Ep.2 兄さま、ご相談があります。

SE:セミの鳴く音、風鈴が鳴る音

「毎日暑いですね。・・・冷たい麦茶でもお持ちしましょうか。」


SE:グラスの中で氷が揺れる音

「お待たせしました。兄さま、どうぞ。」


「夏休みの課題ですか?もう少しで終わりますよ。」


「あと残っているのは・・・進路調査票です。」


「この夏休みの間に進路を考えるように言われています。兄さまにご相談させていただいてもよろしいですか?」


「行きたい学校・・・。」


「父さま《とお》や母さま《かあ》、兄さまと同じ学校にしようかと思います。」


「兄さまたちのお話を聞いていると、同じ学校に行きたいと思うようになりました。なんだか楽しそうですし。」


「今までは女子校でしたので、父さまや兄さま以外の男性と同じところで過ごすことに不安なこともありますが、きっと大丈夫ですよ。」


「兄さまは心配し過ぎです。葵はいつまでもこどもじゃありませんよ。」


「そりゃあ、兄さまからするとまだまだ幼いままかもしれませんけど・・・。」


「兄さま、葵を見くびらないでください。」


「笑わないでください。兄さまの意地悪・・・。」


「機嫌を直してほしいのでしたら、今度、シューアイスを買ってきてください。」


「いちごとチョコが半分ずつになってるのがいいです。」


「絶対ですからね。では約束の指切り。」


「指切りげんまん、嘘ついたらずーっと兄さまとは口を聞きません、指切った。」

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