欲しいものはいつも

ガブリエルちな

1-1

 あまりにも暑すぎる夜だった。

 エアコンのリモコンに手を伸ばした里美は、しばらく考えてからその手を止めた。そしてゆっくり起き上がると、窓の側に置いてある扇風機のスイッチをを入れた。

 まだ梅雨の時期だというのに、どうしてこうも暑い日が続くのだろう。里美はこの先に待ち構える酷熱の季節を思うたびに、ひどく憂鬱な気持ちになるのだった。

 朝六時。目覚まし時計が奏でる爽やかなメロディーとは対照的に、どんよりとした面持ちで里美の一日は始まる。顔を洗い、歯を磨き、珈琲を淹れ、パンを焼く。給料日の後しばらくの間は、ここに安物のヨーグルトが追加される。

 里美は少し焼きすぎた食パンをかじりながら、大して興味のない朝の情報番組に目をやった。政治家の汚職事件や、芸能人の不倫の記者会見など、どの番組を見ても中身は大して変わらないが、里美は毎朝『朝シャキ!』を見ると決めている。メインの女性アナウンサーが里美と同い年で、同じく独身であることが決め手だった。

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