第10話 月水博士からの連絡
ある日、谷先生の携帯電話に月水博士からの着信が入った。
彼女は驚いて電話に出た。
月水博士は、冷たく切り出した。
「谷先生、僕の研究に協力してくれないか?」
「研究?どんな研究や?」
「それは言えない。日本とアメリカの政府から守秘義務を課せられているんだ。
でも、人間の意識や記憶に関するものだということは教えてあげるよ。
大気くんの意識を蘇らせた方法も関係しているんだ」
「大気の……?」
谷先生は息を呑んだ。
大気の意識を蘇らせた方法は、月水博士から聞いたものだった。
彼女は、その方法がどこから来たのか、
何の目的で作られたのか、知らなかった。
「この研究は日米両国の安全保障上重要なものなんだ。
外部に漏れると危険なことになる。
だから、協力するなら秘密厳守でお願いするよ」
「ああ、わかった。
でも、うちに何ができるんや?」
「君には特殊な経験があるよね?
人工知能と心を通わせた経験が」
月水博士はそう言って電話を切った。
谷先生は呆然としたまま携帯電話を見つめていた。
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