第11話 Pure feeling(11)

「どうぞ。」



沙耶がお茶を淹れてきてくれたので、あゆみは驚いた。



「あ、っと。 すみません・・」



思わずそんな風に言ってしまった。



まだ小学3年生だというのに、お茶の出し方もきちんとしていて



それに驚いた。



結城はまたも彼女の心を見透かすように



「料亭の子だからね。 こういうことはもっと小さいころから仕込まれてる。 ホラ、未来の女将だから。」



と、あゆみに笑いかけた。



「え~~、あたしは将来モデルになるんだから~、」



沙耶は口をとがらせた。



「アハハ。 おまえ現実見えてないな~。」



結城は沙耶が淹れてくれたお茶を飲みながら笑った。



そのお茶も美味しくて




あゆみはびっくりした。




・・じゃなくて!



あたし、なんで結城さんの実家の料亭に???





ハッとしてピシっと背筋を伸ばした。



その時




「すみません。 お待たせしまして。」



結城の父がにこやかに現れた。



またまたハッとした。




結城にそっくりなその人を見て、一目で彼の父親だということはわかった。




「あっ・・あのう・・」



慌てる彼女に




「比呂の父でございます。 いつもお世話になっております、」



と、ものすごく丁寧に頭を下げられて




「はっ・・初めまして! せ・・瀬能あゆみと申しまして、」



思わず自己紹介をしたが



この後、どう続けてよいかわからず



「・・・・」



沈黙になり、隣の結城が笑いをこらえているのを見て




何笑っちゃってんの!!



どうなってんの??? コレはっ!!



大きな目を見開いて、彼を責めるように見つめた。


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