やる気がない

ぐらにゅー島

勉強しますか

「実家に帰らせていただきます」

 ある朝、俺は不意に彼女にそう言われた。冗談かと思い、彼女の目を見たがその目は真っ直ぐに俺を見ていた。

「そんな、急になんで……?」

 背中に冷たい汗が流れる。どくり、どくりと静かな部屋に心臓の音だけが響くなか彼女の次の言葉を待った。

「え、なんかノリ?」

 なんでもないように、彼女は真顔でそう言い放った。

「そうか……って、え、ノリ⁉︎ ノリでいなくなられると困るんですけど⁉︎」

 そこで、俺は居なくなってほしくないと言う思いを伝えるために彼女の名前を音にした。

「やる気さん、マジで居なくならないで……! 俺受験生だから! …ね?」

 恐る恐る彼女…もとい「やる気」さんの目を見る。彼女は俺の言葉が気に食わなかったのか、顔を真っ赤にして俺に叫ぶ。

「じゃああなた、勉強とやる気どっちが大切なの⁉︎」

「やる気がいないと勉強できないんだよ!」

 なんだこれ。でもちょっと嬉しかったようでやる気は恥ずかしそうに俺から目を逸らした。

「でも、今日はなんか実家に帰る気分だからごめんね」

「えー」

 まあ、やる気がいないから勉強できないなんて言い訳でしか無かったのだ。よし、勉強するとしますか。

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やる気がない ぐらにゅー島 @guranyu-to-

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