吉原ご法度
Danzig
第1話
(女郎と竹蔵が主人の前に正座をしている。)
主人:まったく、何をやってくれたんだいお前達は
主人:おい、竹蔵
主人:お茶引き女に情が移ったからって、店の女郎に手を出すとはどういう了見だい
主人:「すみません」じゃないよまったく
主人:確かにここ吉原は色恋を金で買うところだよ
主人:だけどね、身内同士はご法度なんだよ
主人:そんな事を許しちまったら、そんなら私もってきりが無くなっちまうだろ
主人:それじゃ、あっという間に店は潰れちまって、吉原のいい笑いもんだよ
主人:それくらいは分かってるだろ
主人:何だい?
主人:「住み替えを覚悟する」って、お前なんて住み替えも出来やしないよ
主人:お前みたいに薹(とう)が立っちまった女郎をどこが欲しがるってんだい
主人:それにね、お前は禿(かむろ)のころから真面目なだけが取り柄の、不器用で器量も悪い女だよ
主人:よその店でなんて、やっていけるもんかい
主人:はぁ~
主人:このまま店に置いておく訳には行かない
主人:とはいっても、住み替えも出来やしない
主人:まったく、こっちは大損だよ
主人:あぁ~、もう
主人:お前の顔は見たくもないよ
主人:竹蔵、
主人:さっさとこの子を連れて出てお行き
主人:ここを出てって、二人で所帯を持つなりなんなり、好きにすればいいさ
主人:ん?
主人:あぁ、その事かい
主人:お前、この子の借金がいくらか知ってるのかい?
主人:どうせ、お前達になんか何年かかったって返せやしないよ
主人:返って来やしない借金なんていつまで待っててもしかたがないんだから
主人:もう棒引きにしてやるよ
主人:そのかわり、竹蔵
主人:お前は店から女郎を一人盗んだんだ、その償いはしてもらうよ
主人:お前はこれからも、この店で今まで以上に汗水たらして働くんだ
主人:いいね、それが条件だ
主人:お前も、竹蔵が一生懸命働くように、ケツをひっぱくんだよ
主人:一生懸命働けば、お前達二人が食う分くらいの給金は稼げるだろうさ
主人:後悔しないように、しっかりとひっぱたいてやんな
主人:さぁ、この話はもう終わりだよ
主人:さっさと出てお行き
完
(女郎と竹蔵が主人の前に正座をしている。)
主人:まったく、何をやってくれたんだいお前達は
主人:おい、竹蔵
主人:お茶引き女に情が移ったからって、店の女郎に手を出すとはどういう了見だい
主人:「すみません」じゃないよまったく
主人:確かにここ吉原は色恋を金で買うところだよ
主人:だけどね、身内同士はご法度なんだよ
主人:そんな事を許しちまったら、そんなら私もってきりが無くなっちまうだろ
主人:それじゃ、あっという間に店は潰れちまって、吉原のいい笑いもんだよ
主人:それくらいは分かってるだろ
主人:何だい?
主人:「住み替えを覚悟する」って、お前なんて住み替えも出来やしないよ
主人:お前みたいに薹(とう)が立っちまった女郎をどこが欲しがるってんだい
主人:それにね、お前は禿(かむろ)のころから真面目なだけが取り柄の、不器用で器量も悪い女だよ
主人:よその店でなんて、やっていけるもんかい
主人:はぁ~
主人:このまま店に置いておく訳には行かない
主人:とはいっても、住み替えも出来やしない
主人:まったく、こっちは大損だよ
主人:あぁ~、もう
主人:お前の顔は見たくもないよ
主人:竹蔵、
主人:さっさとこの子を連れて出てお行き
主人:ここを出てって、二人で所帯を持つなりなんなり、好きにすればいいさ
主人:ん?
主人:あぁ、その事かい
主人:お前、この子の借金がいくらか知ってるのかい?
主人:どうせ、お前達になんか何年かかったって返せやしないよ
主人:返って来やしない借金なんていつまで待っててもしかたがないんだから
主人:もう棒引きにしてやるよ
主人:そのかわり、竹蔵
主人:お前は店から女郎を一人盗んだんだ、その償いはしてもらうよ
主人:お前はこれからも、この店で今まで以上に汗水たらして働くんだ
主人:いいね、それが条件だ
主人:お前も、竹蔵が一生懸命働くように、ケツをひっぱくんだよ
主人:一生懸命働けば、お前達二人が食う分くらいの給金は稼げるだろうさ
主人:後悔しないように、しっかりとひっぱたいてやんな
主人:さぁ、この話はもう終わりだよ
主人:さっさと出てお行き
完
吉原ご法度 Danzig @Danzig999
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます