学年で1番のイケメンに彼女を寝取られた。そしたら、イケメンの美少女友達が縁を切った

白金豪

第1話 NTR

 天音颯(あまね そう)は聖堂高校の2年生だ。


 見た目はパッとせず、低身長だ。


 そんな颯にも彼女がいる。


 彼女の名前は伊藤聖羅(いとう せいら)。クラスでも人気のある美人だ。


 黒髪にパッチリとした紺色の瞳。

 

 女子にしては高身長の背丈に、程よいバストを持つ。


 そんなある日、日曜日の夕方に颯は地元の書店で小説を購入した。颯は読書が趣味であり、ビジネス書やライトノベルを好んで読む。


 書店からの帰り道、振り向くほどのイケメンを発見した。


 学年1のイケメンの石井和久(いしい かずひさ)だ。


 金髪の長髪に二重の茶色の瞳。身長180を超える高身長であり、すらっとした体格を所持する。


 だが、それ以上に颯の目を引いた物があった。


 彼女の聖羅が石井と仲良く歩いていた。2人は身体を密着させ、ラブラブな空気を醸し出す。聖羅は石井の腕に身を委ね、これでもかと抱きつく。


「うそだろ……」


 開いた口が塞がらなかった。目の前の光景が現実だとは思えなかった。だが、認識した人物は石井と聖羅だった。間違いなかった。何度も学校で目にした顔だった。


「そんな。バカな…」


 ショックは大きい。それは間違いない。


 だが、自然と身体は動いた。幽霊のように、颯は石井と聖羅を追跡する。


 石井と聖羅は会話に夢中になっていた。そのため、特に物陰に隠れなくても、気づかれることはなかった。


 ストーカーすること5分。


 地元で有名なホテル街に出た。石井と聖羅はホテル街に足を踏み入れる。


(お、おい。まじかよ)


 動揺を隠せない颯。自然と足が止まる。石井と聖羅との距離はぐんぐん拡がる。


 颯の胸中など露知らず、石井と聖羅は1つのラブホ入口へ吸い込まれる。どんどん入口との距離は縮まる。


(頼む…。頼む! それはやめてくれ~~。俺は聖羅とキスすらしたことないんだぞ~)


 心の中で嘆く。必死に抵抗するように、前方に手を伸ばす。まるで、聖羅を止めようとするように。


 だが、不幸にも聖羅には届かない。


 躊躇いもせず、石井と聖羅はラブホテルに消えた。


「あ…あ…」


 颯は呆然として動けなかった。


 男女2人でラブホテル。プレイする内容など決まってる。交尾に決まってる。石井と聖羅はベッドの上で裸体で身体を接触させる。そして、合体する。容易に想像できる。


 これから颯は彼女をNTRされるのだ。遠くない近い未来に。


 10分も経過しないうちに、石井と聖羅はプレイを始めるだろう。


 石井と聖羅がプレイするシーンを脳内で想像してしまった。石井にイカされる聖羅が何度も脳内に出現する。


 聖羅は颯に見せたことがないメスの顔をしていた。喘ぎ声も収まらない。ビクンッビクンッ身体も反応していた。完全に石井に好き放題やられていた。


「う。うわぁ~~。こんなの嫌だ~~」


 耐えられずに、颯はその場から逃げ出した。ホテル街から退出する。


 息を激しく荒らしながらも、自宅を目的地にダッシュする。


 普段なら息切れは必至だろう。しかし、今日は違った。ダッシュしてもダッシュしても足は止まるどころか、グングン加速する。


 3分ほどで自宅に到着する。玄関で靴を脱ぎ捨て、手洗いうがいもせずに、自室に飛び込む。


 一目散にベッドにダイブし、うつ伏せの状態で寝込んだ。


「く、くそ~。なんでだよ~~。なんでだ聖羅…」


 ベッドで涙は流れず、憂鬱な自殺したい気分を味わう。人生最悪の気分だった。彼女という大切な物を失った。心が破裂するほど痛い。大切な物を失うのはここまで心を痛めるんだ。


 今後、完全に癒えることのない深い傷を負ってしまった。


 心の傷が起因し、その日は夕食を取れなかった。その上、時間が進んでも進んでも眠れなかった。思い通りに瞼は閉じてくれなかった。

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