第264話 天才派遣所統括所長【荒神薫】1

 ◇◆◇ 20X0年10月4日 10:00 ◆◇◆


 ――おいwwww何だこれwwww

 ――鳴神ひでぇwwww

 ――首輪着けてるの草

 ――『ぼくはきょう くらんのきりつにはんする わるいことをしました はんせいしてます ごめんなさい わん』

 ――胸元の手持ち看板wwww

 ――これ、犬とか猫が、部屋を散らかした時に飼い主がやるやつじゃんwwww

 ――鳴神犬wwww

 ――鳴神にこんな事出来るとか伊達って何者だよw

 ――命謳の代表だろ

 ――伏魔殿過ぎて草

 ――そういえば、天武会のトーナメント表出たぞ

 ――mjk

 ――見てくるわ

 ――おいおいおいおいおいおいおい

 ――これマジか!?

 ――第1回戦の初戦で命謳とインサニアじゃん!

 ――順当にいけば決勝が大いなる鐘?

 ――命謳とインサニアの勝敗が大いなる鐘への挑戦権を決めるって感じか

 ――絶対王者への挑戦権w

 ――七海も三日月もKWNもよくこれ通したよな

 ――あみだくじとかで決めてそう

 ――インサニアと命謳、どっちが勝つと思う?

 ――6:4でインサニアかな

 ――完全に人数じゃん

 ――命謳が4人だろ? いくら伊達が凄くても、これをカバーは出来ねぇよ

 ――番場は【戦神】だし、それ以外の面子知らない名前しかいない

 ――これ、EランクとかDランク?

 ――Fランクも1人いるじゃん。これOKなん?

 ――クラン創ったりポータル侵入する時はランク規定あるけど、自分が代表じゃないなら天武会参加するのにランクは関係ない

 ――これ、どうなるんだよ

 ――さすがにどうなるかサッパリだわ

 ――個人戦は?

 ――1回戦の目玉は伊達vs山井wwww

 ――運営さん、正気ですか……?

 ――確か山井って番場にリベンジマッチするとか息巻いてただろ?

 ――団体戦でやる気?

 ――あり得る

 ――待てこれwwその2人が勝ったらどっちかが鳴神と当たるぞ?

 ――あみだくじ確定だろ

 ――運営、命謳に恨みでもあるんか?

 ――ららちゃんは?

 ――出る訳ねーだろ

 ――騎士系は出ない事が多い。珍しく山王は出るみたいだけど、ららちゃんはエントリーされてない

 ――でも、大いなる鐘も水谷とロベルトがやるみたい――個人戦も楽しみじゃん


「…………お腹痛い」


 俺はコメント群を見ながら、それだけしか零せなかった。団体戦は初戦でインサニア相手。

 番場さん以外はおそらく……【はぐれ】からの選出。

戦神せんじん】の番場さんは勿論だが、【将校】持ちの【飯田いいだはじめ】という男が厄介だ。

 第5段階の天恵が底上げされれば、それは最早第6段階目と言っても過言ではない。

 決勝に上がったとして、相手は確実に【大いなる鐘】。越田さんが【元帥】の力で水谷、山王さん、立華さん、茜さん、ロベルトさんの5人を底上げすれば、全員が第5段階目に匹敵する力を持つ。いや、越田さんの事だ、それ以上のナニカを用意している可能性もある。

 それに個人戦かぁ……。

 団体戦が10月10日、個人戦が10月11日にある。しかも1回戦がたっくん。

 勝ち上がったとしても翔と戦う事になるだろう。

 川奈さんが参加しなかったのはいいのだが、完全にクラン同士での潰し合いである。

 ネットのコメントの中のあみだくじ……本当にそれかもな。まぁ、くじならくじで仕方ないと諦めるしかないが、露骨過ぎるような気がしないでもない。


「……それにこれ……」


 たっくん――あ、玖命!

 玖命――――何でしょう?

 たっくん――もしかしたら薫ちゃんから連絡入るかもー

 玖命――――どうしてです?

 たっくん――ここ最近で一番【はぐれ】と接触したのって玖命でしょ?あと、この前の海老名の件とか、イレギュラーダンジョンの件とか、色々相談したい事があるって言ってたよ^^

 玖命――――できれば昨日の内に言って欲しかったです

 たっくん――あ、もしかしてもう連絡入っちゃってた?めんごー^^


荒神あらがみかおる】――天才派遣所日本支部統括所長。天才を管理する日本のトップ。現役時代、魔法士系の第4段階【賢者】に達し、全天才のために立ち上がった才女。

 海外クランにも顔が利き、政府高官……否、総理大臣ですら頭が上がらない人物とも言われてる。

 まぁ、それはひとえに彼女の努力、そして清廉潔白で常に先を見据える向上心、更には海外からの圧力や天才派遣所の迅速な配備によって、結果的に日本を救ったという功績付き。

 彼女がいなければ、日本は荒廃していた可能性だってある。

 ならば、明日をうれう気持ちがあり、それに対応、対策しなければならないという判断もわかる。


「でも……何で俺なのか……!」


 かかってきた電話番号をネットで調べたら、天才派遣所本部とか書かれてたし、この電話番号が間違いないのはわかる。

 もしかして、越田さんの番号と間違えたとか……?


「ん?」


 たっくん――薫ちゃんから『伊達から連絡来なーい!』だって^^


 朝からこの人はどんな会話をしているのだろうか。

 たっくんのToKWトゥーカウを履歴を見せてもらったら、色々大変なものが見つかりそうだ。

 そんなこんな適当な事を考えている間に、もう時刻は11時過ぎ。

 俺は腹を括って、掛かってきた電話番号に折り返し連絡をするのだった。

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