第332話 Bar派遣所1
◇◆◇ 20X0年11月17日 10:45 ◆◇◆
最強の父――例の件、穂積社長は問題ないって。
玖命――――おーよかったよかった
玖命――――流石さすが親父、ありがとう
親父からの連絡に返信を終えた後、俺は――、
「あ、あの、何か大切な連絡だったんでしょうか?」
正面に座り、俺を心配そうに見る女性。
――月刊Newbie編集部の
「あぁいえ、親父からの見栄っ張りな連絡ですよ」
「ふふ、お父様と仲がよろしいんですね。でも、見栄っ張りというのは一体……?」
「問題ないはずがないのに、見栄張って問題ないって言ってるんですよ」
そう言うと、御剣さんは目を丸くした後、言葉に詰まってしまった。
そして、コーヒーを一口呑み、その飲み口を指で拭うと、コホンと咳払いをしてから微笑んだ。
「ま、まるで
とてもぎこちなく。
「は、ははは……」
それを指摘するつもりではなかったのに、御剣さんを追い込むような発言だった……うぅむ、反省しなくては。
「改めて、昨日は本当にありがとうございました。途中まで送って頂いてちゃって……」
「あいや、それは構いませんよ。あの後大丈夫でしたか?」
「幸い自宅も近かったので、はい」
「七海社長からの連絡は?」
すると、御剣さんはニコリと笑って俺にスマートフォンを見せてくれた。
「ちゃ、着信拒否設定……?」
「
七海社長相手に、随分思い切った事をしたものだ。
「それってお仕事に何らかの影響があるんじゃ……?」
その質問に、御剣さんは苦笑しながら答えた。
「少なからず影響はあるでしょうね。これからはタレント業務も断るつもりですし。でも――」
そこまで行ってから御剣さんは微笑んで俺に聞いた。
「伊達さんが、助けてくださるんでしょう……?」
「あ、え…………はい。ご迷惑でなければですけど」
言うと、御剣さんはホッと一息吐き、椅子の背もたれに身体を預けた。
そんなリラックスした自分に気づいたのか、御剣さんはすぐにハッと身体を起こして言った。
「す、すみません。ここのところ緊張の連続だったもので……」
「いえ、お察しします。慣れない仕事、やりたくない仕事、逆らえない相手ともなれば、大変なストレスです」
「あ、それと……コーヒー……ありがとうございました」
御剣さんと落ち合ったのは、新宿にある【Bar派遣所】。
ここは相田さんや水谷含む【大いなる鐘】のメンバーがよく利用するバー……なのだが、昼の営業をしていないという事もないそうで、水谷に紹介してもらい、昨日の今日ではあるが、また会う事になったのだ。
「いえ、この前書いて頂いた記事に比べれば……ははは。【
そう言うも、御剣さんは首を横に振った。
「あれはありのままの【命謳】を書いただけですから。何の誇張もなく、事実を淡々と。もちろん、個人的な主観を入れつつですけどね」
「あれから【命謳】を支持してくださる方も増えて、たっくん――ウチの山井のファンレターも凄くて……」
「あぁー、山井さん……確かに多くのファンはアナログ世代ですからね。荒神さんに話を聞いた時は笑ってしまいました」
「荒神さんとも接点があるんですかっ?」
正直、驚きだ。
確かに【
「実は、今回の伊達さん個人への取材は、荒神さんの提案なんですよ」
「そ、そうだったんですか……」
「荒神さんも伊達さんに興味津々って事なのかもしれないですね」
「は、ははは……日本のトップですからね。流石に恐れ多いですけど……そうなのかな?」
「そうなんです」
何故だろう、御剣さんが言い切るとそう感じてしまう。
さて、そろそろ頃合いだろうか。
「じゃあ、今後のお話についてですけど――」
「は、はい!」
御剣さんはピッと姿勢を正し、真っ直ぐに俺を見た。
「――まず、私への個人取材という事で、しばらく落ち着くまでは【命謳】の
「よ、よろしいんですかっ……!?」
「勿論、別件でお仕事がある場合は、私か山井、場合によっては水谷さんに護衛を依頼するつもりです」
「も、もの凄いメンバーですね……」
「
「え、嘘……?」
ポカンと口を開けた御剣さん。
俺はそれにくすりと笑うも、それは長くは続かなかった。
ある存在の接近に気付いたからだ。
「い、いくら伊達さんでも、そこまで強引な手を使う程の相手でしょうか……?」
「危険な相手である事は間違いないので、俺でも対応出来るか怪しいくらいですよ」
そこまで言うと、御剣さんは言葉を失ってしまった。
「七海君……彼は一体何を――」
御剣さんが言いかけたところで、【Bar派遣所】に来店者が現れた。
「――流石に対応に迷ってしまったので、俺もとある人に相談しまして」
言うと、御剣さんは俺を見た後、迫ってくる足音にようやく気付いた。
その足音の方へ顔を向けると、御剣さんはまたポカンと口を開け、
「やぁ、お邪魔だったかな? 御剣殿、そして伊達殿?」
パクパクと口を開閉する御剣さんの前で、俺は彼に言った。
「お忙しいところありがとうございます」
彼の名は、新宿に拠点を置き、世界的評価の高い巨大クラン【大いなる鐘】をまとめる日本有数のトップランカー――、
「
◇◆◇◆◇◆◇◆ 後書き ◇◆◇◆◇◆◇◆
WEB雑誌【COMICユニコーン】発!
コミカライズ版『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』第一巻の発売日となりました。
漫画:はやさかめばゑ
原作:壱弐参
皆様、是非手に取って読んで頂ければ幸いです。
下記、特典情報です。
◆電子書籍特典画像
背中合わせの伊達兄弟に加え、デフォルトイラストの水谷と相田さん。
◆書店共通(紙媒体)特典ペーパー
⇒コミック一巻では登場しなかった【川奈らら】ちゃん。
◆メロンブックス特典ペーパー
⇒エネルギーチャージする【相田好】さん。
◆書泉・芳林堂書店特典ペーパー
⇒一巻では大活躍の【水谷結莉】くん。
◆ブックファースト新宿店特典ペーパー
⇒八南高校の制服姿の【伊達命】ちゃん。
サンプル画像を見られるので下記、COMICユニコーン公式HPのリンクをご参考くださいまし。
⇒https://unicorn.comic-ryu.jp/blog/tensaihakenjo01/
さて、今回の更新、宣伝更新だけではありません・x・
体調もよくなり、今まで溜まってた仕事がなんとかなったので、定期更新を再開します٩( ᐛ )( ᐖ )۶
発売日なので、今日はとりあえず12話更新予定です。
更新スケジュールは下記となりますので、ご確認よろしくお願いします。
第332話⇒NOW(12/27/0:00)
第333話⇒12/27/2:00
第334話⇒12/27/4:00
第335話⇒12/27/6:00
第336話⇒12/27/8:00
第337話⇒12/27/10:00
第338話⇒12/27/12:00
第339話⇒12/27/14:00
第340話⇒12/27/16:00
第341話⇒12/27/18:00
第342話⇒12/27/20:00
第343話⇒12/27/22:00
第344話⇒12/28/0:00(明日)
第345話以降⇒私の頑張り次第。
第346話⇒一日一話以上は投稿したい所存。
第347話⇒しょぞん。
第348話⇒ショゾン。
第349話⇒がんばりまーす^^
第350話⇒発売日なので、
第351話⇒各話の最後に
第352話⇒後書き宣伝があります。
第353話⇒なにとぞ
第354話⇒ご容赦頂きますよう
第355話⇒よろしく
第356話⇒お願い致します。
では、また2時にお会いしましょう٩( ᐛ )( ᐖ )۶
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