第343話 ◆大変な一日
衆人環視の目から逃れ、鳴神翔と番場敦は場所を変えた。
とあるビルの屋上に着地二人が再び睨み合う。
「まさか、てめーも七海を調べてたとは驚きだぜ。
「うるせーよ」
番場が小指で耳をほじりながら言う。
「んで?
「当然、てめぇが調べてる事と同じだよ」
「ほーん、確かに七海の警護任務を引き受けてるのは【インサニア】だな。そんで? 何かわかったのか?」
「あぁ、内部に入れるんだ。てめぇとは質が違うだろうな」
「カカカカッ! 言ってくれるじゃねーか」
「鳴神」
「ぁん? あんだよ改まって?」
「伊達玖命ってのはどんな男だ?」
番場のその言葉に、鳴神は目を丸くした。
そして、その質問を噛みしめるように口を結んでから腰を落とした。鳴神恒例の
顎に手を当て、言葉を吟味し、何とか言語化しようとするも、中々答えが出ない。
「そんな、面倒なやつか。伊達は」
痺れを切らした番場が聞くと、鳴神は「うーん」と唸った後にようやく口を開いた。
「……確かに、【
「そうか」
「でもな」
「あ?」
「面倒なのは色々ココで考えてっからだ」
言いながら鳴神は自身の親指で頭を指差す。
「俺様たちの事、クランの事、家族の事、勿論、天才の事もな」
「天才の事だぁ?」
「
「綺麗ごとだな」
「おう、そのとーりだな。でもよ、【
「伊達が言うか? そんな事」
「実際にゃ言わねーだろーな。やってる事もみんな無意識だしな、カカカカッ」
「ふん、てめぇの絵空事じゃねぇか」
「おうよ!」
鳴神の全肯定に番場がぽかんと口を開ける。
「この俺様にそんな絵空事を言わせるような熱い
鳴神の大笑いに、番場は押し黙る。
(無意識……ねぇ。力や道理じゃ通じねぇって意味なら……確かにその通りかもしれねぇな。現に、この
「んじゃ、てめーは内部から七海調べるって事でいーんだな?」
「……まぁな」
「俺様は外から、てめーは内から……カカカカッ! 七海建設もこれで丸裸だぁ!」
にちゃりと笑う鳴神に呆れつつ、番場は頭を掻く。
そして、鳴神を指差して言うのだ。
「ある程度の情報が溜まりゃ、伊達に連絡を入れる。てめぇの飼い主にそう伝えとけ」
「おうよ!」
その返事を聞き、番場は鳴神の前から姿を消したのだった。
番場が消えた方角を見据え、ニヤリと笑う鳴神。
そして軽い伸びをすると、スマートフォンの振動が着信を知らせる。
「あぁ? 山井先輩からじゃねーか?」
たっくん――――後輩くーん!
たっくん――――今日ね、ずっとあの美人記者追いかけてたんだけどねー、もう大変だったよ!
たっくん――――まず新宿でしょ?美人記者は玖命と越田と一緒にいたから、Bar派遣所の近くで外から監視してたんだけどー、なんと!そこにららちんとなっつんがいたんだよ!たっくんビックリー!って感じなんだけど、そこからがもう大変!【KWNモータース】で【
たっくん――――色んな人助けたよー!さすがに歩行者とかには近づかなかったけど、何回か物理的に【
たっくん――――という訳で、玖命と皆で話し合ってららちんに運転させない事になりましたー^^
たっくん――――あ、でも昼過ぎね?その件がニュースになっちゃって、たっくんも火消しに色んなサイト行ってたんだけど、何かよくわからないけど玖命が【
たっくん――――美人記者が近くのホテル入っちゃって退屈でーす!
たっくん――――後輩くーん、
たっくん――――お、既読付いた!
「……………………既読付けちまった」
◇◆◇◆◇◆◇◆ 後書き ◇◆◇◆◇◆◇◆
WEB雑誌【COMICユニコーン】発!
コミカライズ版『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』第一巻の発売日となりました。
漫画:はやさかめばゑ
原作:壱弐参
皆様、是非手に取って読んで頂ければ幸いです。
下記、特典情報です。
◆電子書籍特典画像
背中合わせの伊達兄弟に加え、デフォルトイラストの水谷と相田さん。
◆書店共通(紙媒体)特典ペーパー
⇒コミック一巻では登場しなかった【川奈らら】ちゃん。
◆メロンブックス特典ペーパー
⇒エネルギーチャージする【相田好】さん。
◆書泉・芳林堂書店特典ペーパー
⇒一巻では大活躍の【水谷結莉】くん。
◆ブックファースト新宿店特典ペーパー
⇒八南高校の制服姿の【伊達命】ちゃん。
サンプル画像を見られるので下記、COMICユニコーン公式HPのリンクをご参考くださいまし。
⇒https://unicorn.comic-ryu.jp/blog/tensaihakenjo01/
では、28日0時にお会いしましょう٩( ᐛ )( ᐖ )۶
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