海空

水羊羹

夏ってなに?


若苗を歩く風?

ちくちくと焼ける日差し?

夜に響く蛙の合唱?

夕立と稲妻?

─────それも夏


だけど私は水羊羹

艶やかな表面が涼を誘い

ほどよい冷たさと優しい口どけ

そこに小豆のアクセント

あーーーー

口内を彩る幸福感


大きいから1つでいいかな

それは幻覚、そして錯覚

口にいれれば雪のごとし

消えてなくなり喪失感


もうひとつ もうひとつ

欲望が目を覚ます


『これはローカロリー』

自分の心が甘く囁く

食べていいんだよ

頑張ってるご褒美だから

水羊羹は自分に優しくなれる食べ物


ほら食べよう

今食べよう

暑い夏には水羊羹


自分に優しくなれたなら

人にも優しくなれるから


さあ食べよう

今食べよう

夏にはやっぱり水羊羹


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

海空 @aoiumiaoisora

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ