Simuration War Of Micro

卦位(けい)

序章

「マスター、敵機確認。UFO母船四機。子機展開中です」

「よーし。全機発進。マザーとベータは十秒後に長距離射撃を開始。残りは縦4方向より敵群に突入。ノルマはそれぞれ母船一隻だ」

「了解しました。マスター」

 四機のAIが声をそろえて答える。今日も相変わらず落ち着いてるね、皆さん。

「愛李、新手が出現したら進入ポータルと占領マーカー位置を予測しろ。母船を仕留めたらその予測に従って動く。最初はポータルに向かえ」

「わかりました。ガンマはどうされますか?」

「いつものとおりにいくか。フィールド哨戒にあたらせろ」

「了解です。ガンマは母船迎撃後、哨戒行動に移行せよ」

「復唱します。ガンマは母船迎撃後、哨戒行動に移行せよ」

 ガンマは声からするに女の子のようだ。なんでだろ?

「アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン母船群に突入。順調に迎撃作戦を遂行中」

 正面モニターに交戦中の四機の様子が映し出される。この分だとあと3分もすれば片が付く。

「マスター。マザーの後方に新たな敵の出現反応。モニターに出します」

 モニターが切り替わり新手を映し出す。

「なんだこれ?見たことないぞ」

「データにありません。新型と思われます」

 おっ!いよいよ敵もレベルアップか。面白くなってきた。

「愛李、出るぞ」

「マスター、あまり無茶はしないでください。敵の性能を調べることを主目的に置いてください」

「わかってるって。んじゃ、行ってきます」

 俺の椅子はパイロット仕様に変形しながら愛機のコクピットに滑り落ちていった。ドッキングの軽い衝撃とともに2πrad(ニパイラジアン)モニターが点灯し、周りの情景を映し出す。

「η(イータ)出る」

「了解。マスターご武運を」

 加速度を感じながら俺は飛び出した。

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