憧れの幼馴染 2

佐々蔵翔人

はじめに

「ねぇ、ねぇ、柚希ゆずきって名前の由来って何?どうして柚希って付けたの?」


そうパパの和真かずまとママの実夢みゆに問いかける柚希ゆすきがいた。

保育園の柚希ゆずきに真実を伝えてどこまで理解が出来るか分からなかった。


ホントのことはもう少し大きくなってから伝えればいいのかなと和真かずま実夢みゆは話し合っていた。


「柚っていう柑橘かんきつがあってね、実がなるのにものすごく時間がかかるの。だから柚希ゆずきが何かを目指したい、何かになりたいと思った時に我慢強く少しずつでも希望に向かって頑張って欲しい。そういう意味合いを込めているの」


そう話していたパパの和真かずまだった。隣で聞いていたママの実夢みゆとしては余計に分かりにくいような気がするが、真実を伝えてもまだ理解出来ないと考えてのことだろう。


柚希ゆずきが産まれて数年、賃貸マンションに住んでいて少し手狭に感じていた。それに将来的に2人目を考えた時にもう少し広い家に住みたい。その方が柚希ゆずきのためにもいいだろうと和真かずま実夢みゆは話し合っていた。


転職をしなければずっと同じ場所で働くパパの和真かずまに対してママの実夢みゆの場合は仕事柄いつ転勤になるか分からない。そのため、今いる蘇我そがから離れるかどうか悩んでいた。どうするこうすると数ヶ月話していた。


資産として分譲で買うのか、それともいつでも引越しが出来るように中古で買うのかとまずはそこが決まらないとらちが明ない気がしていた。


柚希ゆずきを授かってからも数ヶ月のブランクがありながらもまたまだバレリーナとして健在で基本的に講師をやりつつ千葉県ちばけんで行われる発表会やコンクールには出場していた。


タイミングが合えば柚希ゆずきを連れて発表会やコンクールを見に行く和真かずま。ママはすごい人だよと伝えたいという気持ちよりも自分の奥さんが頑張っている姿を見たい。傍らで支えたいという気持ちが強かった。


その帰り、不動産屋によっていい物件がないか見に行くが思っていた物件は契約済であったり予算が高く分譲で買うのは難しいなと考えていた。


家に帰ってスマホで中古物件を探していた。

次の家は駅から近く、コンビニやスーパーがあって病院がある。あわよくばインターチェンジからも近い物件があればと複数のサイトを見ていた。


築年数はかなり経っているが和真かずまが考えている条件が揃っている物件を見つけて実夢みゆにそのリンクを送った。


好物件過ぎて逆に不安と語る実夢みゆ柚希ゆずきを幼稚園に送り届けて2人で不動産屋に向かった。


話を聞いてみると築年数は経っているマンション、リノベーションしても買い手がいないと不動産屋のスタッフさんは嘆いていた。とりあえず内見をしてから考えよう。その場で内見をお願いする。


確かに外装は古びた感じのマンションだが、中はそれを感じさせないくらいキレイで新築なのかと疑うくらいキレイで耐震基準にも満たしていて、防塵ぼうじんにも対応している。


耐火設備、騒音問題も改善をしていると話を聞く。お店に戻って仮契約を結び、翌週に本契約を結ぶ。


空いている部屋は1階しかなく、否応いやおうなくその部屋に住むことを決めた。

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