14話
車に乗りこみ、後部座席にミアを寝かせてアクセルを踏んで発進した。
運転している途中、私は父の残した実験のレポートが過ってきた。
それは天才と呼ばれた父ですら成功しなかった実験。
今度は私がする番だ。
家に着くと、ミアを抱えてすぐ地下の実験室へと向かった。
ミアを実験台に乗せ、私は父の残したレポートを取りに1階へと戻った。
機械人形たちは私が何をするか理解していた。
すると機械人形の1人が近づいてきた。
「オ気ヲツケテ…」
Silkyのような声が聞こえた。
でももうそんなことは関係ない。
レポートを持って地下室に戻った私は、父の成し得なかった実験へと取り掛かった。
これは禁忌の実験。
世の道理から外れた実験。
父は母を甦らせたかった一心でこの実験を繰り返した。
父ができなかったことを私ができるだろうか…
不安になったが、もう後戻りはできない。
まず、ミアの体が腐らないように防腐剤を振った。
1時間寝かせたあと、頭と首と手足と胴体を切り離す。
スプラッターなことをする度、私の白衣は美しいミアの血で赤く染った。
頭と首と手足だけ残った。ここからが本番だ。
人間と同じような器官を作り、首と頭を取り付け両手両足は捨て、頑丈なものに付け替えた。
頭と首以外は全て金属に変わってしまったが、これでミアが蘇るのなら。蘇るのならそれでもいい。
最後は希少な魔晶石で作った心臓と活動を停止した脳に電気ショックを与える。
これで上手く行けば…
暫くして、まぶたが動いた。
「ミア、ミア聞こえるか!ミア!」
そう私が呼びかけると、それに答えるようにミアは目を開けた。
「おっさん?」
声帯はそのままにしていたため、死ぬ前と変わらずあどけない声がした。
私は罪を犯した。しかし犯した罪のおかげで私だけの永遠の愛しい人を手に入れることが出来た。
実験は成功した。
「ミア、これからずっと私と一緒に生きてくれるか?」
わたしがそう問うと
「うん、ミア、ずっとおっさんのそばにいるよ。」
あぁ、私はこれからずっとミアと一緒なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます