第94話:テレビデビュー
ネットニュースをいくつか検索して確認。
確かにサンタ服が品切れになっているというニュースが見つかった。
動画サイトでも関連動画の再生数が結構伸びている。
「SNSにアップされた写真から特定したみたいっす」
お土産を買ったお菓子屋やフードコートで食べたつけ麺屋も人気になってるらしい。
「そこそこの経済効果を生み出したようですね・・・」
佳乃がテレビのワイドショーを見ている。
何と、知らないうちにテレビデビューしていた。全国ネットで・・・
それにしてもこの画像や動画はどこから手に入れたのかしら?
私は取材とか受けてないわよ?
何の許諾とかも受けてないのに普通にモザイクなしで顔が出てるし!
「抗議するべきなの!」
花子も憤っている。
「そうですね、ギャラを請求するべきです」
佳乃はちょっとズレている。
「間違いなく、隠し撮りした視聴者から買ってるっすよね?」
そうだろう。
なぜなら、あたしはSNSにアップしていない。
リーゼロッテはスマホすら持っていない。
よし、写真集やPVを作りましょう。
公式で作成して海賊版を撲滅しましょう。
「私が撮影しましょうか?」
佳乃の腕を信じないわけじゃないけど、ここはプロに頼みましょう。
何よりも機材が違うはず!
「では、手配します!」
うーん、やっぱり佳乃は頼りになるなぁ。
「おぉ!大勝利の予感なんだよ!」
ちなみに、リーゼロッテは一心不乱になってパックマンをやり続けていた。
そうして何十回目かのプレイにてようやくすべてのエサを食べることに成功。
「え?」
そして、完全攻略したと思った瞬間に2ステージ目が始まって呆然としていた・・・
「うっうっう・・・世界が平和になったと思ったのに・・・」
世界じゃなくて街が平和になったのよ。だから次は隣街ってわけ。
「街は全部でいくつあるんだよ・・・」
いくつかしら?
調べた結果256らしいわね・・・
「そんなにたくさんは無理なんだよ・・・」
じゃあ、他のゲームも試してみる?
「そう言えば温泉のところにもいくつかあったんだよ!」
これはどうかしら?
この白いのが自分なのよ。レバーで左右に移動して、ボタンで魔法を撃つの。
で、飛んでる虫を倒していくのよ。
「これも面白そうなんだよ!」
それでね、この輪っかみたいなのに当たっちゃうと・・・
「ああ!攫われちゃったんだよ!」
安心して、攫われたら助ければいいのよ!
「おお!助けたら仲間になったんだよ!」
二人だと倍攻撃出来るのよ!
「もしかして虫を全部倒すと街が平和になる感じなんだよ?」
そうよ。これも街がたくさんある感じなのよ。
もちろん、敵が撃ってくる魔法に当たると死んじゃうし、突っ込んでくる敵に当たってもダメよ。
「結構難しそうなんだよ・・・」
今度のギャラガはパックマンと違って、レバーだけじゃなくてボタンもあるからね。
でも、レバーは左右だけだし、ボタンも1個しか使わない。
最近のゲームと比べれば操作はすごく単純だ。
「とりあえずやってみるんだよ」
ほらほら、どんどん撃って!
「が、頑張ってるんだよ!?」
どうにもリーゼロッテは攻撃するときに時機が止まってしまう。
おそらく、移動と攻撃という事が同時に出来ないんだろう。
ほら、動きながら攻撃しないと死んじゃうわよ?
「2つ同時には難しいんだよ!」
やはりシングルタスクなのか・・・
そんな状態だからいともあっさりとゲームオーバーになった。
「うっうっう・・・難しいんだよ・・・」
じゃあ、右手は常にボタンをペシペシしてなさい。
魔力切れは無いからずっと魔法を撃ち続けて、あとは避けることだけ考えなさい。
「そ、それなら出来るかもしれないんだよ!」
アドバイスをしたら、そこそこ動きがましになった。
でも、1面クリアするのはまだまだ先の話かしら・・・
「先輩、そう言えば部長が怒ってたっす」
あら?ちゃんと仕事はしてたはずよ?
「打合せなのに会社に来なかったって言ってたっす」
え?
そう言えば温泉に行く前にそんなことを言われてたような・・・
完全に記憶から消去されてたわ・・・
「私とは違うプロジェクトだから聞いてなかったっすよ?」
あの時はすでに頭の中には温泉しかなかったのよ・・・
「そんなわけで、明日は先方にお詫びに行って打ち合わせらしいっす」
まあ、仕方がないわね・・・あたしが悪いんだし。
「部長に先輩をちゃんと連れて来いって言われたんで、明日は一緒に会社に行くっすよ?」
なんで?一緒に住んでるのもバレてるの?
「いや、先輩の家を知ってるって言っただけっすよ」
まあ、それはいいか。
引っ越したら住所変更でバレるし。
「先輩、引っ越すんすか?」
だって、小麦が増えたし、リーゼロッテも遊びに来るなら手狭じゃない?
新しい部屋を探すか、一戸建てを買うか・・・
「それならいっそのこと『黒猫の湯』はどうすか?」
ダメに決まってるじゃない。
佳乃と花子が学校に通えないでしょ?
小麦だって会社に行くの大変じゃない?
「先輩が通勤することは考慮されてないんすね・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます