第117話 ボロボロ

「おうおう。カッコいい顔が台無しな位に情けない顔をしてるな」


 打撃を受けた身体を手で押さえながら両膝を屋上の床に付く石井。


 ガタイの優れた男子達はそんな石井を見下す形を取る。


「まぁ安心しろ。制服の上からの攻撃だ。外見からは傷は全く目立たない。変に傷で悪目立ちすることはない」


 ガタイの優れた男子の1人が淡々と告げる。


 確かに言う通り石井の外見で目立つ傷は存在しない。ガタイの優れた男子達の最低限の配慮かもしれない。


「お前らは何が目的だぁ~? 俺をボコボコにすることが目的か? 」


 最後の力を振り絞る様に膝を立ち上げ、石井は弱々しい眼差しガタイの優れた男子達を見つめる。


「確かにそれもある。俺達の怒りと悔しさをクズのお前にぶつけることが目的の1つだった。しかし、目的はもう1つ存在する」


「もう1つの目的? 」


「ああ。お前は俺達のアイドルである八雲遥希、中谷瑞貴、宮城愛海と仲の良い天音を脅し、彼女達に迷惑を掛けた。それは許されないことだ。そのため、俺達はお前の脅した事実を学校に報告する予定だ」


「な!? そ、それは辞めろ! そんなことをすれば」


 ガタイの優れた男子の言葉を耳にし、石井に動揺が走る。明らかに取り乱した様子だ。


「お前の考える通り退学になるだろうな。脅しだけでも問題行動だが、お前には停学と言う前科もある。お前の高校生活も終焉を迎えるだろう」


 ガタイの優れた男子が淡々と残酷な未来を石井に説明する。同意するように周囲のガタイの優れた男子も首を縦に振る。


「そういうことだ。これから色々と大変だろうが頑張れよ。元学年1イケメンの石井君よ」


「ちょ、ちょっと待て!! それだけはやめてくれ! 両親に何を言われるか分からないし、俺の未来が暗い物になってしまう!! 」


 石井は抵抗するようにガタイの優れた男子の1人に飛び掛かろう試みる。


「おい、調子に乗るなよ」


 ガタイの優れた男子2人が石井の行動を先読みしたように前方に出現し、彼の動きを封じ込める。2人により石井の両腕は簡単に自由を失ってしまう。


「用は済んだし。次は教員への報告だな。行くぞ」


「御意!! 」


 1人の男子の言葉を合図に一斉に集団が動き出す。


「お、おい! 待ってくれ~~。頼むから報告だけは考え直してくれ~~」


 ガタイの優れた男子2人に動きを封じれた石井の情けない声が屋上全体に響き渡る。


 しかし、その情けない要求は完全に無視されることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る