第六話 farewell this world 3
「まずは君の死因について振り返ろう。君は現世で残念ながら日頃の不摂生により、持病の心臓病を発症し、あのスーパーでぽっくりと、死んでしまった。まあ、まずそこで君の現代人としての生涯は終わったのだ。」
「.....」
「しかし、大丈夫だ、安心したまえ。私達、聖なる導きの神達は、死んだ者たちに【三つの】とある選択肢を全員に与えているんだ。」
「せ、選択だと。そ、それはなんだ?」
ある程度察しはついている。しかし、そこで知ったかぶりをするのはナンセンスだろう。あえて知らないふりをし、とぼけた。
「だ、か、ら、それを今から君に、判断材料を元手にして、一体どれにするかを今から決めてもらうんだよ。まあ、これで、今から何をしようか、綺麗さっぱり、馬鹿な人間の君にも分かっただろうな。クスクス。」
ムカッ。
どんだけ俺のこと馬鹿呼ばわりするんだよ。
あと、自分で言って自分で笑うな、俺がまるで本当に馬鹿みたいで傷つくだろ。
まあ、事実かも知れないけど、俺は認めん。
「まあ、人間らが、思っているよりこの世界って非科学的だからねー。色々と、疑うのも無理はない。」
「でも、なんで女神とかじゃなく、よりにもよってペルセポネが...。どっかの漫画はさ、やっぱりこういうのってみんな女神だったしな。」
「いや、まあ、それはねー。」
「いやぁ、それだったら、あのエリス様に導いて欲しかったなぁ。もしくは異世界に行く特典で、【優しい女神】(マジ天使)とか一緒に持って行けたらなぁー困ることは無いんだけどな。」
俺がそう言った瞬間少しペルセポネは顔色を変えた。
少し調子に乗り過ぎたかもしれない。
一応、神サマを相手にしている事をすっかり忘れていた。
「おい、ちょっと君。その、さっき言った、『エリス』っていったいどこの女神のことなんだ?私はこの耳ではあまり聞いた事がないんだが。」
半ば怒り口調でペルセポネは俺に問いただした。
きっと今から特定して、その女神を探す気なのだろう。
全く関係ない女神を危険に晒す訳にもいかないから誤魔化す事にした。
けど、結局は、この人は、悪魔....なんだな。
「ん?いやぁ.....えっと.....あれだ。そうそう、惑星の話ですぜぇー」
「ん?君、惑星に導いて貰いたかったのかな?よーし、それなら今から呼ぼうか?惑星『エリス』を。」
全く困ったことに神にはちょっとしたジョークが、通じないらしい。
このままじゃほんとに惑星の方を、を呼び寄せかねない。
何か面倒ごとを起こしてしまう前に、なんとか止めなければいけない。
正直なんか、めんどくさい。
「いや、全然結構、もう大丈夫たから。」
「うーん、そうなのか。よくわからないな。」
「まあ、この話は長引かせるとややこしくなるから此処らで終わりにしよう。」
「まあ、よかろう、好きにすれば良い。」
「はは、ありがとう。そういや思ったんだけどもさ、なんで導くのが女神じゃなくて、ペルセポネなんだ?」
「ちょっと女神は色々なところに対応しなくてはいけなくて、結構忙しいようでね。まあ、そこで、超絶可愛い私が代わりに死者に選択を与えているんだ。」
なんだろう、この短い会話に物凄い勢いの自己承認欲求が満ち溢れている。
現代にいたらSNSで自己承認欲求のマウント合戦をおこなっていたであろう。
仮にもな話だが。
「しかし、なんか私は知らないけれども、最近あまり私の評判がよろしくないんだ。うーん、どうしてなんだろ。最近他の女神にこっぴどく叱られるし。」
「そりゃあ、まあ、思い当たる節は割とあると思うけども、例えば死んだ直後の人間にまもなく、死に様見させようとするからだろ。」
「ええ、嫌なの?」
「めっちゃ嫌だよ。」
「.....」
「.....」
俺たちはこの後暫くダンマリしていたが、ようやくペルセポネが口を開いた。
「ふむ。ああ、そうかそうか、それが私の悪評の原因だったのか。あはは、そんな単純なことだったのか。まったく、それは実に参考になるな。今度から死者にアンケートでも取ってみるべきかな。参考までに。」
アンケートと言う概念が現世に留まらず、あの世にもある事に驚く。
ってか、書いてくれる人なんているのか?
多分みんな死んで間も無くとかだったらそんな余裕ないと思うけど。
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