52ヘルツ

結木 叶多

52ヘルツ

 青く滔々と広がる大空に、一匹の、大きな鯨が悠々と泳ぐ。白く大きな腹を見せて、高く見上げる私達の頭上を。

「おとうさーん。くじらさんがお空とんでる〜」

 父に抱えられて、空を見上げた、幼い頃の私。まだ“それ”が何であるかも分からずに。うきうきしていた私に、父は優しく語りかける。

「あれはね。宇宙間シャトルだよ。あれで地球の軌道上にある宇宙船まで行くんだ」

 五歳の子供には少し難しい話。それでも私は、目を光らせて熱心に聞いていた。父はどこか、懐かしそうな顔をして、シャトルを見上げている。高く高く舞い上がっていくシャトルは、水面へと向かう鯨のようで。もしかしたら海の中の魚たちも、こんな気持なのかもしれない。ただの乗り物であるはずなのに、どこか神秘的なまでの輝きを感じる。

「きれい……」

 まだ何もわかっていない子供でも、直感で感じ取った。それほどまでに悠然と、空を泳いでいる。

 シャトルはどんどん遠ざかっていく。そのまま宇宙空間まで入るのだろう。日は傾いて、夜の冷たい空気が肌を撫でていく。ようやく見えるようになってきた月の横をかすめて、小さい白い点になったそれを、私はどこまでも見続けていた。これが私と、鯨との出会い。


 天へと伸びる高層ビル。強く燦々と照る陽の光を反射して、ダイヤモンドのように輝いている。22世紀も中盤に差し掛かったが、他国とは違い、第二次大戦以来200年近く戦火を免れてきた大都市東京は、今、最盛期を迎えていた。いつまで経っても、猫型のお世話ロボットは発明されないが、空飛ぶ車や、月面旅行が常識となってきている。一時は低下していた出生率も増加に転じ、国全体で栄華を謳歌している。その中心都市東京は今日も快晴。どこまでも透き通る真っ青な空と太陽光を反射するビル群が、いつものごとく、うるさいくらいに眩しい。強風に揺らされて激しく荒れる海面も、さらに光を反射して、それに加わる。

 放課後の学校の廊下から、ぼんやりと、その様子を見ていた。ここは、東京中心街の外周に位置している私立高校。創立150年を誇る伝統校で、噂によると、何人か、大企業業の子息令嬢も在学しているらしい。グラウンドでは、まさに部活の真っ最中だった。この暑い中で大きな声を出しながら、必死に汗をかく運動部員が小さく見える。私は真似できないや、と、そんな事考えながら、自分の教室まで歩く。電気のついていない緑の廊下は、ひんやりしていて気持ちが良い。課題を机の中に忘れていたけれど、途中で気づけてよかった。そう思いながら、教室のドアを開けた。

 途端、一人の男子と目が合う。普段見せないようなぎょっとした顔をして、こちらを見つめてくる。放課後だし、全員帰ったと思っていたから、こちらとしてもだいぶ驚かされた。

「えっと……、鯨井くん……だよね?」

「そうだけど……、中須……さん……は、なんの用?」

「あぁ、いや、課題忘れたからさ、取りに来ただけだけど……」

 教室に残っていたのは、鯨井遥希。眉を隠すくらいの長めのストレートマッシュに、詰め襟の黒い学ランをピシッと着こなした、同じクラスの男子。今私と座席が前後で、窓側の一番前だが、あまり関わりはない。クラス内でも基本喋らないほうだ。たまに、クラス内の女子に絡まれたりしてるのを見るが、あまり正確は掴めていない。

「鯨井くんは何して……」

 彼が教室に残っている真意を聞こうと問いかけたとき、視界の端に何かが映った。使い古されたような一冊のスケッチブック。何かがびっしりと書いてある。

「これ、見ていい?」

「え、うん。別にいいけど……」

 一言断ってから、机の上に置かれたスケッチブックを手に取る。書いてあったのは、都市部の風景。眼の前に広がるビル郡が、柔らかなタッチで描かれている。ビルに吹き付ける風、反射する太陽光。ラフではあるが私はなにかに圧倒されて、息を呑む。他にはと、パラパラとめくっていくと、彼が様々な風景を描いていることがわかった。風に吹かれる一本の大きな桜、稲穂を揺らす田園、紅葉に染まった里山。一枚一枚が味を持っていて、見ていると吸い込まれてしまう。

 次に掛ける言葉を見失い、オドオドしていると、今度は向こうから話しかけてくる。

「あの……もういい?」

「え? あっごめんね。ちょっと見惚れちゃって」

 そんな、少々ストレートではあったけど、正直な感想。

「……そっか。ありがと」

 それだけ言って、彼は澄ました顔で、サラッと流してくる。私から受け取ったスケッチブックを手元に戻すと、再び手を動かし始める。私は彼の後ろの、自分の席に座ると、その様子をぼんやりと、眺めていた。別に、課題を取りに来ただけなのだから、机の中にしまってあったワークをリュックの中にしまって、そのまま帰ればいい。それだけのことなのに。どうしてか、彼に惹かれてしまう。

 それでも彼は、右手で頬杖ついて眺める私を気にもとめずに、ひたすらに描き続ける。そこでふと、あることを思い出した。もしかしたら、とその可能性に賭け、私もノートを取り出して、空いてるページに向かって、鉛筆を動かし始めた。


 ふと外を見ると、空が朱く染まっている。どれくらいの時間が経ったのかも分からぬまま、教室の上にかけられた時計の針は、5時を指していた。どうやら、相当集中していたらしい。絵を描く、なんて久しぶりだけど、自分にしてはうまく描けた気がしている。前の鯨井くんを見ていると、まだ手を動かしている。しかしもう少しで学校も閉まってしまうので、聞くなら今しかない。

「ねぇねぇ、鯨井くん。鯨井くんが描いてるのってもしかして、宇宙間シャトルの10周年記念映像で出てた背景だよね? もしかしてシャトル好きなの?」

 振り返ってこちらに視線を合わせた彼は、またきょとんとした顔をして、口を開く。

「……よくわかったね。背景まで覚えてる〜なんて、そこまで詳しい人初めて見たかも」

 その言葉を聞いて私は、自分が描いたノートを披露する。

「じゃーん」

 ノート一面に大きく描かれたのは、宇宙間送迎用シャトル、通称「白鯨」13年前に運用が開始された白鯨は、地球の衛星軌道上に停泊されてある宇宙船への、文字通り送迎用のシャトルだ。近代の飛行船よりも平べったく、地上から見ると船底が鯨の腹のように見えるため、白鯨の愛称で親しまれている。

「おぉ~。これ、中須さんが描いたの?」

「描いたの、って、ずっと後ろで絵描いてたんだけど?」

「あぁそうなんだ……。ごめん。全然気づかなかかった」

「周りに興味なさすぎない!?」

 どうやら、相当集中していたらしい。まぁ、気づいてなさそうな気もしたが。それにしたって少し寂しい。

「でも……上手だね。特徴がよく描けてると思うよ」

 そう、素直に褒める彼の顔は、心なしか優しく……。

『5時になりました。校内に残っている生徒は、ただちに下校してください。繰り返します……』

 教室前方のスピーカーから流れてくるのは、5時を知らせる終業のアナウンス。それを聞くやいなや、私達は慌てて帰りの支度をする。リュックを背負って、そのまま校門まで急いだ。

「私は駅まで歩いて、そこから電車乗って帰るけど、鯨井くんはどこまで行くの?」

「自分は、駅に家の迎えが来てるから。駅まで送ってくよ」

 そこから駅までの5分くらい。校門を曲がってから下り坂が続くが、ゆっくりと、他愛もない話をしながら、二人で帰った。駅までつくと、鯨井くんは私の電車の時間の少し前まで、一緒に話してくれた。なかなかに紳士的だなぁとか思いつつ、シャトルのことや、お互い好きな宇宙のこととかを話していた。

 電車の時間が近づいて、私は改札に向かって走っていく。手に持った薄い端末を自動改札機にかざして、そのまま通り抜ける。振り返ると、彼が手をひらひらと軽く振っている。私も、と、振り返して、ホームへのエスカレーターに飛び乗った。

 ホームに出て、電車を待っていると、さっきまでは頭になかった余計なことが、ぽつぽつと浮かんできた。

 こういうの、傍から見たらカップルと思われても仕方ないかもしれないのではないか。途端、少し顔が火照る。私ごときがおこがましい。というか、すぐにそういう事を考えてしまう私に恥ずかしくなってしまう。涼しい夜風が、私の隣をすれ違っていった。昼間はそれなりに暑かったけれど、今は少し肌寒いくらいだ。アナウンスとともに、ホームへ滑り込んでくる電車。のぼせた頭を冷やしながら、私は電車に乗り込んだ。



 元気に手をふる彼女を見送り、すぐ横につけてあった、黒のクラウンに乗り込む。柔らかい座席に座り込むと、すぐに老齢の運転手が口を開く。

「遥希さま。長く話し込んでおられましたようですが、ご学友ですか」

「うん、待たせたね。今日はたまたま一緒に帰ってきたんだ。別にただのクラスメイトだけど、女性の相手は最後までしろ、って、お祖父様から散々言われてるからね。彼女の電車が来るまで話し相手をしていただけだよ」

「左様ですか」

 そう言って、車を走らせだした。ビル街の明かりが、やけに眩しい。今日はいつもより、帰るのが遅くなってしまった。まぁ、たまにはいいか、と思いつつ、彼女、中須唯華のことを思い出す。艷やかな黒髪をショートカットで切りそろえた、細身な少女。クラスの男子たちが「かわいい方」と言っているが、どこかとっつきにくいのか誰とも絡んでいるのは見ない。今まであまり会話したことがなかったけれど、今日話してみたら、なかなか馬が合う人だった。

 これから、楽しくなるかもしれないな、そんな事を考えながら、東京の中心部を突っ切って、昔からの住宅地へと入る。さっきとは打って変わって、怖いくらいの静けさが、そこで待っていた。さすが一等地と言うだけあって、大きな家が多い。さらに走らせること数分。この住宅街の中でも一際大きな和風の邸宅、というか屋敷と言えるぐらい大きな門の前で、車が止まった。車を降り、門をくぐる。ようやく玄関にたどり着き、引き戸を引くと、眼の前に、着物を着た白髪の女性が佇んでいた。

「おかえりなさい。遥希さん。遅かったですね」

「遅くなって申し訳ありません。お祖母様」

「早く上がりなさい。今日こそ決めていただきますよ」

 こちらに暇を与えもせず、祖母は矢継ぎ早に話を切り出す。話の内容。それはやはり、あのことか。

「遥希さんの、婚約者についてです」



 あの日以来、私と鯨井くんは、よく話すようになった。


「鯨井くん! うちにあった、白鯨の雑誌、持ってきたよ! 読む?」

「え? それ就航当初に発行された雑誌だよね? 僕らまだ4歳とかのはずだけど?」

「うん。お父さんも昔から好きだったから、今でも取ってあるんだ〜」


「鯨井くん! テストやばいかもしれない! 勉強教えて!」

「……全く。どこがわからないの? 教えて」


「鯨井くん! 駅前に美味しいたいやき屋さんできたんだって! 食べに行かない?」

「甘いものはそんなに食べないけど……。まぁいいよ」


「鯨井くん!」「鯨井くん!」「鯨井くん!」


 そんなふうに、鯨井くんのとの交流が増えて、距離も縮まってきたか、と思ってい始めた頃、事件は起きた。


「あんま、のぼせたことしてんじゃないよ」

 肌を焼く日光、頬を伝う汗。追い詰められたのは体育館裏。今私は、三人の女子に囲まれている。高い位置で結んだポニーテールに、短く折ったスカートをはためかせては、目の前の女子は、足を蹴り上げて、座り込んだ私の顔の横に、どん、と置く。気の強そうな彼女は、隣のクラスの魚住真希。テレビ局やその傘下企業を率いる、国内の報道業界最大大手日報グループの、その中でも中心企業である、日報新聞社の社長令嬢だ。

「中須さんだっけ? あんたなんかが鯨井くんと釣り合ってるわけ無いでしょ」

「こんな貧乏人が、なんでこの学校に入れたんですかね〜?」

 真ん中の女子の囲いのように、左右にいた二人も糾弾しだす。

「ま、待って。私と鯨井くんは、別にそういう関係じゃ」

「うるさい」

 その瞬間、左の頬に衝撃が走る。平手打ちされてヒリヒリと痛む。

「まだ手加減してやってるんだから感謝しなさいよ。わかったら、これ以上鯨井くんと仲良くするのはやめて」

 こちらを見下ろし、蔑んだ口調でつぶやく。体が、芯から凍るような気がして、少し身を縮める。それでも負けじと、彼女の目を見つめて、口を開く。

「で、でも……」

「あんたさ、鯨井くんのことなんにも知らないんだね。鯨井って聞いてピンとこない?」

 小さな反抗の芽は、冷たい言葉で一瞬にして潰されてしまった。思えば、鯨井くんのことは、シャトルに詳しい頭が良くて優しい人、ぐらいのことしか知らない。

「特に知らないけど……」

 そう返すと彼女は、はぁ~、と深くため息をつくと、

「ほんとにあんた、つくづく庶民なんだね。拉致も開かないし教えてあげる。ホエールホールディングス。鯨井くん、そこの会長のお孫さんだよ」

「え?」

 ホエールホールディングス。200年前の鯨井重工に始まり、本職の重工業にとどまらず、宇宙開発、航空、船舶、自動車、家電、半導体などの工業。さらには、運送、通信、建設、はてには各種小売店まで事業展開するホエールグループの持株会社。まさか鯨井くんが、戦後最大の財閥の中心企業の家族だったなんて。

 もし今自分を見たら、それはそれは驚いてる表情をしているのだろう。その評定に満足したのか、魚住さんは一転して、機嫌よく、語り出す。

「私ね、鯨井くんとの婚約話が持ち上がってるんだ〜。うまくまとまれば、私は玉の輿。だから……」

 落ちるトーン。私の耳元まで口を近づけて、わざとらしく、囁く。

「邪魔しないで」

 低く、お腹に響く声。驚いたところに、さらに追い打ちをかけてくる。体が、小刻みに震えているのが自分でもわかる。こんなふうに詰められるのは、いつ以来だったかな。何回もされたことはあるけど、どうしても慣れないし、やっぱり怖い。でも、それでも今の話が気にかかる。鯨井くんが? 婚約話? 最近もいつもと様子は変わらなかったのに。多分卒業して会わなくなるまで、鯨井くんとは今まで通り、楽しく話すぐらいの間柄になるんだと思ってた。でも相手は、日本一の会社の子息。たしかに彼女の言う通り、私では釣り合うわけがない。彼女と一緒になったほうが、鯨井くんも幸せになるんじゃないか。

 そう思い、口を開きかけた、そのときだった。

「お前ら! そこまで!」

 聞き覚えのある声。声のした方を見ると、薄いデバイスをかざしながら、こちらに近づいてくる鯨井くん。魚住さんは驚いて口を開く。

「鯨井くん!? どうしてここに?」

「中須がなかなか戻ってこないから、なんかあったのかと思ったんだよ。それで魚住さん。今の行為は動画に撮らせてもらったけれど……、これはどういう状況?」

 低く、問いただすような声音。さっきの魚住さんとは比べ物にならないぐらい、空気がピリつく。私を囲んでいた三人はもちろん、私までも萎縮してしまった。

「えっと。これは……その……。そう、中須さんが悪いのよ。中須さんみたいな庶民が、軽々しく鯨井くんと話してるから。そんなのやっぱり、私は良くないと思うの」

「つまり、いい悪いなんて言う抽象的で曖昧な基準で人を殴ったの?」

「それは……。だって……」

「もういい。君と話すことはないよ。婚約の話はなかったことにさせてもらう。中須。行こう」

 そう言って私の前まで来ると、右の手首を掴んで引っ張り上げる。そのまま彼に先導されながら、その場をあとにしていった。最後に見た魚住さんは、膝から崩れ落ちていた。掴んだ腕は、男子らしくて力強い。珍しく見せる、男らしいところ。守ってくれたのかな、それならちょっとは、嬉しいかもな、と、どうしてものぼせたことを思ってしまう。

 しばらく歩いたところで、頭がようやく冷めてきた私は、足を止めて握られた手を引く。急に止まったせいか、鯨井くんは、少し驚いていた。

「ごめん。痛かった?」

「いや、そうじゃないけど……。なんていうか……その……。もう私とはもう関わらないほうがいいんじゃないかな。さっきの婚約話だって、魚住さんと一緒のほうが……」

「別に、自分の感情だけで人を傷つけるような人なんて、結婚したってどうせうまく行かないよ」

「でも、それだとお家の……」

「……わかった」

 私の話を遮って、彼は言い放つ。

「中須唯華。僕と、付き合ってほしい」

 いつにない、真剣な眼差し。彼の言ったことに、一瞬理解が追いつかなかった。鯨井くんが? 私なんかと? でも、そんな疑問を払拭するかのようにまくしたてる。

「中須。僕はもっと、君と話していたい。もっと近くで、声を聞いていたい。もっともっと、隣で過ごしていたい。今まで人を好きなったことなんてなかったし、恋する、何手感情がよく分からなかったけど、ここ最近、なんだか変な感じがしてたんだ。今日のでようやくわかった。中須。僕は、君が好きだ」

「そんな……。そんな、ありえないよ。私じゃ、鯨井くんに迷惑かけちゃうよ……」

「でも、僕はそれがいいんだ。迷惑になんてならないし、なっても一緒に乗り越えればいいんだよ。だから。僕と付き合ってくれないかな」

 流れる沈黙。目頭が熱くなるのを感じる。じわじわと、涙が流れ出す。安心と、喜びと。色んな感情がごちゃまぜになって、体の内側から溢れ出した。自分でもわからないくらい泣いて、ようやく、落ち着いて。その間、彼はずっと静かに、待っていてくれた。

 息を落ち着かせて、やっとの思いで、口を開く。

「……さっき、さ。魚住さんに脅されてたとき、本当は、鯨井くんとはもう話さない、って、そういうはずだったんだ。でもいざ言おうとすると、なんでか口が動かなくて。もしかしたら私も、もっと鯨井くんと一緒にいたかったのかもしれないんだ。助けてくれたのも、でも、ホエールグループの人だって知って、急に遠くなっちゃったかと思って。どうしたらいいんだろうって、考えてたんだけど……」

「私、昔、いじめられてたことがあってさ、さっきみたいなのも日常茶飯事で。だから、さっき助けてくれたときかっこいいなって思ったんだけど。それで、人との距離のとり方とか解んなくなっちゃって。ずっと一人で……。だから私も、人が好きっていう感情がわかんなかったんだけど、鯨井くんが白鯨好きだ、って言うこと聞いたときに、仲良くなりたいって思ったし、仲良くなれたかな、とか思ったけど。距離の詰め方変だし……」

「その……。なんていうか……、私は鯨井くんとは釣り合わないかもしれないし、たくさんたくさん、支えてもらったり、迷惑かけちゃうかもしれないけど……。その……」

「私も。鯨井くんのことが……好きです。こんなふつつかもので良ければ、よろしくお願いします。えっと……遥希くん」

 振り絞った言葉は支離滅裂で、自分でも話しながら、話を見失いそうになったけど、言いたいことは、ずっとためてきた想いは伝えられたと思う。初めて見るほどの笑顔が、目の前にあったから。



 想いを打ち明けたあと、一緒に手を繋いで駅の方まで降りてきた。

 ちょっと落ち着こう、そういった彼の提案で、近くのベンチに座って、二人、ぼーっとしながら空を眺めていた。大きく広がった雲が、真っ青なキャンパスの上を、右から左へと流れる。特に話すこともなく、何もない時間が過ぎていくが、突然彼が口を開く。

「唯華……さん。今から時間ある?」

「? あるにはあるけど……。どうかしたの?」

「うちに来て。お祖母様に紹介しようと思う」

 急に告げられて、拍子抜けしてしまった。今日? いきなり? 流石にハードルが高いのでは、とそう思いつつも、なんだか逆らえない気がしたので、お母さんに、遅くなるかもしれない、とだけ連絡して、立ち上がった彼の後をついていった。 

 ロータリーまで歩いていく自分たちのすぐ横を、チラシを配りながら大声を出す人たちがいた。確か「地球の未来(あす)を憂慮する会」という名前だった気がする。最近立ち上がった環境活動家のグループで、宇宙への進出を過度に批判し、地球への回帰を訴える過激な団体。今国内では、基本的に無視されているが、構成員の熱量は凄まじく、度々暴力沙汰を起こしている。私はあんまり好きではない。

「ああいう人達、何がしたいんだろうね」

 そう聞くけれど、遥希くんは、さぁ、と素っ気なく、どこかしら機嫌が悪そうに答えるだけだった。すると直ぐに足が止まる。眼の前に止められていたのは、真っ黒のクラウン。扉を開けて中に入ると、自分のおじいちゃんぐらいの歳の人が運転席に座っていた。

「おかえりなさいませ遥希様。おや? そちらの方は?」

「婚約者の中須唯華さんだ」

「へっ!?」

 心臓に悪いので、急に婚約者とか言わないでほしい。そんな私の気持ちはおいて、運転手の方が名乗る。

「はじめまして。中須様。私、鯨井家の執事兼運転手を務めております。平岩紳助と申します。以後お見知りおきを」

「あっ。はい。こちらこそよろしくお願いします」

 恐縮している私を見て、遥希くんが笑い出す。そんな二人を乗せて、車は走り出した。



 車が駅を出てから数十分。体感上そんなに経ってないが、中心部の外れのあたりまで来た。このあたりは特に一等地とされているところで、荘厳な構えの家が並ぶ。芸能人や、実業家の家が立ち並んでいるはずだ。

 その中でも一際大きな和風のお屋敷の前に車が停まると、遥希くんは車を降りて、スタスタと、門をくぐって言ってしまう。初めてのお宅訪問だが、思っていたより事が進むのが早い。

 早足で彼のもとまでついていこうと、玄関まで少し歩く。入るよ? そう言わんばかりの目配せをして、遥希くんが戸を引いた。

「お祖母様。ただいま帰りました」

 遥希くんが少し張った声で家の中に入ると、凛とした佇まいの、和服を着た白髪の女性が、ビシッとした姿勢で佇んでいた。彼女が多分、遥希くんのおばあさんなんだろう。

「おかえりなさい。遥希さん。……そちらの方は?」

「お祖母様。それは後で話します。今、お時間よろしいでしょうか」

 おばあさんに負けじと、遥希くんも毅然とした態度で望む。そこから溢れ出る気迫というか、覚悟が伝わったのだろうか。おばあさんも何かを察したようにして、

「ふたりとも、上がりなさい」

 そう言って奥の部屋へと案内していった。


 奥で通された応接間は、15畳ぐらいあるとても広い部屋だった。窓からは、これまた広い庭が一望できる。しばらくすると平岩さんがお茶を淹れて、羊羹と一緒に持ってきてくれた。流石に、食べられる空気ではないから遠慮する。

 遥希くんは、今日学校で起こったこと、魚住さんが婚約者にふさわしくないこと、そして、私と恋人同士になったことを、端的に話した。

 しばらく黙って聞いていたおばあさん(平岩さんの話から、久子さん、というらしい)は、目の前に正座で座って、微動だにしなかったが、遥希くんが一通り話し終わると、その重そうな口を開いた。

「遥希さんの言いたいことはわかりました。魚住家との縁談はなかったことにしましょう。ただ、中須さんが、あなたの婚約者にふさわしいか、少しお話させてください。遥希さんは部屋を出て」

 遥希くんはなにか言いたげだったが、久子さんの鋭い視線を受けると、そそくさと部屋を出ていった。最後に目があったのは、頑張って、とでも言いたかったんだろう。しかしあまりにも展開が急すぎる。彼氏のおばあさんと、いきなり二人きりになってしまった。広い部屋に、女が二人。自分が久子さんの出方を待っていると……。

「安心してくださいね。別に質問攻めにしよう、とか、そう思っているわけじゃありませんから。……それにしても、あの子も、大人になりましたね」

 今までの様子からは考えられないくらい、優しくなった声音で、語りかけてくる。あまりの変わり様に、少し呆けていると、

「あぁ、驚かせてしまったかしら。私も鯨井の女ですから、身内の前でも、シャンとしてないといけないんですよ。まあ、あなたの前ではその必要もなさそうですけれど」

 印象が180度変わった久子さんに驚きつつ、それでもまだ、恐る恐る、口を開く。

「なるほど……。それで、あの……。先ほどの、大人になった、というのは……」

「いえね、自分の意志で、自分の好きな人と挨拶に来るなんて。成長したなと思ったのですよ」

 遥希くんのことを語る彼女は、どこか嬉しそうで、それでいて、どこか悲しげな顔をしている。一体どうしたのだろうか、と思いつつ、次の言葉を待っていると、

「中須さん。遥希を支えるというならば、遥希の親のことも、お話しておいたほうがいいでしょう。聞く気はありますか?」

 何か、あるのだろうか。いや、何があろうと関係ない。これから先、ともに歩むと決めたのだから。彼に背負い切れない過去があるなら、一緒に背負って歩みたい。

 覚悟なら、とうに出来てる。と、意志を見せるように、力強く、頷く。

 そこから久子さんが語りだしたのは、衝撃の内容だった。


 話が終わって外を見ると、すでに外は真っ暗になっていた。平岩さんに聞くと、遥希くんは庭に出ているらしい。すぐに靴を履いて、彼を探しに行く。

 中庭で、遥希くんは星を眺めていた。その姿を見た瞬間、抱きつかずにはいられなくなって、彼の後ろから腕を回す。全身に伝わる、彼の熱。急にバックハグされて驚いたのはずなのに彼は、

「びっくりした。どうしたの? 大丈夫?」

 そんなふうに優しく聞いてくる。私は彼の背中に顔を埋めたまま、口を開く。

「聞いたよ、おばあさんから。……遥希くんのお父さんとお母さんのこと」

 はっ、とした表情を、きっと、浮かべているんだろう。久子さんが語った内容は、大体こんな話だった。


 遥希くんのお父さんは、今のホエールグループ会長の次男で、後継ぎであるお兄さんと比較されながらも、順調に仕事をこなしていたらしい。私生活でも遥希くんが生まれ、順風満帆。の、はずだった。遥希くんが四歳のときに、お母さんが急病を患って亡くなってしまう。突然の訃報に立ち直れなくなったお父さんは、次第にお酒に溺れていった。しばらくして、突然出奔。勝手に交際相手を作って、その交際相手がハマっていた「地球の未来を憂慮する会」に入会して、今では委員長を務めている。名字も鯨井から相手方の蘇我に変えた。グループの沽券に関わるとして、遥希くんのおじいさんは彼を勘当。鯨井の家から外し、遥希くんを引き取って育てた。

『遥希もね、小さい頃は寂しかったと思うのよ。私もあまり相手してあげられなかったし、遊び相手も平岩ぐらいで……。中須さん、あなたね、どこか遥希のお母さんに似てるのよ。雰囲気というか、気丈なところが。彼女とは私も、仲良くしていたのだだけれど……』

 そんなふうに久子さんは話していた。


「だから駅前であの人たちがビラ配ってたとき、やな顔したんだね」

「……そうだね。僕は今でも父さんが嫌いだよ。再婚相手も。見たら反吐が出るぐらい。だから、僕は同じ道を踏みたくないんだ」

 一瞬うつむきかけた彼は、すぐさま持ち直して、力強く、宣言する。

「……唯華さん。僕は、土星に行きたい」

 突然出てきた、土星、という単語に理解が追いつかぬまま、私がぽかんとしていると、

「うちの宇宙開発を担っている会社が、土星とその衛星のために、調査団を出すことになってて、その募集がもうすぐ始まるんだ。期間は大体、一年半。告白してすぐで悪いけど、僕は……、行きたい。お母さんも好きだったんだ。土星。だから……」

 俯いて、繋げる言葉を探している。私の返事は、もう決まっていた。

「うん。わかった。私は君を、全力で支えるって決めたから。だから、好きなこと追いかけていいよ」

 ありがと、そうつぶやくと、彼はくるりと回って、今度は正面から、力一杯、抱きしめる。彼の力が、ひしひしと伝わってきた。満天の星空に見守られて、お互い、気が済むまで、いつまでも抱き合っていた。


「私たち、52ヘルツのクジラみたい」

「世界で一番孤独なクジラのこと?」

「うん。お互い一人っきりで、心に壁があって、誰とも交信できない。そんなひとりぼっちの、孤独なクジラ」

「そう……だね。」

「でも、ようやく。仲間を見つけられた。もう、一人じゃないんだね」

「うん。本当にありがとう。これからよろしく」


 そこから一年がたった。土星探査メンバーの選考審査が始まると、遥希くんはそれらを順調に突破していった。最終選考も難なく切り抜け、晴れて正式なメンバーとして、調査隊への加入が決まったのだった。


 土星への出発当日、シャトル発着場のロビーで、カーキ色の隊員服を着た遥希くんに、おそろいのお守りを渡した。これが直接話す、最後の時間。

「しばらく会えなくなるけど、……ごめんね」

「ううん。いいんだよ。遥希くんの夢なんだもん。精一杯、頑張ってきてね」

 あの日、久美子さんと交わした約束。

『このことを聞いても、中須さん。あなたは遥希とともにいますか?』

『……はい。もちろんです。覚悟はとうにできてます』

 そう言ったからには、全力で、彼を支える。心のなかで誓ったことを、何回も反芻して、彼をじっと見つめる。するとその途端、何を察したのか顔をぐっと近づける。

 あたたかい感覚が、唇に。柔らかく、優しく。永遠とも言えそうな時間の間、二人は重なり合って。

 しばらくして口を離すと、彼は少し顔を赤らめて手元を腕で覆うと、

「……しばらく、キスできないから」

 そっぽ向いて恥ずかしそうにつぶやく。

「あぁもう! かわいいなぁ!」

 いやいや、かわいくないから。と、彼は速攻で否定してくる。ここ一年繰り返してきた、お決まりの会話。それももう、しばらくできない。シャトル搭乗の時間は、刻一刻と近づいている。彼の胸倉のをきゅっとつかんで、少し背伸びをして。今度は、自分から。

 また数秒して、離れる。流れる沈黙。その二人の隙間が、心地よい。彼がロビーの時計に目をやる。

「もう行かなきゃ」

 私は応える。

「元気でね」

 搭乗口へと向かう彼は、振り返って、にっこり笑う。

「うん。そっちこそ。火星についたら、一回連絡するよ」

 と、一言いうと、搭乗口へと、消えていった。


「この良き日に、土星と、その衛星探査のために選ばれた250人が、人類の新たな一歩を踏み出す、その勇気と、栄誉を称え、日本国民の、ひいては、全世界の誇りとなる事を、心より祈っています。頑張ってください」(土星探査者壮行セレモニーにて鮫島首相)


 時刻は午後六時。もうすぐ、離陸時間。調団の関係者は、シャトルが良く見える、ビル街の外郭の道路まで案内され、見学している。海辺に建てられたシャトルの発着場では、風が強く吹いていた。時刻と相まって、薄手の長袖だと、少し寒く感じる。飛ばされそうなほどに強い風に、必死で抗いながら、今まさに、飛び立とうとする白鯨を眺める。

「もう、行ってしまうんですよね」

「……はい」

 隣に立った久子さんが、優しく語りかける。

「寂しいんでしょ?」

 暖かいのに、鋭い言葉が胸の奥を刺す。図星だ。一年。短い間だったけど、短いなりに恋人っぽいことをしていた。どうしたって情は消えない。それでも。

「たしかに、寂しいです。でも、もう会えないわけじゃないんですし、泣いてたら、遥希君も安心して土星にいけませんよ。私も、しっかりしないと」

「そう。そう思えているのなら、言うことはないわ。さぁ、いよいよ離陸よ」

 久子さんに促されて、クジラに視線を移す。

 いつ見ても、やっぱり美しい。子どもの頃の憧憬は、いくつになっても、決して衰えず、むしろ、募ってきた。

 今遥希君は、あれに乗っている。自力で夢を掴んで、クジラと共に飛び立つんだ。

 そう思うと、私も感慨深くなって、目頭が熱くなる。

 定刻になり、シャトルが滑走路を滑り出す。横に平たくなった飛行機は、ゆっくりと、滑走路を這って、その巨体を空へと持ち上げる。

 機体は地面を離れ、悠々と、空へと舞い上がっていく。茜射す、群青の中へと、大きなひれを動かして、白いクジラは、空を泳いだ。

 あぁ。美しい。

 落ちゆく夕日を追いかけるように、空高く上昇している白鯨。しかしその時、微かな異変が起こる。

 白い機体が僅かに光る。次の瞬間、白煙が、上がった。

 目の前で起こったことを理解できないままでいると、今度は身をもって体感させられることになる。鼓膜をつんざくような轟音と、身を焼くような、強い熱風が、一気に襲い掛かってくる。両腕で顔の前を塞ぎ、身を守ろうとするも、一瞬、息が出来なくなる。

 やっと落ち着いたかと思って、腕を下げると、そこには、死にゆくクジラの姿があった。機体が半分に折れ、海へと、墜落してゆく。たぶん誰も、助からない。助からない? あそこには、遥希君がいるのに? そんなの嫌だ。嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 膝から力が抜けて、その場に崩れ落ちる。

「遥希君! 遥希君!!」

 届くはずがない、愛しい人の名を叫びながら、涙が、声が、体の底からあふれてくる。自分で止められないくらいに、喉を嗄らして泣き叫ぶ。世界で最も孤独なクジラは、また、一人になったのかもしれない。

 自分の周りは悲鳴で満たされていた。絶望する人、泣きわめく人、唖然とする人。久子さんも何か大きな声で指示をしているようだったが、何を言っているか聞き取れなかった。空を舞うクジラは生きる力を失って、急速に、海面へと落下している。

 一体なぜ、こんなことが。

 そう思っていたその時、後ろにそびえたつビル群の、それぞれのモニターが一斉に暗くなった。何が始まるのかと思っていると今度は、どこかで見慣れた顔が映し出された。白い袈裟を身にまとい、カメラの前に立って語り始めたこの男は、彼がこの世で、最も嫌うあの人だった。

「皆さんこんにちは。私は地球の未来を憂慮する会の代表、蘇我達也です。突然のことで驚かせてしまって申し訳ありません。今回我々が事を起こしたのは……」




白鯨 爆破テロから一週間


 空飛ぶクジラが、落ちた。 土屋へ初の調査団を乗せた宇宙間航行シャトル、通称「白鯨」の爆破テロから一週間。全世界を震撼させた、センセーショナルな事件の全貌が明らかになってきた。

 3月7日午後6時16分、東京第一発着場にて離陸したシャトルが、離陸後3分で爆発した。 事件を起こしたのは、環境保護を目的とした法人団体「地球の未来(あす)を憂慮する会」 事件直後に東京中央のビル群すべての街頭モニターをハッキングし、代表の蘇我達也氏(45)が犯行声明を発表した。なお爆弾が持ち込まれた経緯については未だ明らかになって いない。

 事件を受け裁判所は、団体の法人認可取り消しを命じた。また警視庁は、同団体代表蘇我達也氏と共同代表である蘇我美代氏(38) に対して指名手配をした。警視庁が団体本部のある新宿区のビルに家宅捜索を行うも、二人の姿は見受けられなかった。

 白鯨の残骸はそのまま海へと墜落した。海上保安庁海上 自衛隊が、機体の回収、調査を共同で進めている。死者行方不明者は現段階では確定していないが、 N大学の航空力学の教授は「あの高度で爆破、海に墜落して、生存者が残っている確率は極めて低い」と話した。

 調査団のセレモニーに参加していた鮫島公人首相は「許されざるテロ行為であり、調査員たちの努力を踏みにじる行為。 断固として戦っていく」と語った。また、白鯨を保有する鯨井運輸は、ホエールグループ総会長の鯨井廉太郎氏の声明を発表。「犠牲となった方々に、哀悼の意を表する。当グループのシャトルが標的となったことは誠に遺憾であり、捜査に全面的に協力していく」とした。


《一日一話》

 クジラは死ぬと、腹部にたまったガスで爆発を起こすという。いかにも、クジラらしい、最期と言えば最期だった。白鯨での爆破テロである。▼実行犯は誰か、どのようにして爆弾を持ち込んだのか、まだこれらは明らかになっていないが、 搭乗員たちのことを思うと、胸が痛む。▼モニターをハッキ ングしての演説、いや宣戦布告と言おうか。その中で団体の蘇我代表は、「宇宙進出は人類だけでなく、宇宙環境において も悪影響であり、人類は地に足をつけて生活すべき」と語っている。▼この団体は以前から、過激な行動を起こし世間の耳目を集めてきた。代表の蘇我氏はホエールグループを運営する鯨井家から勘当された。そのグループが保有しているシャトルを爆破したとなれば、いくら環境の為と語っても、 言葉が濁る。 グループは遺族に弔いの言葉を述べながら、断固として抗議するとしている。▼クジラの死骸は、海底に沈んだ後、その栄養価値から生物が集まり、新たな生態系が生まれるという。このクジラが沈んだ後には、何が残るのか。 ただ白い菊が咲くだけだろう。

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52ヘルツ 結木 叶多 @yuukikanata1206

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