眠たい勇者の魔王討伐RTA
杜鵑花
第1話 始まり
「あの〜居るんだよね?勇者?開けて!」
早朝、俺の家のドアがドンドンと叩かれる。
もう10分以上この状態が続いている。
早く出てやれよ!
と思うかもしれないが俺は今、とてつもなく眠いのだ。
良くあるだろう?
会社に行かなきゃ行けないけどベッドから出られないってこと。
それと同じだ。
きっと後5分もすれば訪問してきた奴も諦めて帰るだろう。
僕は目を閉じる。
次第にドアを叩く音も聞こえなくなっていった。
きっと諦めたのだろう。と思ったが今度は何かを詠唱するような声が聞こえてきた。
なにか嫌な予感がする。
おい!ちょっと待て!よくよく聞いてみれば爆発呪文の詠唱じゃないか!
俺が気付いた時にはもう遅く、俺の家の玄関がドカーンと吹っ飛んだ。
「おいおい!最近買った家なのに!」
「あっ!いた!」
そんな声を上げて近づいてきたのは爆発を起こした張本人の魔法使いマリーだった。
「おい!マリーこれはいくらなんでもやり過ぎじゃないか!やるならもっとマシな呪文があっただろう?!」
「あっそうだね~施錠解除呪文が良かったかもしれないね。」
マリーは笑いながら言った。
「笑いごとじゃないだろ……で要件は?今バチクソに眠いから手短に頼む。」
「あの爆発が起きてもまだ眠いなんて……やっぱりもっと大きい爆発が良かったかな……」
「早く要件を言えよ……それともう爆発はゴメンだからな。」
「はいはい。じゃあ要件を言うよ……まぁ要件って言うよりかは王様からの伝言かな……魔王討伐をしてくれだって。」
「断る!」
俺は即答してすぐに布団に潜った。
「魔王が怖いの〜?」
「いや、決してそんなことはない。ただ、眠いんだ!しかも面倒くさい!」
「眠いだけで魔王討伐を断る勇者って……」
「良いだろ、別に、勇者だって人間なんだ。」
「あっ!そういえば魔王を討伐した者には一生寝て暮らせるような莫大な財産をもらえるって言ってたな~」
マリーのその言葉に俺は大きく反応した。
「一生寝て暮らせるような財産〜?それだったら話は別だ。行くぞ!魔王討伐に!」
「やっぱりそうこなくちゃ!」
「魔王討伐RTAだ!さぁ行くぜ!」
「まずは私達が魔王討伐に向かうことを王様に知らせなくちゃ!」
「そうだな、面倒くさいが行くしかないな。」
こうして、眠たい勇者と魔法使いマリーの魔王討伐RTAが始まったのだった。
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