必殺仕事人風台本7『お藤』

Danzig

第1話


女郎屋の地下、仕置き部屋

バシッ、バシッ

女郎を縛り付けて、竹で叩いている


お藤:いつも、いつも、下手(へた)ばかりしやがって


バシッ、バシッ


お藤:なんでお前は、

お藤:私の言った通りに出来ないんだ


バシッ、バシッ


お藤:お前たち女郎(じょろう)はね、

お藤:言われた通りにするのが仕事なんだよ


バシッ、バシッ


お藤:お前たちはね、頭から爪の先まで、全部私の持ち物なんだよ


竹で女郎の顎を持ち上げる


お藤:いいかい、勘違いするんじゃないよ

お藤:私の持ち物って言ってもね、

お藤:お前たちはキセルのような、いいもんじゃないんだよ


お藤:お前たちはね、キセルに詰めるタバコの葉と同じさ

お藤:一服すって、うま味がなくなりゃ、もういらないんだよ


お藤:そうなりゃ、もうゴミと一緒さ

お藤:置いといてもらえるだけ、有難いと思うんだね


お藤:あ?

お藤:聞いてんのかい?


女郎の反応がない


お藤:あぁ、死んじまったか

お藤:チッ!、ゴミのくせして、勝手に死ぬんじゃないよ

お藤:ったく、いい迷惑だね、これじゃ本当にゴミになっちまっただろうが


お藤:苦労するんだよ、このゴミを捨てるのは


お藤:あぁ~あ、今度はどこに捨てようかね・・・


死体を置いて戻ろうとするお藤

階段付近で左之助の影に気づく


お藤:誰だい? そこにいるのは・・・


左之助:・・・・


お藤:ここには入ってくるなって、いつも言ってるだろ


お藤:まぁ、いいさ

お藤:そこにいるついで、こいつを何処かに捨ててきておくれ


左之助:捨てられるのは、おめぇだよ


お藤:何だい、あんた


左之助:おめぇのようなゴミを三途の川まで捨てにいく男さ


お藤:殺し屋かい、誰に頼まれたんだい


左之助:さぁな


お藤:ねぇ、殺し屋さん、ものは相談なんだけどさ

お藤:あたしを見逃しておくれよ


左之助:そいつは、できねぇな


お藤:勿論、タダとは言わないよ

お藤:あんたが幾らで殺しを頼まれたか知らないけどさ、私はその倍だすよ、いや、三倍だしてもいいよ


左之助:できねぇ、相談だな


お藤:そうかい、金には興味がないのかい

お藤:じゃぁ、女を抱かせてやるよ

お藤:あんたが過ごしたい女と一晩過ごせるようにするからさ、そいつを好きにしていいから、私は見逃しておくれよ


左之助:ほう


お藤:別に一晩じゃなくてもいいんだよ

お藤:好きな女を、何人でも、何日でも、好きなだけ抱かせてやるさ

お藤:まるで、お殿様みたいな気分になれるよ


お藤:何なら、私を抱いたっていいんだよ


左之助:それじゃダメだな


お藤:何だい、女郎はいやかい?

お藤:生娘(きむすめ)がいいんなら、街からいくらでも連れてきてやるよ

お藤:女を散らす喜びを、何度でも味あわせてあげるよ


左之助:言いたい事は、それだけか?


お藤:そうだ、じゃぁ、私をあんたの女にしておくれよ

お藤:この「お藤さん」を女に出来るんだ、あんた、江戸じゃ鼻が高いよ、裏でも表でもね

お藤:ねぇどうだい、自分の女は殺せないだろ?


左之助:もういいだろ

左之助:次から次へと、よくも出てくるもんだな

左之助:まったく、あきれるぜ


得物を構える左之助

焦(あせ)るお蝶


お藤:ちょ、ちょっと待っておくれよ

お藤:金だって出すよ

お藤:なんだって、いう事を聞く

お藤:ね、お願いだよ、い、命だけは助けておくれよ


左之助につかまり、くるりと後ろを向かされる


お藤:あ・・


ブス・・・左之助の得物がお藤を捕らえる


お藤:うっ


左之助:お前に殺された女郎たちも「助けてくれ」って言わなかったか


ズブズブと刃が食い込んでいく


お藤:あぁ・・・・


左之助:色仕掛けも金仕掛けも、地獄で閻魔様に試してみるんだな


お藤:くぅぅ


絶命するお藤



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