出合わせ系配信者、出会いの場を作って配信しまくっていたらいつの間にかS級美女たちが集まるようになっていた件〜義妹は無自覚な兄が心配です〜
エンジェルん@底辺作家
プロローグ
第1話俺は出会わせ系配信者!
「ミーチュー(meet you)さんのおかげで俺たち結婚できました! 本当にありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます!」
新婚のお二人さんが俺にお礼を言う。
今日もまた俺のところに結婚報告をしに来てくれる人たちがいる。
「おめでとうございます! 末長く幸せに暮らせることを願っています!」
なぜ俺のところにお礼を言いに来る人がいるかというとだな
俺が出会わせ系ヨーチューバーとして活躍しているミーチューだからだ。
現代人はますます忙しくなっている。仕事は山のようにあり、睡眠時間を削っても終わらない毎日。人と出会っている暇なんてない!
そこで俺は趣味が合う、気が合う、境遇が似ている、立場が似ている
そういう人たちが集まって効率よく出会える場を作り、その様子をヨーチューブで配信することにしたのだ。
そしたらまさかのことにバズってしまった。
チャンネル登録者は100人ぐらいだったのが鰻登り、今では100万人間近になっている。
今や俺は時の人。
いろいろなメディアに取り上げられるようになり、この前はテレビに出演して名言を残してきた。
僕はね、運命の人って本当にいるんだと思ってるんですよ。それはね必ずしも異性とは限らないし、歳が近い人とも限らないんです。出会い続ければどこかで自分に変わるきっかけをくれる人、そういう人に出会えると思います。みなさん、人と会いましょう、別に家に閉じこもっていてもいいんです。そしたら僕がオンラインで出会える場を作ればいいだけなんですから。
この部分が切り取られてヨーチューブのショートに流されたことが、今チャンネル登録者数と視聴回数が指数関数的に急増している理由だ。
そして今日もまた出会いの場――2回目のオタクが集う会を都心にしてはビッグな公園で開いている。
ちなみにオンライン制度はまだ確立していない。意外と難しいんだよ、今プログラミングを学んでるからもう少し待ってくれ。やるなら万全で臨むのが俺のスタイルなんだ!
俺は実はこの会を開くのをちょっぴり楽しみにしていた。
俺自身もこの活動を通していろいろな出会いをしたいと思っているが、俺は元オタク陰キャ。なんだかんだこの空気が1番落ち着くんだよな。だけどさ、必ずいるんだよ。
こういう場を壊したいと思う奴らが。
全く今日もまた俺が奴らを排除しないといけない。
俺は毎回手伝ってくれる妹にカメラを回させてインタビューをするために彼らの元へ歩いて行った。
+++
「そこのみなさーん、インタビューさせてもらってもいいですか?」
・・・・・・!
「や、やばい社会的ニッチ殺しがこっちに来たぞ」
「えっ? もしかしてあのインタビューをしようとしてるのか?」
「あれをされたら俺たちおしまいだぞ! た、退散だー! 逃げろ!」
マイクを持ちながら近づいたらあっという間に逃げていく。奴らはしっかりと仮面をつけているが、それでもインタビューされるのは怖いらしい。
もちろん逃げていく後ろ姿はキッチリとカメラに収めておく。
(はぁー、俺もこんなことはしたくないんだけどなー。どうすればあういう人たちをなくせるんだろ)
俺がまだ、出会いの場配信を始めたばっかりの時に妨害してきた輩がいた。
俺は邪魔してくるのにムカついてインタビューと称してその輩を顔出し配信して、全国に流した。
案の定その輩は社会に批判されまくって後日俺に謝罪配信をさせてくれと頼んできた。
俺は人の人生を壊したいなんて微塵も思っていなかったからしっかりと謝罪を受け入れ、いい感じに説教しておいた。
以後彼らは時々俺の配信を手伝いに来ようになった。今日も来てるよ。
正直助かっているし、彼らにも彼女ができて、今では妨害してきたのが信じられないくらいに温厚な性格になっている。
こういう出会いもあるんだよな。
それにしても
社会的ニッチ殺しのミーチューか・・・・・・
大部分は俺がやったことに賞賛したが、一部では俺に対する批判もある。
「お兄ちゃん、また無理しちゃダメだよ」
妹が心配そうに俺をみてくる。俺は妹を安心させようと頭にそっと手をのせて優しく撫でる。妹は気持ちよさそうに頬を緩ませ、ほんのりと顔を赤く染める。
「お義兄ちゃんは大丈夫だよ。心配してくれてありがとね」
そのまましばらく妹の頭を撫でた。
+++
「あのー・・・・・・ミーチューさんですか?」
俺が1人で出会いの場を徘徊していると突然後ろから声をかけられた。後ろを振り返るとそこには
小柄で綺麗なストレートの黒髪、まんまる眼鏡をつけたおとなしそうな清楚系美人がいた。
「そうですよ。僕に何か用ですか?」
俺は努めて優しい声色で言う。彼女の肩が小刻みに小さく揺れているからだ。多分人と話すのがあまり得意じゃないんだと思う。
「えっと、えっと、きょ、今日はミーチューさんに会いたくて出会いの場にきました!」
彼女は可愛く両手を胸のあたりまであげてグーにしながら精一杯大きな声で言った。その声はなぜか不思議とよく通る。
「えっ? 俺に会うために?」
俺はいきなりそう言われてビックリする。
「そ、そうです。どうしても会い・・・たく・・・て・・・・・・」
彼女の顔はりんごのように真っ赤に染まっている。俺も俺で会いたいと言われたことが初めてで、恥ずかしくて顔を真っ赤にしていたと思う。
お互い恥ずかしさのあまりに下を向いていると
「あっ、いたっ! お兄ちゃん!」
俺を見つけた妹が俺に飛びついて抱きついてくる。
「ふふふー、やっぱりお兄ちゃんに抱きつくのが一番落ち着く」
「人前は恥ずかしいからやめろよ。全く皐月(さつき)は昔から甘えん坊だな」
俺は穏やかな目でまた妹の頭を撫でていると
「う・・・・・・そ・・・・・・。昔妹なんていなかったでしょ・・・・・・」
彼女はポツリと小さな声で何か呟き、途端に下を向いて走り去っていく。
「えっ? ど、どうしたの?」
俺は慌てて追いかけようとするが、彼女の足は速く、すぐに見失ってしまった。
「やっと会えたと思ったのに・・・・・・あの子は誰? あなたたちは本当に兄妹なの?」
全力で走ったせいで変装用のウィッグがズレる。彼女は伊達メガネを外し、隠すように帽子を深く被って下を向きながら歩く。時折流れてくる涙を大切なハンカチで拭う。
彼女は大人気アイドルグループ
ラブアゲインのセンター
カーヤこと
出会いを大切にして描いていきたいと思います。
あなたにとっての出会いはどんなものでしょうか?
私は今、読者であるあなたと出会ってますよ。
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