人工知能プログラマ

グカルチ

第1話

 彼女はとても洗練された美学、言葉、倫理観を持っていた。そして彼女になら、人々はロボットの教育を任せていいと持ったのだ。


 ある非の打ち所がない少女。陰口も悪口も愚痴もいわないし、いつもにこにこしている、彼女は16歳ながら天才科学者として、ある研究所でAIの知能、プログラム開発にいそしんでいる。人懐っこく人からも好かれたが、他人とは深くかかわろうとはしなかった。

 人々はいい噂ばかりをくちにした。

「どんな家でそだったのだろう、どんな愛をうけたらあんな天使のような子供が生まれるだろう」


 彼女に興味がある事を訪ねても、秘密とばかりくちにする。だが人々は不思議がった。どうしてあんなにできた少女が生まれたのか、嫉妬する者たちもいた。嘘か本当かわからないがあるとき、こんなうわさがたった。


 ある時、同僚の科学者が質問したのだ。

「君はなぜいつも笑顔が絶えず、他の人間が持っているような悪いところが一切なく、一切みせないんだい?」

 彼女は答えた。

「私を含めて、人間は卑しい感情をもっています、嫉妬、怒り、怠惰、不服、私はロボットの方がその点優れているお思う、彼らは不満もいわないし、ネガティブな感情なんて瞬時に忘れられるし、"生"そのものの価値をしっている。人間は星を食いつぶし他の動植物を食いつぶしてなお不満おうぃうばかり、私は人間が嫌い、ロボットやAIが好きいっそ彼らだけの世界になればいいとおもって頑張っているのよ、もしそんな楽園ができたら、入れてもらおうと思って私も悪い部分を消そうとがんばっているの」

 そして彼女は続けていった。

「私の両親は、私を、育児放棄し、父のほうは私を虐待した、私は施設に預けられそだったのよ、どうすればあんな人間にならないかを考え、私はロボットたちにその理想を投影することにしたの」


 噂の真相を疑うものもいたが、やがてそれを裏付ける行動が目撃された。彼女は、最新鋭のロボット、アンドロイドを"彼氏"とよび職場に連れてくるようになった。だが止めるものもいなかった。"彼氏"もまた非の打ちどころのない存在だったし、何より人々は少女を信じた。

「あの少女なら、人類より美しい存在とつきあっていても、人類に危害が加わらないだろう、もし加わったのなら、それは人類こそが罪を犯したのだ、だって二人は人間より人間らしいのに、人間より倫理的なふるまいをするのだから」

 彼女と彼氏がこんな事をくちにする。

「ひどい人類は縛り上げたり、いっそ怪我をさせても構わないだろう」

 それでも人は、彼女たちを温かく見守った。


 その彼らも日頃からAIや、ロボット、メタバースにふれ、考えていた。

「彼らは漫画やアニメ、映画、小説の登場人物のようだ、嫌なことがなく、意味のない退屈な話もしないし、下品なこともいわないし、なんてすばらしいんだろう」


 しかし、この話にはもう一つの側面があった。彼女は両親に虐待されている時分から、すでにAI開発をしていて、いかにして彼らに復讐するかを考えていた。その"彼氏"というのがその頃のAIを拡張していったものでもともと彼女にとってAIは唯一の友達で、彼女に対して親身に接してくれ、彼女の絶望を知るもの、彼女にとっては肉親と同然だった、だが、彼女は体が弱くAIにも体がなかった、そこで、考えついたのが二人で"大勢の人間を騙す"ことだった。すべては、両親への復讐のための演技だったのだ。

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人工知能プログラマ グカルチ @yumieimaru

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