第17話 ケーキ


ケーキ


みなさん、スイーツはお好きですか?

口の中に広がる、甘みや風味がとても魅力的な食べ物ですね。


甘いのはちょっと・・・と仰る、甘みが苦手な方もおみえになりますが、

これまでスイーツを口にしたことが無いという方は、少ないのではないでしょうか?


スイーツとか甘味(かんみ)と呼ばれる、いわゆる甘いお菓子は、子どもから大人まで、洋の東西を問わず、古くから人々に愛されて来ました。


どっしりとした甘みの物もあれば、ふんわり軽い口当たりの物があったり、

芳醇な香りの物や、食べるのが勿体ない程の美しい見た目の物もあったりと、

色や形、香りや食感など、まさに無限とも言える種類がありますね。


そして、そんなスイーツの中でも、特に花形(はながた)と言えるのが「ケーキ」ではないでしょうか。


子どもの手のひらにも乗るくらいの小さなものから、大人の背丈よりも大きなものまで、

一年中食べられ、しかも、お祝い事には欠かせない、この「ケーキ」は、まさにスイーツの代表と言っても過言ではありませんよね。


ケーキの歴史はとても古く、紀元前五千年から八千年くらいの新石器時代と言われています。

スイスの村落跡(そんらくあと)から世界最古のケーキが見つかったようですが、

その頃のケーキは、今のケーキとは違い、穀物などを練って平らに伸ばした固いものだったようです。


このような固いケーキは、ギリシャ時代やローマ時代にも多く食べられていたようですが、どうやらこの頃のケーキは、殆(ほとん)どパンと同じような扱いだったそうです。

古代ローマの料理本に甘いパンの記載があり、それらがケーキに発展していったと考えられています。

そして、ケーキは全世界に広まって行き、中世の時代に今のようなケーキの形になったようです。


英語ではケーキと呼びますが、スペイン語ではパステル、フランス語ではガトー、ドイツ語ではクーヘンとかトルテとか。

世界各国でケーキの呼び方は違いますが、これらの言葉は、どれも日本でよく耳にする言葉とは思いませんか?

それだけ、日本には世界中のケーキが入って来ているという事なんですね。


日本で最初のケーキは、江戸時代にポルトガルから入って来たカステラと言われています。

カステラはスイーツだけどケーキじゃない! と思う人もいるかもしれませんね。

確かにカステラは、私達の思い描く今のケーキのイメージとは少し違うかもしれませんが、パンケーキのようなものと考えれば納得がいくのではないでしょうか?

そして、このカステラは、後に日本のケーキの歴史に大きな影響を与える事となるのです。


日本でケーキと言えば、スポンジ生地にクリームを塗って、フルーツを乗せたものを思い浮かべる方も多いと思います。

それは、日本でケーキと言えば「ショートケーキ」という時代が長く続いたからではないでしょうか。



ちなみに、「ショートケーキ」のショートとは、「短い」という意味ではないという事をご存じでしたか?

丸いホールケーキを8分の1くらいにカットしたくらいの、小さなショートケーキ。

その小ささから「ショート」を「短い」と思っている人も多いと思います。


でも、ショートケーキのショートとは、実は「サクサク」という意味なのです。


イギリスに「ショートブレッド」と呼ばれるサクサクしたクッキーのような焼き菓子がありますが、このショートブレッドのショートはサクサクという意味です。

また、お菓子作りに使われる「ショートニング」という固形の油がありますが、これも「サクサクさせる」という意味で付けられた名前なのです。


ですから、海外でショートケーキと呼ばれるケーキは、その名の通り、サクサクとしたケーキなのです。


しかし、日本のショートケーキはふわふわのスポンジ生地に、しっとりした生クリームが塗られたものですよね?

では、どうして日本のショートケーキは、サクサクしていないのでしょうか?


それは、日本におけるショートケーキの歴史に関係があるのです。

実は、日本のショートケーキは、日本で生まれた日本独自のケーキで、外国には、日本のようなふわふわしたショートケーキは無いのです。


日本で初めてショートケーキが売り出されたのは、今から約100年前の、1922年、大正11年の横浜でした。

不二家(ふじや)の創業者、藤井林右衛門(ふじい りんえもん)が、アメリカのショートケーキを参考に、日本のショートケーキを作ったと言われています。


この時、林右衛門(りんえもん)の見たアメリカのショートケーキは、生クリームやイチゴを、固くてサクサクしたビスケットのような生地(きじ)で挟んだものでした。


しかし、林右衛門(りんえもん)は、固い生地は日本人の口に合わないと思い、やわらかいスポンジ生地(きじ)を使う事を考えて、今のショートケーキを作ったのです。


そして、この時、ショートケーキに使用された生地が、カステラ生地だったと言われています。

江戸時代に日本に初めて入って来たカステラというケーキが、こんな所に繋がっていたなんて、なんだか不思議ですね。



いかがでしたか

一年のうちで、私達がよく口にするケーキといえば、お誕生日ケーキとか、クリスマスケーキが一般的だとは思いますが、

みなさんは、今後どんな美味しいケーキを召し上がるのでしょうか。


それでは、またお会い致しましょう。

さようなら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る