事件資料7:月間GカルチャーPCに残存していた記事下書き-1

 最終更新日:202XX年7月27日 13:00


 月間Gカルチャー。恐らくこの雑誌の名前を知っているのは相当な変わり者だ。いわゆるオカルト系の雑誌で、日本各地の恐怖体験に始まりちょっと不思議で感動的な話に至るまで、とにかく一般的な雑誌が取り扱わないニッチな話題を取り扱う……まぁ言っちゃなんだが3流雑誌だ。話のネタなんて早々ある訳じゃないから、時にはガセネタを掴まされたりするし、碌な裏取りをしないまま安易に飛びついて恥をかいたことだって経験している。


 そんな有様であっても有難いことに大きなトラブルもなく何十年も刊行した所謂老舗、大御所とも言って良いオカルト雑誌が今、沸き立っている。それはもう今までの比じゃァ無い。何せガチモンのガチだ。


 事の始まりは20XX年7月26日深夜に届いた不審な小包だった。誰もが疑問に思ったのは、そいつを持ってきたのが運送会社でもなければ郵便局でもない、しがない何でも屋の社長だった。その人物曰く、必ず手渡しでココに持って行けと顧客に指示されたらしい。


 何から何まで訳が分からない依頼だったよ、とはその社長の弁。但し羽振りは良かったようで、聞けば全く意味不明な依頼に数十万をポンと支払ったそうだよそのお客さん。仕事内容は"よく分からない片田舎にカメラ仕掛けて数日後に回収しろ"だそうだ。頼むからそう言うのは俺達に声かけて欲しいモンだ、と余計な話はココまで。


 社長から投げ寄越された小包に入っていたのは夥しい数の資料の山……それから厳重に封がされた中に収められた2枚の茶色い封筒。但し、封筒にはくにがまえの中に封と書かれた見た事もない字、少なくとも旧字体でもなければ模様とも違う、本当に誰一人として見た事も無い漢字が書かれていた。まるで何かを封じているみたいだ。


 社長が恐る恐る開封すると、それぞれに1つずつのSDカードと紙片が入っているのが分かった。社長は先ず「捜査資料」と書かれたSDカードとソレに付随するメモを手に取った。SDカードもメモも封筒と同じで何処にでもある何の変哲もない市販品に見える。


 メモにはこう記されていた。


口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口

こっちは警察が"とある事件"の重要証拠として押収した録画映像のコピーだ

数日前にN県でG県警の警察官が1人惨殺されたその瞬間を修めたデータ

警察はこの情報を有り得ないと判断、地元住民とのトラブルの末に殺害されたと事実を書き換えた

だがこの映像に映るのはそんなありきたりなモノではないと、君達ならば信じてくれるはずだ

口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口


 警察と、そう聞いて全員の肌が粟立った。確かにその話は聞いている。何せ今、ウチが追っている情報と関係があるからだ。ここ数カ月、G県の某町を中心に行方不明者が相次いでいるという情報。恐らくこの情報を横流しした警官は、相当な覚悟でこの情報を盗み出したのだろう。

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