機械の夢

誰かのぽっぽちゃん

序章

蒸気機関車の汽笛と煙突から吐かれる、井鼠色の息。無限の空に無数の硝煙が白い雲を汚す。そんな景色を大きな窓から眺めることもせずにただ、機械や道具をいじって薄ら笑みを浮かべる変人がいた。

その変人は、機械いじりと実験が好きなやつでほぼ毎日、実験を繰り返しては新たな機械を生み出す。ここまでいえば何となくわかるだろうが、やつは科学者である。

変人科学者の名前はクロノス・フェイ。人嫌いなため、30過ぎであるのにも関わらず結婚もしてなければ、恋人もいない。そんな独身貴族を謳歌している男は、これから自身の身に起こることをこれっぽっちも知らず、ただただ、珈琲片手に最高傑作を眺めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る