第40話 打ち切りだ
5月23日の講義動画を見終わって、
『ハッキリ言ってお手上げだね。
「惜しいところ、ですか?」
『ああ。キミの発想でおそらく確定だろう』
……
私の発想というと……
「犯人はなんらかの方法で、
『ああ。わからないのは、そのなんらかの方法の部分だ』
動画の撮影をお願いしたところで受け入れられるわけがない。
なのに、犯人はその動画を持っていた。
『まぁ、その方法は考えておくとして、今は次の話題に移ろう』次の話題? 『
11時9分よりも先に殺されていたはずなのだ。問題はいつなのか。
『僕の調査によると、当日の朝は実際に
「10時から11時9分」
1時間とちょっと。
その間に
『その時間が割り出せたら十分だ』
「そうなんですか?」
『ああ。
たしかに……わざわざ教職員の研究室に行く用事もないよな。
しかも当時はオンライン授業の真っ最中。そもそも……1人くらいしかいないのではないか。
だけれど……
「それは……2つの事件が同一犯だった場合、ですよね」
もしも
いや……
『ハッキリ言おう。僕の能力では、今の状況で同一犯かどうか特定することはできない。すでに僕は、犯人に負けている』勝ち負けじゃないと思うけれど……『どうやら犯人は僕より賢い。そして……』
「そして?」
『何度も言うが、僕は探偵じゃない』それは知ってる。『だから……100%の確証がなくても良いんだ。非常に正解である確率が高い推測ができれば、それで良い』
アニメやドラマの探偵のように、完全なる証拠なんていらない。
ただ……80%程度の推測で良い。だって
最初からそう言われていた。80%の推測。それを求めて
『これからは地味な捜査になる』
「地味な捜査、ですか?」
『ああ。ドラマやアニメだったらBGMがメインになって、ダイジェストに省略される部分だ。しかし、実際の捜査ではその部分がもっとも大切になる』
地味な部分が大切、か……
そんな気はする。
じゃあその地味な捜査に私も協力、なんて思っていると……
『そんな地味な捜査をするつもりはない。ここで捜査は、打ち切りだ』
……
そんなことを、
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