煙突からの悪魔ちゃん【2021年版】
忽那 和音
煙突からの悪魔ちゃん【2021年版】
「ねえ、今年のハロウィン何する?」
「う~ん、そうだな~」
街の木々が赤く色づいていく。茶色に焦げた葉達は一面に秋の特別感と優越感を与えていく。
二人は付近にある中学校の一年生。
中学進学から半年が経ち、彼女たちの生活は充実を満たしていた。
彼女たちは手芸部に所属する。ここ数日は秋にちなんだ作品を作っている。
お互い、フェルトで置物などを作ることが好き。昨日まではカボチャ。先々週は十字架を作った。
しかし、顧問からのコメントは何とも言い難いものだった。
「あ~。二人とも仲良く十字架と…………、西洋式にお墓を…………」
手芸部顧問は半笑いで言った。
「はい! やっぱり、ハロウィンと言えばダークな雰囲気ですよね」
ボブの少女がニコッと言った。
「ははは…………、まっまぁね~(まだ、文化祭で展示ではないからいいか)」
その時点では反対も肯定もしなかった。
下校の道を歩く二人はハロウィン当日について話あっている。
「みっちゃんは何かするの?」
ボブの少女は言った。
ピンク髪の少女は口を開いた。
「うん。ちょっとね」
「そっか~。あとで感想聞かせてね」
二人は小道を歩くピンク髪の黒川 密菜と国道を進むボブカットの同級生と別れた。
上り坂を歩いた先に見えた自宅へ帰ってきた。
「ただいま~」
しかし、家には誰もいない。
彼女はこの状況をチャンスと睨んでいた。
「ふふふふふふふふ…………」
桃色の髪を揺らして二階の自室へ入った。
中学校のバッグから手芸用品を取り出した。
「ふふふふふふふふふふふふふふふ…………」
深夜十二時。
市街地を除き、住宅街エリアの光は全くない。
屋根の上を移動するには足場が非常に悪い。
だが、躊躇わずに次から次へと屋根を渡っていく。
「ふ~。ここか」
密菜は屋根につけられている煙突に身を入れる。
この家のセキュリティは非常に単純だ。
命綱を使い慎重に家の中へ侵入をしていった。
竈に着いた。
何回か家の中へ入ったことがあるため、マップは完璧に頭の中へ入っている。
一度命綱を外した密菜は二階に上がる。
幸い、この家には夜型の人物はいない。
皆、いびきをかいて寝ている者もいるため、多少の物音はごまかせる。
「ここだ」
彼女はドアノブを捻った。「カチャーー」
「う! う~~!!」
奥の部屋から呻き声が聞こえた。
「だっだれだ~~!!」
「(紛らわしい)」
彼女は部屋へ入った。忍者の歩き方で侵入していく。
「う~~」
ベッドの上で寝息を立てて寝ているのは、密菜の同級生。
リュックからボックスを取り出し、デスクの上に置いた。
足早にボブカットの家を後にした。
「起きて~朝よ~~」
「うん、は~い! あれ? こんなボックスあったっけ」
起きてすぐにボックスを開けた。
中学校・校内。
「あ! 密菜~!!」
「おはよう」
ボブカットの友人は密菜に挨拶をした。
「ねえ、見てよ!」
「わ~すごい」
そこには昨夜。デスクの上に置いたボックスの中身であるマスコットが指定リュックにつけられていた。
「ありがとう」
「ふぇ? 何か言った?」
「何でも」
煙突からの悪魔ちゃん【2021年版】 忽那 和音 @waonkutsuna
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