女バーテンダー3

Danzig

第1話

女バーテンダー3


カランコロン


バーテンダー:いらっしゃいませ

バーテンダー:こちらのお席にどうぞ


男性客:ありがとう


椅子に座る男性


バーテンダー:何になさいますか?


男性客:じゃ、ジントニックを


バーテンダー:かしこまりました


カクテルを作りだす女


男性客:こんな所にお店があるなんて、今まで気づきませんでした。


バーテンダー:そうですね、目立たないお店ですから

バーテンダー:やはり、新規でおみえになる方は、あまりいらっしゃいませんね。

バーテンダー:どちらかというと常連の方が多くて


男性客:そうでしたか

男性客:落ち着いた雰囲気なので、きっと常連さんも多いんでしょうね。


バーテンダー:そういっていただけると嬉しいです。


男性客:この辺りは何度か来てるんですが、今まで気づきませんでしたよ。


バーテンダー:先日、お店の入り口を少し変えてみたんです。

バーテンダー:それで気づいていただけたのかもしれませんね。


男性客:そうでしたか


バーテンダー:どうぞ ジントニックです。


カクテルを出す


男性客:ありがとう


一口飲む男、ふーと一息つく


バーテンダー:ところで、今日はどうしてこの店に?


男性客:昨日、妻とちょっとあって・・・それで、なんか帰りづらくなっちゃいましてね


バーテンダー:そうですか


男性客:それでフラフラしてたら、偶然この店を見つけたって感じです。


バーテンダー:そうでしたか


男性客:あぁ~あ・・・


落ち込む男


バーテンダー:今日、お客様がこのお店にいらしたのも、何かの縁かもしれませんね。

バーテンダー:私でよろしければ、お話を聞かせていただけませんか。

バーテンダー:少しは気が楽になるかもしれませんよ。


男性客:ありがとう・・・ 


少し考える男


男性客:実は昨日


ゆっくりと話をする男



バーテンダー:そうだったんですか


男性客:なんか素直になれなくて・・・


バーテンダー:そうですね

バーテンダー:上手くは言えないですが、

バーテンダー:お互い素直になれない時は、男性の方から歩み寄っていただけると

バーテンダー:女としては嬉しいですけどね


男性客:そうですか・・・

男性客:そうですよね・・・

男性客:帰って妻と話してみます


バーテンダー:そうしてあげてください。


男性客:今日はここに来れてよかったです。


バーテンダー:ありがとうございます。

バーテンダー:お代わりをお作りいたしましょうか?


男性客:じゃ、同じものを


バーテンダー:かしこまりました。


カランコロン

別の客が入ってくる


バーテンダー:あ、いらっしゃいませ


男1に向かって


バーテンダー:少々お待ちください


男性客:ええ


バーテンダー:こちらのお席へどうぞ


常連客:ああ、ありがとう


席へ座る男


バーテンダー:何になさいますか?


常連客:そうだな・・・今日はバーボンで


バーテンダー:かしこまりました。


常連客:ふー


一息つく男


バーテンダー:お疲れのご様子ですね。


常連客:あぁ今日は疲れたよ


バーテンダー:たしか、出張と仰っていましたが


いかがでしたか?


常連客:ちょっと厄介な相手でね、ホント疲れたよ


バーテンダー:そうでしたか

バーテンダー:どうぞ、エバン・ウィリアムです。

常連客:あぁ、ありがとう


常連客:そういえば、入り口の雰囲気変わったんだね


バーテンダー:ええ、今まで目立たなかったので、少し雰囲気を変えてみようと思いまして


常連客:そっか・・・


バーボンを一口飲む


常連客:あぁ、そうだ

常連客:出張先で、君にお土産を買ってきたよ


バーテンダー:本当ですか?

バーテンダー:嬉しいですわ


常連客:気に入ってもらえるといいんだけど


バーテンダー:じゃ、失礼して


袋の中を開ける


バーテンダー:まぁ、カクテルグラス

バーテンダー:こういうグラスが欲しかったんです。


常連客:そりゃよかった


バーテンダー:嬉しい


男性客:きれいなグラスですね、僕もこういうグラスでカクテルを飲みたいな。


バーテンダー:では、カクテルになさいますか?


男性客:はい、お願いします。


バーテンダー:かしこまりました。


常連客:ところで、こちらの方は?


バーテンダー:新しいお客さんですよ

常連客:お客さんって・・・

常連客:家に知らない人とか入れちゃダメでしょ


バーテンダー:いいじゃない、折角来てくれたんだし


男性客:え? 

男性客:ここってお店じゃなかったんですか?


バーテンダー:お店よ


常連客:どう見ても、お店じゃないでしょ、

常連客:あなたも変だと思いませんでしたか?


男性客:いやぁ看板も出てたし・・・

男性客:でも、そう言われてみれば・・・


常連客:言われてみればって、

常連客:コタツとか置いてあるバーなんてないでしょ普通


男性客:いや、個性的というか、変わった雰囲気のバーだなぁって


常連客:えーーー


バーテンダー:もう、

バーテンダー:いいじゃない、折角来てくれたんだし。

バーテンダー:ね、ゆっくりしていってくださいね。


男性客:いえ、あの・・僕はもう帰ります。


バーテンダー:別に帰らなくていいのよ


男性客:お邪魔しました~


バーテンダー:そんな・・・お代わり作るから・・・


逃げるように帰る男1


バーテンダー:あぁ・・もう、

バーテンダー:折角、初めてのお客さんだったのにぃ


常連客:バーテンダーごっこで、お客さんとか入れちゃダメだよ

常連客:あの人だって、勘違いして可哀想じゃない


バーテンダー:いいじゃない、向こうから入ってきたんだから


常連客:表に看板なんか出しちゃダメだって


バーテンダー:だってさ、あなたが出張から帰ってきたらビックリさせようと思ったんだもん


常連客:そりゃビックリしたけど・・・いろんな意味で・・・


バーテンダー:喜んでくれるかなぁって思ったんだもん


常連客:うーん、喜ぶってのはちょっと・・・


バーテンダー:ねぇ、雰囲気出てたでしょ?


常連客:まぁ、確かに雰囲気は出てたけど・・・


バーテンダー:じゃぁさ、買ってきてくれたカクテルグラスで、カクテル作って飲みましょうよ。


常連客:うん・・・いいけど・・


バーテンダー:じゃぁ、あなたの好きなマティーニ作るわね

バーテンダー:今夜も一緒に飲みましょうね、あ・な・た♪ うふ♪


常連客:(アドリブ)



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女バーテンダー3 Danzig @Danzig999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説