新たな道へ
外出から戻ってきたフェリクスとセレスティアに、ナタンはリリエと話し合ったことを伝えた。
「そうか。それが、君たちの選択なら、何も言うことはない」
「少し早いかもしれませんが、幸せになってくださいね」
まるで、そうなることは分かっていたとでも言うように、フェリクスとセレスティアは、ナタンたちを祝福した。
「ところで、君がやりたいことというのは何なのか、聞いてもいいか?」
フェリクスが、ナタンに問いかけた。
「『
「なるほど。紹介所で悪質な者を
「そうだね。それに、
「ナタンなら、きっと、やりとげられると思いますよ」
セレスティアが、ナタンを励ますように言った。
「私たちは『
少し心配そうに、リリエが言った。
「そうだな。俺たちは、もう少し『
フェリクスが、そう言ってセレスティアを見ると、彼女も頷いた。
「『
「俺たちのような者には、居心地がいいからな。それに、君たちも、いずれは戻るのだろう?」
そう言って、フェリクスは微笑んだ。
「もちろんさ。今度は、飢え死にしかけてフェリクスたちに拾われるようなことがないようにするよ」
ナタンは、からからと笑った。
数日後、移動の準備を終えたナタンとリリエが「
長らく世話になった「
「そうだ。フェリクス、これを渡すのを忘れるところだったよ」
ナタンは、見送りに来ていたフェリクスに、一つの封筒を差し出した。
「これは?」
フェリクスが、首を傾げた。
「初めて会った時の、食事代と宿代だよ。返すって、約束しただろ?」
「そうだったな。別に、構わないんだが……」
「あの時、フェリクスたちに助けてもらわなければ、俺は、どうなってたか分からないし……こういうの、きちんとしたいんだ」
二人の様子を見ていたセレスティアが、微笑みながら言った。
「ナタンの、そういう真面目なところは好ましいですね。フェリクス、受け取っておきましょう」
彼女の言葉に、フェリクスも頷いた。
「では、ありがたく受け取っておこう。これで、借金の回収は完了だ」
そこへ、ラカニが走ってきた。
「ああ、間に合ったな。今日、
「忙しいんじゃなかったの? でも、来てくれて嬉しいよ」
ナタンは、ラカニと握手を交わした。
「先に言っとくぜ。結婚おめでとうってな」
ラカニが言って、片目を
「ま、まだ早いよ! でも、ありがとう」
ナタンとリリエは、揃って顔を赤らめた。
仲間たちに見送られながら、ナタンはリリエと共に乗り合い車両へ乗り込んだ。
初めて「
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