ちっぽけな永遠

Danzig

第1話



もう忘れてもいいのかもしれない

こんなに胸を痛めたのだから


もう忘れてもいいのかもしれない

こんなに涙を流したのだから


もう忘れてもいいのかもしれない

忘れられるものならば



人に流れる時間のそれは

人それぞれがもっている


人それぞれの時間がふと


触れあい


すれ違い


重なり合う時がある


それはまさに偶然の出来事



そんな偶然に人は翻弄されてしまう



何処までも広い宇宙のその中の


ちっぽけな


ちっぽけな


人と人とが織り成す偶然



そんなほんの些細な偶然に

人は何故だか翻弄される



そんな偶然など無ければ


そんな偶然など無かったように振舞うならば



人はどれだけ苦しまず


時間の中を過ぎていけるだろう



重なり合ったそれぞれの時間が


まるで絡み合った紐が解けていく様に


やがて二つはゆっくりと


惜しむ様に離れていく



離れた後でもなお永遠に


その偶然に人は心を奪われる


もう二度と起きない奇跡を


私たちは知っているのに



偶然のその後で


一つになった私は思う




永遠に心を奪われてしまうのなら


せめて永遠が終わるまで


この心をあずけておこう



何処までも続く時間のその中の



ちっぽけな

永遠が終わるまで



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