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 さて、役所での手続き諸々だが、なぜかやたら厳重だった。建物の前には警備員が並んでいて「誰だ」「何をしに来た」と剣呑な態度で問いただしてくる。


 ──ええと、ウヒカ・ハッウラです。今日、日本から戻ってきたんですが。留学のやつです。第41回の。それで、レポートとか、出しに来ました。他にもいろいろ書類とか。これ、通れる感じですかね。何かあったんです?


 みたいなことを言ったと思う。実際はもっと酷い。緊張で舌も頭も回らないのが情けなかった。不審に思われたのか、元々そういう決まりなのか、二人ほど監視につけられた状態で役所の中を歩いていく。


 役所とは言ったって数少ない国立施設の一角だ。極小国家に特有のおおらかさか、いつ来ても偉い人が二人か三人はいるからだろうか。近くで事件か何かがあって、要人を守らなければならない、みたいな事情があるのかもしれない。


 ただ、こうも物々しいのは慣れない。ちょっと振り返ろうとしただけで後ろから突かれるのも気分が悪かった。


 警備の男たちは窓口の職員にも高圧的な態度を取っていた。新入りっぽそうなお姉さんなんかもう怯え切ってしまっていて……いや、僕も同じような様子だったろうけれど。今思えば。


 その後は別室みたいなところに通されてずっと待たされている。途中で弁当の差し入れがあったけれど、これの味気ないこと。


 明らかに今買ってきましたと言わんばかりのスパムミートと包装されたバケット。それも、日本のスーパーでもよく見かける、とてもバケットとは思えないようなフニャフニャの代物だ。


 水はないのかと尋ねたところ、物凄く嫌そうな顔で「俺に買ってこいって言うのか」と言われたので、じゃあいいですとひたすらもそもそと食べる。


 腹は膨れた。確実にろくでもないことに巻き込まれている。窓から差し込む日もそろそろ茜色に近づいていた。寝る場所もなさそうなので、このままだとパイプ椅子を並べて寝ることになるかも知れない。

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