意志だ。
転校生がさらりと黒髪をかき上げながら言った。
「ふっ、今から革命の
転校生が指をパチンと鳴らした。
ヒュー……、パァーン!パァーーン!パァーーン!
校庭で花火が揚がった。
さらに彼女の足元からシューという音を立てて煙が上がる。
「わたしは
教室内がざわめく。
「ふふ、大物政治家の田主金五郎の娘、田主輝奈子さん。あなたを残酷に抹殺してこの国を恐怖に染め上げるわ。今日からこの席が私とあなたの闘争の最前線よ!」
麦谷が田主の隣の空いている席に座ろうとした。
先生が言った。
「あー麦谷さん。その席は欠席中の比木くんの席でーす。麦谷さんの席はあっちでーす」
窓側の田主の席とは反対側の廊下側の席を示した。
驚きのあまり麦谷の眼玉が飛び出した。
「まっ、まさかこのわたしが先手を取られるなんてっ!さては裏から手をまわして教師を
麦谷は飛び出た眼球を両手でぐいっと奥に押し込んだ。そして澄ました表情を取り戻して、髪をさらりとかき上げながら言った。
「ふっやるわね、田主輝奈子。まっ今はかりそめの勝利に酔うといいわ。あなたは必ず私によって粉砕されるのだから」
自称テロリストは廊下側の自席に去っていった。
田主は小声でつぶやいた。
「ふぁあ……変な人に目をつけられてしまいましたので、これからは大変な毎日が待っていそうです……」
田主は今後の学校生活のことを思って、ふっとため息をついた。
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